起業したての三人が挑む銘木一枚板の世界|MUCADEの挑戦とは

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古民家見学会で出会った、勢いのある三人組

先日の古民家「コダマヴィレッジ」の見学会で、とても活気のある3人組に出会いました。

最近は古民家に興味をもつ若者も増えてきているので、「彼らもそんな流れかな?」と思いながら話しかけてみると——

なんと、銘木の一枚板を扱う販売・輸出事業を三人で手がけているとのこと。

左から、中村真也(まさや)さん、井上貢太郎さん、橋爪塁成さん

しかも、立ち上げたばかり。
会社の名前は「MUCADE.inc」。

法人登記からわずか2週間。
勢いのままに走り出した彼らが、なぜこの世界に飛び込んだのか。気になって話を聞かせてもらいました。

海外生活で気づいた、日本の木の価値

井上貢太郎さん

CEOを務めるのは、井上貢太郎さん。

2年間の中東生活を経て帰国したとき、日本の風景や建築の美しさに改めて気づいたといいます。

「中東って砂とか石の建築が多くて、現代建築もコンクリートが中心なんですよね。だからこそ、日本の“木”の良さってすごいなって思ったんです。さらに、一枚板なんてほんとすごいじゃないですか! 樹齢1000年の歴史が家の中にあるってめちゃくちゃ面白くないですか?」

と井上さん。

林業の現場にも飛び込んで知見を広めていくなかで出会ったのが、「銘木」と「一枚板」。そこから一気に、この世界に引き込まれていったそうです。

そんな井上さんが声をかけたのが、福岡県出身の中村さんと青森県出身の橋爪さん。3人は東京の大学での同級生だったそうで

「東京で消耗してる2人に、“一緒にやってみようぜ!”って声かけたんです(笑)」

軽やかだけど、どこか覚悟も感じるスタート。

中村さんはこう話します。

「同年代に一枚板の話をすると、“それって買えるの?”ってなるんですよね。
そもそも知られてない。だからこそ、興味のある人に届けたいし、海外にも広げたい」

初セリでいきなり屋久杉16枚!? その行動力

驚いたのが、彼らの最初の一手。

なんと、初めてのセリで屋久杉を16枚購入

「まとめて買うと安くするよって言われて、よっしゃ!って(笑)」と井上さん。

この勢い、なかなか真似できない…。

「神社のご神木みたいな、ストーリーのあるものを仕入れて販売していきたい」と語る姿からは、単なる物販ではない価値づくりへの意識も感じられました。

16枚の屋久杉!!

 

EC×動画×AI。MUCADEの強みは“掛け算”

 

さらに、MUCADEの面白さはそこにとどまりません。橋爪さんは、EC販売に向けた動画制作なども得意分野。

Web制作やAI開発といったデジタル領域も強みにしているのです。

実際にショールームを見ながら、こんなアイデアも飛び出していました。

「AIアバターが説明してくれるショールームとか、面白そうですよね」

銘木という伝統的な素材と、テクノロジーの掛け合わせ。
この視点が、彼らの大きな武器になりそうです。

MUCADEの名前に込められた意味とは?

https://mucade.com/

ちなみに「MUCADE」という社名、気になりますよね。

これは“百足(ムカデ)”が由来。

一見ちょっと意外ですが、実はかなり縁起のいい存在なんです。

  • 金運・商売繁盛の象徴
  • 「お足(お金)」に通じることから千客万来の意味
  • 前にしか進まない=勝負運の象徴
  • 毘沙門天の使いともいわれる存在

 

見た目の印象とは裏腹に、かなりパワフルな意味が詰まっています。

3人も「これもMUCADEの思し召し!」と笑っていましたが、こういう感覚、なんだかいいですよね。

 

ご縁をつなぐ旅の途中で出会ったrewood

彼らとrewoodの出会いも、偶然の連続でした。

全国の銘木市場を巡るため、井上さんと中村さんが東京から熊本まで車中泊しながら移動。その途中で岐阜に立ち寄り、紹介を受けたのがきっかけだったそうです。rewoodの仕上げ加工を手掛ける工房を見学したり、名古屋市のショールームへ出向いたりと、数々の出会いがあったといいます。

水野さん(左)とMUCADEのみなさん

今回の「コダマヴィレッジ」の見学会も

「法人登記して改めて挨拶に行ったら、水野さんからこの見学会を教えてもらったんです」

と話していました。

行動していると、本当に縁がつながっていく。
そんな流れを体現しているようでした。

無人ショールームで体感する、一枚板の魅力

「コダマヴィレッジ」見学会の流れで、3人と一緒にrewoodのショールーム「warehouse」の見学もしてきました。

(※「warehouse」の様子はこちら

一枚板がずらりと並ぶ光景に見とれながら
「やっぱり木っていいよね」と自然に言葉がこぼれる私たち。

さらに、車で3分ほどの場所にはもう一つのショールーム「Raw」もあって、そちらも一緒に見学させてもらいました。

“素材が語る場所”というコンセプトの通り、厳選された一枚板が静かに存在感を放っていました。

ヒノキチップが敷かれた床、木の香りに包まれた空間。
その中に置かれた屋久杉のテーブルは、圧倒的な存在感でした。

屋久杉の一枚板

銘木の未来を切り拓く、三人のこれから

銘木という伝統的な素材を軸にしながら、
EC、動画、AIといった得意分野を掛け合わせていくMUCADEの3人。

まだ始まったばかりのプロジェクトですが、
その動き方や視点には、すでに独自の面白さがあります。

ムカデのように前へ前へと進みながら、
たくさんのご縁をつないでいく彼ら。

銘木の新しい可能性を切り拓いてくれそうです。

これからの展開、かなり楽しみです。

MUCADE.inc
https://mucade.com/

 MUCADE.inc |僕たちは前澤社長に木を売りたい

 

【岐阜県中津川市】コダマプロジェクト新拠点誕生|築120年古民家の活用がはじまる

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山道をドライブするのは久しぶり。この日は晴天で、夏を迎える前の新緑が太陽に照らされ、まぶしく輝いていました。

そんな日に私が向かったのは、岐阜県中津川市にある築120年以上の古民家。ここで「この場所をどう活用するかを一緒に考える会」が開かれると聞き、足を運びました。

ジブリの世界観を味わえる古民家

「この道で合ってるよね?」と少し不安になりながら山道を進み、くねくねと続く坂を登っていくと——
その先に現れたのは、まるでジブリの世界のような木のトンネル。そこを抜けた瞬間、視界が一気に開け、圧倒的な自然が広がります。

家の前には水をたたえた田んぼ。その上には、ぽっかりと浮かぶ空と雲。思わず「眼福…」とつぶやいてしまうような、贅沢な景色でした。

この古民家は「コダマヴィレッジ(仮)」と名付けられた、築120年以上の日本家屋。およそ10年もの間、空き家の状態が続いていたそうです。

コダマプロジェクトの新しい拠点

今回、この場所を活用するのは「上流の山」と「下流の街」をつなぐことをテーマにしたコダマプロジェクト
人と人、資源とアイデアを結び、新しい価値を生み出す拠点として、この古民家を再生しようという取り組みです。

土間に一歩足を踏み入れると、ひんやりとした空気に包まれます。外とはまるで別世界。
玄関を上がって見上げると、いろりの煤で燻された梁や天井が広がり、年月を重ねた建物ならではの味わいが感じられます。

1階には8畳ほどの部屋が3つ、奥には床の間。玄関を挟んで反対側には、キッチンとお風呂があります。
2階へ上がると、窓の向こうには山あいの景色が一望でき、思わず深呼吸したくなるような開放感があります。

かつて養蚕が行われていた名残もあり、2階の一角には当時の道具がそのまま残されていました。
この土地の歴史が、静かに息づいているのを感じます。

素材×アイデアで古民家を使う

この日は約20人が集まり、会場は終始にぎやかな雰囲気。
それぞれの分野で活動する人たちが、「この古民家をどう活かせるか」に思いを巡らせていました。

今回の会のテーマは、
「古民家を見て、感じて、未来を一緒に“妄想”すること」

たとえばこんなアイデアが挙がっていました。

・ものづくりのショールーム
・展示会スペース
・マルシェやイベント会場
・期間限定のカフェ など

プロデューサーの水野さんは「コダマヴィレッジ」の未来像をこう話します。

「山で生まれる素材と、街で生まれるアイデアを持ち寄って、みんなでつくる“共創フィールド”にしていきたい」

また、敷地には畑もあるそうで、農業や食に関わる取り組みも期待できそうです。

古民家から生まれる新プロジェクトに大きな期待

近年は、自然に囲まれた暮らしやスローライフへの関心が高まり、地方移住や古民家再生に注目が集まっています。
コロナ禍を経て、暮らし方を見直した人も多いのではないでしょうか。

そうした流れの中で、このような自然豊かな集落は、「憧れの場所」としての価値を持ち始めています。

ひっそりと佇む山あいの古民家。
ここからどんな人が集まり、どんなアイデアが生まれていくのか。

空き家だった場所が、新しい価値を生む拠点へ。

これからの変化が、とても楽しみです。
コダマプロジェクトの今後の展開に、引き続き注目していきたいと思います。

■コダマプロジェクト

https://kodama-p.com/

コダマプロジェクトとは?地域材活用の取組みと体験型家具・小屋「コダマベース」|ウッドデザイン賞受賞歴も

「ミニマルな旅」がしっくりくる|コダマベースで考えるタイニーハウス民泊

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今、各地でタイニーハウスを使った宿泊施設が、じわじわと人気を集めているのを知っていますか?

豪華なホテルではなくて、必要最小限のものだけが置かれた空間。そこで過ごすミニマルな宿泊体験が、選ばれている理由のひとつなのだそうです。

 

■“なにもない”時間を過ごすための旅へ

 

生活スタイルが変わり、暮らしもミニマルになりつつある今、“旅”に求めるものも変化してきているのかもしれません。

私自身の感覚で恐縮なのですが、“旅”の意味も、昔とはちょっと変わってきた気がしています。

以前は「せっかく行くなら特別な体験をしたい」と思っていたのに、最近はむしろ、ただぼーっと過ごせる時間がほしいな、と思うことが増えました。

いわゆる“なにもない”時間を過ごすための旅、という感じでしょうか。

普段の暮らしって、気づかないうちにけっこうタイトで、効率よく動くことや、タイパを意識することに、ずっと追われている気がします。

だからこそ、何も考えずに過ごせる場所があったらいいな、って思うんですよね。

タイニーハウスの宿泊施設を調べてみると、森の中にぽつんと建っていたり、海辺にあったり、ちょっと秘密基地みたいだったりと、本当にいろいろ。写真を見ているだけでも、「あ、ここで何もしない時間を過ごしたいな」って思ってしまうような場所ばかりで、なんだか余白がある感じがとても心地よさそうに見えました。

ミニマルな旅を楽しみたい人に選ばれている理由も、なんとなくわかる気がします。

 

■コダマベースで民泊を始める

これまで何度かこのブログにも登場した「コダマベース」も、こうしたタイニーハウス宿泊の広がりを背景に活用の幅が広がっているようです。

これまで「コダマベース」を書斎やアトリエ、子ども部屋として使う方が多かったのに対し、宿泊用途での活用を検討する人が増えているとのこと。

民泊用のスペースとして活用し、収益を得るための投資として「コダマベース」を選ぶ、という考え方も広がってきているようです。

では、なぜ「コダマベース」が選ばれているのか。その理由をまとめてみました。

 

理由その①:低コスト

本体は300万円台から。組み立ての必要もなく、設置すればすぐに使えます。

コダマベース本体 [外装:ガルバリウム仕様、内装:ヒノキ材]3,630,000円(税込)

 

理由その②:省スペース

駐車場1台分のスペースがあれば設置可能。
自宅や実家のちょっとした空きスペースにも置けます。

「コダマベース」キッチン、バス、トイレが付いたコテージタイプ:オプション1650,000円(税込)

 

理由その③:固定資産税がかからないケースが多い

固定資産税の課税対象となるかどうかは、「建物」とみなされるか否か。自治体の判断によります。

基礎工事をしない移動可能な構造で、サイズも10㎡以下の「コダマベース」であれば、固定資産税の対象外となるケースもあります。

(※条件などは各自治体への確認が必要です)

理由その④:建築確認申請が不要

建築物に該当しない構造のため、面倒な申請が不要。建築制限のある場所でも導入しやすいのがポイントです。(※別途、水道・ガス設備等の工事をした場合は、建築基準法の適用を受けます)

理由その⑤:国産の天然ヒノキ・スギを使用

シンプルだけど、ちゃんと気持ちいい。木の香りやぬくもりが感じられて、自然とリラックスできます。

防虫・抗菌・消臭・調湿など、無垢材ならではの効果も期待できます。

コダマベース本体 [外装:ヒノキ無垢仕様、内装:ヒノキ材]3,850,000円(税込)

 

理由その⑥:移動できる

“動かせるタイニーハウス”なので、ライフスタイルが変わったときにも柔軟に対応できます。

理由その⑦:不動産投資・土地活用にも

建物として固定されないため、土地の価値を下げずに収益化できる点も魅力。遊休地の活用方法としても注目されています。

理由その⑧:不要になったら売れる

必要がなくなった場合は、買い取りもしてもらえます。

中古として手放すことができる、土地に縛られないからこその自由さがあります。

 

■「コダマベース」の使い方は発想次第

「コダマベース」は、自分や家族のための“もうひとつの場所”として使う人が多いですが、こうして民泊という視点で見てみると、活用の幅はかなり広いなと感じました。

使い方は、本当に人それぞれ。

発想次第でいろんな形に変えられる、そんな柔軟さが、これからの時代に合っているのかもしれませんね。

 

コダマベース

 

【岐阜・中津川】一枚板無人ショールームを徹底レポ/rewoodが目指す循環型インテリアとサステナブル

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rewood無人ショールームに行ってきました!

 

岐阜県中津川市付知町の、とある倉庫。

灯りがついた瞬間、思わず「おぉ!」と声をあげてしまいました。

大胆で個性豊かな表情をした天然木がずらり! 広々とした倉庫には、全国各地から集められた一枚板が、なんと1,800枚以上も並べられています。

ここは、循環型一枚板テーブルの販売を手掛けるrewoodのショールーム「rewood warehouse」。第1倉庫、第2、第3と3つの倉庫には、未仕上げの素材がずらりと並び、自由に撮影や採寸もできます。

無人ショールームの魅力・メリットとは

 

一般的なショールームと違うのは、販売員がいないこと。

そう、基本、無人なんです!(※第2木曜のみ完全予約制でスタッフが常駐)

訪れた人は、自分たちだけでじっくりと見学することができるって、自由でいいですよね。

お店の人の前では、なかなか言えないようなこと(例えば、この材は好きじゃない、とか(笑))も、気にせず口に出すことができるし、予算についても気兼ねなく口にしながら見学ができるので、気楽でいいと考える人も多いのではないでしょうか。

一般の方だけでなく、工務店や設計士、デザイナーなど建築関係の方がお客様を連れて見学に来ることも多いのだとか。スタッフが介入せずその場で施主と相談できるのもいいですよね。

説明をしてほしい人にとっては少し不安があるかもしれませんが、そこは大丈夫。説明が必要な場合は、QRコードを読み取ってLINEでスタッフに質問することも可能。予約をすれば第2木曜のみスタッフがショールームで直接対応してくれます。

 

未仕上げ材を一気に見られる3つのショールーム

「rewood warehouse」には3つの倉庫があります。

まちなかにあるショールームではなかなか実現できなさそうな、大規模なショールームが3つもあるなんて、さすがは木材のまち。林業が盛んな土地柄だからできることなんですね。それぞれ、どんなものが置いてあるのか、ご紹介していきたいと思います。

 

■第1倉庫(warehouse1):希少なカウンター材

主にカウンター材のストック。座卓として使われていたものや、お寿司屋さんやバーのカウンターとして使われていたもの、建材として使用されていたものが並んでいます。森林保護の観点から合法伐採のみが許された「パープルハート」の一枚板、木曽檜の巨木から切り出した一枚板、式年遷宮の柱材、御神木の輪切り一枚板など、希少材も数多く取り揃えられています。

■第2倉庫(warehouse2):輪切り、変形木材

第1倉庫を出てすぐ。屋外にある第2倉庫です。ここは輪切りと変形木材のストックが積み上げられています。

これだけの数が一挙に揃っているのは、なかなかの迫力!厚みや径、樹種もさまざま。東南アジアの建築で300年以上の長い年月を支えてきた、ヴィンテージチークの古材もあります。

■第3倉庫(warehouse3):プレミアム一枚板

現在の木材市場では珍しい、樹齢150年以上の貴重な素材の一枚板「rewood premium/リウッドプレミアム」のストック。熱狂的な収集家も多い花梨のコブ材や、ケヤキ、トチなど個性的な古材が揃います。

世界三大銘木と呼ばれるチークの炭化した古材もありました。

油分も水分も抜けたチークはずっしりと重く、持ち上げようと思いましたがとてもじゃないけど無理。これが時間を経てきたものの重みなんだな~と思ったり…。

今や天然チークの伐採は厳しく制限されています。新しく伐るのではなく、今あるものを再び活かすというrewoodの思想を実感できた瞬間でもありました。

 

rewoodが取組む本気のサーキュラーエコノミー

存在感がある立派な木材たち。見ているだけで惚れ惚れとしてしまいますが、これはゴミとして捨てられるはずだったものをレスキューしたもの。

「大きすぎるから」

「重たいから」

「今の家の雰囲気に合わないから」

そんな理由でゴミとして扱われてしまう貴重な木材をレスキューし、もう一度使えるように加工して新しいユーザーに届ける、それがrewoodなのです。

100年、200年と長い年月をかけて育ってきた木が、数十年使われただけでゴミとして捨てられてしまう。そんな現状にブレーキをかけ、本気のサーキュラーエコノミーに取組む、そんな理念をもってrewoodは運営されています。

職人さんが一枚一枚手作業で、天板のウレタン塗装をはがしていきます。これでデザインも一新!時代にあった一枚板へと生まれ変わります

 

釘の跡や傷、色の濃淡―。倉庫におかれた一枚板にはそれぞれの顔があります。

新しさや機能、デザインだけで評価するのではなく、それがどんな理想や思いから生まれたのか、その背景にあるストーリーまで含めて、ひとつの価値なのだな~と、じわじわと実感します。

 

大自然に育まれた一枚板の魅力

ここで1つ、想像してみたいと思います。

例えば、私たちが新しくできたお店に行ったとして、その空間にどんなものが置いてあったら素敵だと思いますか?

新しいもの、機能的なもの、デザインの凝ったもの、でしょうか。

もちろん好みによる部分はありますが、きっとそれだけではないはず。

鹿児島にできたrewood無人ショールーム

 

長い時間を重ねてきた木材には、それだけで人を惹きつける力があるように思います。人間の力の及ばない大自然の中で育まれてきたたくましさ、それと対照的な柔らかく、なめらかな質感。ダイナミックでありながら、どこか包み込むようなあたたかさもある。まるで自然そのもののような存在です。

rewoodのような時代を経た一枚板には、そんな力が宿っているような気がします。

お店でも家でも、人が集う空間に置かれているだけで、空間の印象はぐっと変わる。それは、きっと多くの人が直感的に感じられるはずです。

 

“価値のあるもの”を自分の手で選ぶ時代へ

「rewood warehouse」は、“売るための場所”ではなく“選ぶための場所”。

自分の目で見て触って選ぶという体験そのものが、未来の自然を守る一助となる―。全国から集められた多種多様な一枚板に囲まれながら、そんなことを考えたのでした。

 

■見学希望の方はこちら

rewood warehouse
付知倉庫 無人ショールーム

rewood公式ラインより事前に申し込み。

お申し込み後に岐阜県中津川市付知町の詳細が送られてきます。

無人ショールームとなりますが、見学当日は担当者がLINEで質問等に対応してくれます。

 

■rewoodホームページ

https://re-wood.jp/

コダマプロジェクトとは?地域材活用の取組みと体験型家具・小屋「コダマベース」|ウッドデザイン賞受賞歴も

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コダマプロジェクトとは?「山と街をつなぐ地域材活用の取り組み」

コダマプロジェクトとは、地域の山で育った木(地域材)を活かしながら、山と街、人と人をつなぐ取組みです。

特徴的なのは、家具や建築といった“モノづくり”を軸にしながらも、単なる製品開発にとどまらない点にあります。

木材がどこで育ち、誰が関わり、どのように手元に届くのか——

その一連の流れを、使い手にまでオープンにしていること。

いわば、“素材の背景まで含めて届けるプロジェクト”です。

日本は森林が豊かな国。けれど今、街で使われている木の多くは、遠く海外からやってきたものです。
山には使われないままの木が残り、林業もかつての勢いを失いつつあります。

そんな流れを見直し、山と街のつながりを取り戻そうとしているのが、コダマプロジェクトです。

□コダマプロジェクトHP

ウッドデザイン賞受賞|評価された“連携・協働の仕組み”

この取り組みは、社会的にも評価されています。

コダマプロジェクトは、ウッドデザイン賞 ソーシャルデザイン部門(コミュニケーション分野)において、「パートナーシップ/連携・協働のシステム・仕組み」として受賞。

評価されたのは、木製品のデザイン性ではなく、山側(林業・製材)と街側(販売・生活者)をつなぐ仕組みそのもの。

プロジェクトには、

  • 林業従事者
  • 製材・木工
  • 家具販売
  • デザイナー
  • 使い手

といった多様な立場の人が関わっています。

それぞれが分断されがちな木材流通の中で、顔の見える関係を築いている点が評価につながっています。

□ウッドデザイン賞 ソーシャルデザイン部門

体験型家具「コダマデスク」とは? 特徴と仕組み

自然由来の植物系オイル仕上げで子どもにも安心して使えるコダマデスク(森林体験合宿付)¥220,000

山での体験合宿がセットになった学習机

コダマプロジェクトを象徴するプロダクトが、体験型の学習机「コダマデスク」です。

この机の特徴は、購入するとまず山へ行くこと

親子で一泊二日の合宿に参加し、

  • 木の伐採現場の見学
  • 丸太切り体験
  • 山の自然に触れる時間
  • 自分の机に取り付けるパーツの制作

といったプロセスを経て、後日机が自宅に届きます。

単なる家具購入ではなく、
「木が机になるまで」を体験する設計になっています。

 

天然素材のデスクは長く使えるのが魅力。コダマデスクは3パーツに分解できるから大人になっても使える

コスト公開による透明性

もうひとつの特徴が、価格の透明性です。

コダマデスクでは、

  • 伐採・製材費
  • 加工費
  • 組立費

など、各工程のコストが公開されています。

一般的には見えにくい部分まで開示することで、価格ではなく納得感で選ぶという価値観を提示しています。

作り手と使い手をつなぐ仕組み

この取り組みによって変わるのは、使い手だけではありません。

これまで林業に携わる人たちは、自分たちの木材が誰に使われているかを知る機会がほとんどありませんでした。

しかしコダマプロジェクトでは、実際に使う家族と出会うことができる。

その結果、作り手の側にも仕事への実感や意識の変化が生まれているといいます。

 

小屋「コダマベース」とは? 価格・用途・魅力

コダマベースの特徴(地域材・施工方法)

コダマプロジェクトの次の展開として生まれたのが、木造のコンパクトな小屋「コダマベース」です。

岐阜県産のスギやヒノキといった地域材を使用し、山の近くで組み立てたものを街へ運び、設置する仕組み。

このプロセス自体も、山と街をつなぐ構造の延長にあります。

□動かせる小屋「コダマベース」

使い方(書斎・趣味部屋・ワークスペース)

コダマベースは、コンパクトで自由度の高い空間です。

販売開始から6年。認知度があがり年間販売台数も増えている注目の小屋。

どんな目的で購入されるのかといえば

  • 在宅ワーク用の書斎
  • アトリエ
  • 趣味に没頭する部屋
  • 家とは少し距離を置ける場所

といった用途が多いとか。

「部屋を増やす」というよりも、
暮らしにもうひとつの選択肢を加える存在といえそうです。

□動かせる小屋「コダマベース」納品事例

なぜ小屋という形なのか

住宅のような大規模建築ではなく、あえて“小屋”という形が選ばれるのか―。

理由のひとつは、現実的なハードルの低さにあります。

  • 設置の自由度
  • コストのコントロール
  • 導入のしやすさ

こうした点から、
地域材の活用をより身近なものにするアプローチとして、小屋という形が採用されています。

なぜ地域材が注目されているのか|林業と木材利用の現状

日本は国土の約7割を森林が占めていますが、現在流通している木材の多くは輸入材です。

その背景には、

  • 海外材の価格競争力
  • 林業の担い手不足
  • 木材流通の分断

といった課題があります。

また、戦後に植林されたスギなどが成長期を迎え、伐採されないまま放置されている木が増えていることも問題視されています。

地域材を活用することは、

  • 森林の健全な循環
  • 地域経済の活性化
  • 環境負荷の低減

といった複数の側面に関わるテーマでもあります。

コダマプロジェクトが提案する新しい価値観

コダマプロジェクトが提示しているのは、単なる木製品の魅力ではありません。

  • どこから来た素材か
  • 誰が関わっているのか
  • 自分がどう関わるのか

そうした背景まで含めて選ぶという、
新しい価値基準です。

インターネットで何でも手に入る時代だからこそ、
こうした“見える関係性”に価値を感じる人は増えています。


地域材と暮らしをつなぐ新しい仕組み

コダマプロジェクトは、地域材を活かしながら、山と街をつなぐ取り組みです。

ウッドデザイン賞の受賞が示すように、その本質はモノではなく仕組みのデザインにあります。

体験型家具「コダマデスク」、
動かせる小屋「コダマベース」。

それぞれは単体のプロダクトでありながら、暮らしと地域をつなぐ接点として機能しています。

地域材や木の暮らしに関心がある方は、こうした取組みから見てみるのもひとつの方法かもしれません。

□コダマプロジェクトHP

森と林の違いから考える|再生木材の家具と木と暮らすという選択

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森さん、林さん。

どちらも木を使った苗字です。

森は木が3つ、林は2つ。

ここで森や林がつく言葉を思い浮かべてみました。(みなさんも、パッと思いつく単語をあげてみてください)

「森」

鎮守の森

森林

森羅万象

 

「林」

竹林

雑木林

防風林

人工林

母樹林

針葉樹林

広葉樹林

 

こうしてみると、「森」がつく言葉って意外と思いつかないものですね。

 

森と林、違いは「木」の本数じゃなかった!

ところで、漢字は象形文字から作られたという話は皆さんご存知かと思います。ということは、林は木が2本隣同士に並び、森は木が3本、森のほうが茂っているようなイメージがありますよね。

 

でも実際に辞書を引いてみると、私が考えていたものとは逆でした。

 

森:「樹木が成り立つ所」

林:「樹木の群がり生えた所」

 

とあります。意味からみると、林のほうが木が多そうです。確かに、「熱帯雨林」「密林」など、木が密集しているものに「林」の文字が使われています。逆に、神社などにある「鎮守の森」は、そこまで木が生い茂っている様子はないけれど「森」と呼ばれていますよね。

 

調べてみたところ、「森」「林」の意味は、使われている木の本数で規模や面積などをはかれるものではないということがわかりました。

 

「森」は「盛り」、「林」は「生やし」。

「森」と「林」の違いを端的に教えてくれるサイトはないものかと探していたら、ジャパンナレッジの記事を見つけました。元小学館辞典編集部編集長の神永 曉さんが書かれた記事ですが、そのなかに、書かれていた一文にハッとしました。

 

まさか子どもに、「森」の方が「林」よりも、「木」の数が1つ多いので、「森」の方が木がうっそうと茂っていたり、樹木が生えている面積が大きかったりする、などと答えている人はいないと思うが。

 

恥ずかしながら私です。大人になるまでちゃんと考えたことがなかった…。

語源をたどると

「森」は「盛り」、

「林」は「生やし」。

盛り上がっているのが「森」で、樹木が集まってはえている状態が「林」なのだそう。

かろうじて私の頭に浮かんだ「鎮守の森」も、地域の神様をまつった神社を取り囲む木立のこと。小高く盛り上がっているように見えることから「盛り」=「森」なんですね。

「林」は「生やし」―。

生やすのは人だから。そう考えると人の手が入っているのが林と考えるのもあながち間違いではないのかも? と調べてみたところ、日本の林業ではその解釈で区別することもあるようです。

人の手によって「生やし」→「映やす」→「栄やす」。例外もあるでしょうが、健全に育つように管理、保護しているものが「林」という解釈のようです。

 

森林は❝緑のダム❞

「森」「林」の違いがわかったところで、そんな2つが合体した「森林」についても。

樹木が密生している場所である森林は、“緑のダム”とも呼ばれています。みなさんもご存知の通り、水を貯えたり放出したりする調節機能があるんです。森があることで土壌が安定し、雨が多いときには水を吸収し、川への流出を緩やかにしてくれます。土の中に貯えた水を調節しながら放出することで川の増水などを防ぐ役割もあります。

ただ、最近は林業の人手不足が深刻さを増し、森林の手入が行く届かないという現状がいたるところでおこっています。手入れが行き届かなくなった人工林は、土が流れ出やすい状態になることも。

本来、人工林は木を育てる過程で間伐を行い、光や風が通る環境をつくっていきます。そうすることで、地面には下草が育ち、土がしっかりと保たれます。けれども、管理が難しくなった森では木が密集し、光が届かず、地面を覆う草も育ちにくくなります。その結果、雨のたびに土が流れやすくなってしまうのです。

日本だけでなく、熱帯雨林のジャングルでも同じような状況が生まれています。木材として利用するために樹齢100年を超える木が容赦なく切り倒されています。時間をかけて育った木が、あっけなく消費されてあっけなく使い捨てになる感じは、なんだか腑に落ちないですよね。

森林の循環の中にある暮らし

とはいえ、木を伐ることが悪いというわけではありません。日本は人工林が多いので、むしろ間伐が必要です。大事なのは無駄な伐採をしないということ。

「再生」「リサイクル」は今や当たり前の時代。ノートやコピー用紙、段ボールやガラス、日常のいろんなものが再生されています。木も同じ。たとえば、古い家の梁や床材を使った家具。学校や工場で使われていた木材を再加工したテーブル。ワイン樽を解体してつくった棚やスツールなど、再利用は進んでいます。

座卓を再生したダイニングテーブル(rewood

使われなくなった座卓をリメイクしたテーブルも、注目を集めています。今では手に入りにくい希少な木材を使った、重厚な一枚板。デザインが古いという理由だけで手放されていたものを、現代の暮らしに合うかたちへと整えています。

日本に眠る一枚板を買い取り、再び活かすことは、不要な伐採を減らし、持続可能な森づくりにもつながるのです。

再生材は仕事用のデスクや洗面台などにも利用でき、個性的な趣を演出してくれます(rewood

人の暮らしは、森と林の循環の中にあります。
「森」と「林」の違いを考えていくうちに、人と自然は生かし生かされる関係にあるのだな~と感じました。

レスキューされた一枚板が展示保管されている無人ショールームREWOOD WAREHOUSE(岐阜県中津川市)。好きな時に見学ができます。見学予約はHPをご覧ください。https://re-wood.jp/rewood-warehouse/

 

【参考】

ジャパンナレッジ

「森」と「林」の違いって何?

https://japanknowledge.com/articles/blognihongo/entry.html?entryid=495

 

森林・林業学習館

「森」と「林」の違い

https://www.shinrin-ringyou.com/topics/mori-hayashi.php

 

 

長い時間を生きた木と向き合う。国松希根太《WORMHOLE》という作品

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奇妙な斑点・ワームホール

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だいぶ昔、楽器店で少し不思議な見た目のギターを見かけたことがあります。ボディにはポツポツと黒い斑点のようなものがあり、ところどころに、うねるようなひび割れも入っていました。よく見ると、その斑点はただの模様ではなく、小さな穴。

調べてみると、それは「ワームホール」と呼ばれるものだと知りました。つまり、虫食いです。

こうした虫食いの木材は、一般的には楽器にはほとんど使われません。そのため流通することも少なく、ちょっと珍しい存在。そんなこともあって、ずっと記憶に残っていました。

 

樹齢300年超のミズナラを使った「WORMHOLE」

《WORMHOLE》2025年 約390×120×100cm 木(ミズナラ) 2025年日本国際博覧会 展示風景 展示場所:コネクティングゾーン ポップアップステージ北 空の広場 撮影:忽那光一郎(画像提供:十和田市現代美術館)

 

ところで、なぜ急にそんな昔の記憶を思い出したのかというと、「WORMHOLE」というアート作品を知ったからです。
樹齢およそ300年のミズナラなどの巨木を用いた作品で、大きな木そのものをアートへと昇華させています。形や大きさは作品ごとに異なりますが、多くは高さ2メートルほどのスケールで、圧倒的な存在感を放っています。2025年に大阪で開催された国際博覧会では、4メートル弱の作品も展示され、話題となりました。

作者は、彫刻家の国松希根太(くにまつ・きねた)さん。北海道生まれで、2002年から北海道白老町を拠点に制作活動を続けています。

国松希根太 撮影:笹島康仁

【国松希根太 プロフィール】1977年北海道生まれ。多摩美術大学美術学部彫刻科を卒業後、2002年より飛生アートコミュニティー(北海道、白老町)を拠点に制作活動を行なう。また Ayoro Laboratory (2015-)の活動を立石信一(現:国立アイヌ民族博物館学芸員)と展開、飛生アートコミュニティーで結成されたアーティスト・コレクティブ THE SNOWFLAKES (2020-)の一員としても活動を続ける。※十和田市現代美術館HPより抜粋(画像提供:十和田市現代美術館)

 

国松さんの作品「WORMHOLE」。
タイトルの「ワームホール」は、宇宙に存在する時空をつなぐといわれるトンネルのこと。同時に、木にあいた虫食い穴のイメージも重ねられていて、作品には「時空を超えてワープする入り口(穴)」「虫食い穴」という、二つの“穴”が表現されています。

 

この作品に惹かれた理由は、ひとことで言うと「木のオーラ」。

木というのは、自然の中に立っているときがいちばん美しい——そう思っていたのですが、この作品を見たとき、むしろ自然の中にあるとき以上の存在感をまとっているように感じたのです。

 

木肌にまとうオーラと人間味

《WORMHOLE》 2024年 札幌国際芸術祭2024 展示風景 撮影:藤倉翼(画像提供:十和田市現代美術館)

 

どこか、人が立っているようにも見える「WORMHOLE」。このシリーズは木の表面をバーナーで焼き、黒く焦がした部分がつくられています。角度によっては、その黒い部分がぽっかりと開いた穴のようにも見えて、少し不穏な気配も漂います。

国松さんは、動画の中である体験について語っていました。

“近づいてはいけない洞窟”を訪れたときのことです。

自然に岩が崩れてできた洞窟で、アイヌの人たちはそこを「あの世への入り口」と呼んでいるのだそうです。

 

洞窟の中は、真っ暗。

 

「真っ暗闇って、ちょっと怖い。自然は美しいだけじゃなくて、そういうちょっと怖いっていう意識も必要だなと感じていた時期があった。でも真っ暗闇の中って、何かを想像したり自分のことを感じたりする場所でもある」

そんな言葉が、印象に残りました。

 

十和田での制作風景 2025年10月4日   撮影:小山田邦哉

 

美しい木目があらわれている面と、黒く焦がされた面。ゴツゴツとした無骨な表情と、つるりと整えられた滑らかな面。

その対比を見ていると、どこか人間の精神のあり方にも重なって見えてきます。表面では笑っていても、内面では怒っていたり。逆に、いかつい表情の奥に、とても繊細な感情を抱えていたり。

やわらかく自然な木肌と、焦げた黒のコントラスト。そのバランスが、見る人の想像力をぐっと引き出してくれるように感じました。こうした木の個性は、国松さんの手によって引き出されているのかもしれません。

 

 

ここまで、まるで実際に見てきたかのように書いてしまいましたが、実はまだ画像で見ただけ。きっと実物は、もっと迫力があり、圧倒される存在なのだろうと想像しています。

現在、青森県の十和田市現代美術館にて国松さんの展覧会が開催されています。遠くの方も近くの方も、実際の作品をぜひ目にしてもらいたいと思います。(展覧会の詳細は文末に)

 

時空を超えて「命に向きあう」感覚

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国松さんは、樹齢の長い大木を素材に作品を制作するなかで、「命に向き合っているような感覚がある」と話します。「WORMHOLE」という作品名に込められた「時空を超えてワープする入り口(穴)」という意味も、そうした感覚とどこか重なっているように感じられます。長い年月を生きてきた木と、今ここにいる自分自身。時空を越えて向き合う時間のなかで、新たに見えてくるものがあるのかもしれません。

 

国松さんの作品を見ながら、木という素材について改めて考えました。

虫が通った跡や、長い年月のなかで刻まれた傷や割れ。かつては“欠点”とされていたようなものも、見方を変えれば、その木が生きてきた時間の証でもあります。家具の世界でいうと、そうした跡を欠点として消すのではなく、木が過ごしてきた時間の一部として受け止め、家具に生かすという考え方が、最近になってまた注目されているようにも感じられます。

rewood/Instagram

 

長い年月を重ねた木を前にすると、ただの素材というより、どこか“生きてきたもの”と向き合っているような感覚になることがあります。国松さんが語っていた「命に向き合っている」という言葉も、少しわかる気がしました。

rewood/Instagram

 

 rewoodプレミアム/樹齢150年以上の貴重な材を再生したテーブル

 


 ■国松希根太 連鎖する息吹

《ICE CAVE》2024年 40.5×36.5×30cm 木(センノキ)に胡粉 撮影:瀧原界

 

会期:2025年12月13日(土) – 2026年5月10日(日)

場所:十和田市現代美術館(青森県十和田市西二番町10-9)

時間:9:00 – 17:00(入場は閉館の30分前まで)

休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)

料金:一般1800円(常設展含む)、高校生以下無料

 

【画像提供】十和田市現代美術館

アイキャッチ画像: 《WORMHOLE》2024

札幌国際芸術祭2024 展示風景

撮影:藤倉翼

 

60年に一度の丙午(ひのえうま)。烈火の女・お七の迷信と美しい木馬のはなし

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私の大好きな作家・原田マハさんの新刊「晴れの日の木馬たち」が発売になりました。いつ読もうかワクワクしながら表紙だけ見つめています。

本を読み始めると、やらなきゃいけないことを後回しにしてしまうので、今はもう少しだけガマン・・・。

 

迷信「丙午の年生まれは嫁ぎ先に災いをもたらす」

さて、木馬といえば、馬。今年は午年ですね。

60年に一度の丙午(ひのえうま)ということで、ニュースでもさまざまな角度から取り上げられています。代表的なものは「丙午の産み控え」でしょうか。

日本には「丙午の年生まれの女性は気性が激しく、嫁ぎ先に災いをもたらす」という迷信があり、過去の丙午には出産を控える人が増え、出生率が激減するといった現象が起きていたそうです。実際に、1966年の昭和の丙午の出生率は前年比25%減。46万人の減少となり、統計をとりはじめた明治以降で最も少なかったのだそう。

言い伝えの由来は、江戸時代にさかのぼります。

八百屋のお七が、好きな男に会いたい一心で放火した、という事件がきっかけといわれています。当時、放火は大罪。お七は17歳の若さで引き回しのうえ、火あぶりの刑に処されます。このお七が丙午の生まれであったことから、前述のような言い伝えになったというわけです。※諸説あり

芳年「松竹梅湯嶋掛額」(国立国会図書館デジタルコレクションより)
芳年「松竹梅湯嶋掛額」(国立国会図書館デジタルコレクションより)

 

丙午はエネルギッシュな火の年

烈火のおんな・お七の恋愛悲劇は歌舞伎や文楽として上演され、庶民に広がっていきました。そして次第に「丙午の年生まれの女性」への根拠のない差別が広まることになってしまったということです。

もちろんこれは迷信。今の時代は気にしないという人も多いですし、逆に丙午生まれはラッキーと考える人も。確かに、出生率が低いということは受験の時の倍率や就活なんかも楽だったりするのかもしれませんね。

また、丙午の年は「火」のパワーが高まる時期ともいわれています。大きな決断を下したり、新しいチャレンジをしたりすることで、物事がいい方向に向かうエネルギッシュな時期なんですって。

美しいフォルムのヒノキの木馬

木馬といえばもう一つ。

子どもが乗る「木馬」について。ちょうど昨年、ヒノキでできた木馬を見る機会がありました。

岐阜県産の東濃ヒノキを使った美しい木馬です。

画像提供:えんとりん

これは、岐阜県で檜風呂をつくっている檜創建さんのブランド「えんとりん」から発売される新作。同社が長年にわたって培ってきた檜風呂づくりの技が凝縮されています。

特に印象に残ったのは手触り。ヒノキならではのやさしさや、木肌のきめの細かさが伝わってきます。子どものおもちゃには、できるだけこだわりたい。そんな方の目に留まりそうだなと感じました。

小さいころから本物に触れる経験は、やはり大切だと思います。天然木ならではの香りや質感を感じられますし、素材がシンプルな分、敏感肌のお子さんにも安心して使ってもらえそうです。

画像提供:えんとりん

「えんとりん」には、ベビーバスもあります。
こちらも触ってみてまず感じたのは、やはり手触りの良さ。独自の技術で「タガ」を使わない設計になっているそうで、そのおかげか、フォルムがとてもなめらかです。職人の方が丁寧につくられていることが伝わってきました。

「えんとりん」ベビーバス

お風呂も木馬も、どちらも子どもが直接触れるもの。毎日使ったり、ふと目に入ったりするからこそ、素材がいいとそれだけで気分が上がります。理屈抜きで「触って気持ちいい」というのは、やっぱり強いですね。


今回は「午」にまつわる話から、木のおもちゃや道具の話まで、あちこち寄り道してしまいました。「午(ウマ)」は、行動力や勝負運の象徴。物事が勢いよく進んだり、前向きな歩みを後押ししてくれる存在とされています。丙午、あっという間に1月も終わろうとしていますが、今年もみなさまにとって、いいペースで走れる一年になりますように。

【参考】

檜創建
https://www.hinokisoken.jp/

明治の宗教哲学者・清澤満之。 記念館で見た究極のミニマル空間

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愛知県碧南市にある美術館を訪れた際、近隣を散歩していて見つけた「清澤満之記念館」。正直なところ、それまでまったくその名を知らなかったのですが、なんとなく気になって、入館してみることにしました。

 

白樺湖の“冬木立”で感じた「削ぎ落とされた美しさ」

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冬木立―。

言葉を見るだけで、静かな風景が思い浮かぶ日本語ですよね。

先日、長野県の白樺湖を訪れました。冬の空気をまとった白樺の並木がとても美しく、「冬木立」という言葉が頭に浮かんできました。葉を落とし、幹と枝だけになった木々が、雪の中で凛と立つ姿。その削ぎ落とされた佇まいは、不思議と整って見えます。

冬木立には、静けさと同時に、どこかもの悲しさも漂っているところが、私が心惹かれる理由なのかも。

新緑が生い茂る夏の木と比べると華やかさはないものの、その分、枝や幹の表情がはっきりと現れ、木そのものの美しさが際立つ―。削ぎ落とされたものが持つ美しさとでもいうのでしょうか。華やかさを手放したあとに残る輪郭や静けさが、かえって印象を深めているように感じるんですよね。

冬木立の静けさとリンクする、暮らしの中にある木の存在

rewoodショールーム

余分なものを足さなくても、そこに立っているだけで成立している—。そんな佇まいは、暮らしの中で選ぶものの基準にも、なんとなく重なる部分がある気がします。家具を見ていても、「主張しすぎないのに、なぜか印象に残る」ものってありますよね。木目や質感に奥行きがあって、時間の流れを受け止める包容力みたいなものが感じられたりして。

そうした家具に多く使われている木のひとつが、オークです。はっきりとした木目と力強さがありながら、使い込むほどに表情が落ち着き、空間に静かに馴染んでいきます。ダイニングテーブルやチェアに選ばれることが多いのも、日常の中で自然の頼もしさを感じさせてくれるからかもしれません。

使い込むほどに味わいが増すオーク材

似た性質を持つナラ材も、時間とともに深みが増していく樹種です。まっすぐで素直な木目は、空間を整えすぎず自然体のまま支えてくれる印象があります。家族の暮らしにナチュラルに寄り添ってくれる、そんなイメージがわいてきます。

明るめな床板にも似合うナラの一枚板テーブル

一方で、ウォールナットは、より大人びた雰囲気をまとった樹種です。
深い色合いと落ち着いた木肌が光をやわらかく抑え、空間に静かな陰影をもたらします。ソファフレームやキャビネットに取り入れると、冬の穏やかな時間にもよくなじむ、余白を感じさせる佇まいが生まれます。

しっとりと落ち着いた雰囲気のウォールナット材

そうした佇まいに惹かれるのは、暮らしの中でも静かに時間を重ねていけるものを、私たちが無意識に選び取っているからなのかもしれません。

 

木製家具と時間を重ねる暮らし

林業の世界では、寒伐(かんばつ)といって冬に木を伐ることがあります。冬に伐られた木は水分が少なく、狂いが出にくいため、無垢材家具に適しているといわれています。

そんな話を思い出しながら森を歩いていると、冬の木々の静けさも、ただ眠っているのではないように見えてきました。

木が冬に葉を落とすのは、寒さや乾燥から身を守るため。外からは止まって見えても、内側では次の季節に向けた準備が進んでいます。家具や床材として暮らしの中にある木も、かつてはこうして季節を越えてきたんだな~とぼんやり考えながら、冬の長野を後にしました。

小さな冬の旅を終えて家に帰ったとき、部屋の中にある家具をみてふと、長野の冬木立とこの部屋の中にある木の存在がどこかでつながっているように感じられました。

今、マグカップを置いているこのダイニングテーブルも、いくつもの季節を越えてきたんだなと思うと、いつもと見え方が違ってきてより愛しさが増してきます。そろそろ大掃除の季節だし、テーブルもオイルを塗ってケアしてあげなきゃな、とか考えながら、しばらく旅の余韻に浸ったのでした。