コダマプロジェクトとは?「山と街をつなぐ地域材活用の取り組み」

コダマプロジェクトとは、地域の山で育った木(地域材)を活かしながら、山と街、人と人をつなぐ取組みです。
特徴的なのは、家具や建築といった“モノづくり”を軸にしながらも、単なる製品開発にとどまらない点にあります。
木材がどこで育ち、誰が関わり、どのように手元に届くのか——
その一連の流れを、使い手にまでオープンにしていること。
いわば、“素材の背景まで含めて届けるプロジェクト”です。
日本は森林が豊かな国。けれど今、街で使われている木の多くは、遠く海外からやってきたものです。
山には使われないままの木が残り、林業もかつての勢いを失いつつあります。
そんな流れを見直し、山と街のつながりを取り戻そうとしているのが、コダマプロジェクトです。
ウッドデザイン賞受賞|評価された“連携・協働の仕組み”

この取り組みは、社会的にも評価されています。
コダマプロジェクトは、ウッドデザイン賞 ソーシャルデザイン部門(コミュニケーション分野)において、「パートナーシップ/連携・協働のシステム・仕組み」として受賞。
評価されたのは、木製品のデザイン性ではなく、山側(林業・製材)と街側(販売・生活者)をつなぐ仕組みそのもの。
プロジェクトには、
- 林業従事者
- 製材・木工
- 家具販売
- デザイナー
- 使い手
といった多様な立場の人が関わっています。
それぞれが分断されがちな木材流通の中で、顔の見える関係を築いている点が評価につながっています。
体験型家具「コダマデスク」とは? 特徴と仕組み

山での体験合宿がセットになった学習机
コダマプロジェクトを象徴するプロダクトが、体験型の学習机「コダマデスク」です。
この机の特徴は、購入するとまず山へ行くこと。

親子で一泊二日の合宿に参加し、
- 木の伐採現場の見学
- 丸太切り体験
- 山の自然に触れる時間
- 自分の机に取り付けるパーツの制作
といったプロセスを経て、後日机が自宅に届きます。
単なる家具購入ではなく、
「木が机になるまで」を体験する設計になっています。

コスト公開による透明性
もうひとつの特徴が、価格の透明性です。
コダマデスクでは、
- 伐採・製材費
- 加工費
- 組立費
など、各工程のコストが公開されています。

一般的には見えにくい部分まで開示することで、価格ではなく納得感で選ぶという価値観を提示しています。
作り手と使い手をつなぐ仕組み

この取り組みによって変わるのは、使い手だけではありません。
これまで林業に携わる人たちは、自分たちの木材が誰に使われているかを知る機会がほとんどありませんでした。
しかしコダマプロジェクトでは、実際に使う家族と出会うことができる。
その結果、作り手の側にも仕事への実感や意識の変化が生まれているといいます。
小屋「コダマベース」とは? 価格・用途・魅力

コダマベースの特徴(地域材・施工方法)
コダマプロジェクトの次の展開として生まれたのが、木造のコンパクトな小屋「コダマベース」です。
岐阜県産のスギやヒノキといった地域材を使用し、山の近くで組み立てたものを街へ運び、設置する仕組み。
このプロセス自体も、山と街をつなぐ構造の延長にあります。
使い方(書斎・趣味部屋・ワークスペース)

コダマベースは、コンパクトで自由度の高い空間です。
販売開始から6年。認知度があがり年間販売台数も増えている注目の小屋。
どんな目的で購入されるのかといえば
- 在宅ワーク用の書斎
- アトリエ
- 趣味に没頭する部屋
- 家とは少し距離を置ける場所
といった用途が多いとか。
「部屋を増やす」というよりも、
暮らしにもうひとつの選択肢を加える存在といえそうです。
なぜ小屋という形なのか

住宅のような大規模建築ではなく、あえて“小屋”という形が選ばれるのか―。
理由のひとつは、現実的なハードルの低さにあります。
- 設置の自由度
- コストのコントロール
- 導入のしやすさ
こうした点から、
地域材の活用をより身近なものにするアプローチとして、小屋という形が採用されています。
なぜ地域材が注目されているのか|林業と木材利用の現状

日本は国土の約7割を森林が占めていますが、現在流通している木材の多くは輸入材です。
その背景には、
- 海外材の価格競争力
- 林業の担い手不足
- 木材流通の分断
といった課題があります。
また、戦後に植林されたスギなどが成長期を迎え、伐採されないまま放置されている木が増えていることも問題視されています。
地域材を活用することは、
- 森林の健全な循環
- 地域経済の活性化
- 環境負荷の低減
といった複数の側面に関わるテーマでもあります。
コダマプロジェクトが提案する新しい価値観

コダマプロジェクトが提示しているのは、単なる木製品の魅力ではありません。
- どこから来た素材か
- 誰が関わっているのか
- 自分がどう関わるのか
そうした背景まで含めて選ぶという、
新しい価値基準です。
インターネットで何でも手に入る時代だからこそ、
こうした“見える関係性”に価値を感じる人は増えています。
地域材と暮らしをつなぐ新しい仕組み

コダマプロジェクトは、地域材を活かしながら、山と街をつなぐ取り組みです。
ウッドデザイン賞の受賞が示すように、その本質はモノではなく仕組みのデザインにあります。
体験型家具「コダマデスク」、
動かせる小屋「コダマベース」。
それぞれは単体のプロダクトでありながら、暮らしと地域をつなぐ接点として機能しています。
地域材や木の暮らしに関心がある方は、こうした取組みから見てみるのもひとつの方法かもしれません。



