スタッキングチェアとは。国産檜の椅子「コダマチェア ZEN」に込められた、山と職人の物語

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重ねられる椅子、と聞いて思い浮かべるもの

重ねられる椅子=スタッキングチェアと聞くと学校や会議、セミナーやイベントなど、大勢が一度に集まるときに並べられるいわゆる、いわゆるパイプ椅子のようなものを想像してしまうのですが、みなさんはいかがですか?

調べてみると、最近のスタッキングチェアって、すごくおしゃれなものが増えていることに驚きました。そもそもたくさんの椅子が必要になる場面がなかったので、これまで気にしたことがなかっただけなのですが……。スチールやアルミ、樹脂フレームのものから、木製まで。調べてみると、スタッキングチェアの世界は思っていたより広くて深い!

コダマプロジェクトが手がけるコダマチェア「ZEN」も、そんなスタッキングチェアのひとつ。使わないときは重ねておけて省スペース。しかも全部、檜の無垢材でつくられているんです。実は木の椅子でスタッキング、という組み合わせは珍しく、その背景にはコダマプロジェクトらしい開発の道のりがありました。

コダマスタッキングチェア「ZEN] 

そもそもスタッキングチェアとは

スタッキングチェアとは、重ねて収納できる椅子のこと。省スペース性が求められるオフィスや店舗、公共施設などで使われることが多く、軽さと強度を両立させる必要から、スチールやアルミ、樹脂といった素材でつくられるのが一般的です。

木、それも無垢の針葉樹でスタッキングチェアをつくる例は、実はあまり多くありません。針葉樹は広葉樹に比べて密度が低く、椅子としての強度を出しにくいとされてきたからです。「ZEN」は、その難しさにあえて挑んでつくられた椅子です。

東農檜(国産針葉樹)を使用した「ZEN」。重ねた佇まいもすっきりとして美しい

なぜ、檜でスタッキングチェアをつくったのか

「ZEN」の素材は、東白川村産の檜です。プロジェクトの拠点である東白川村は、日本の森林の50%以上を占める針葉樹の産地のひとつ。「上流の山と下流の街の人と人をつなぐ」というコダマプロジェクトのコンセプトを鑑みると、椅子の素材として東白川産の針葉樹を避けて通ることはできませんでした。

あえて檜を選ぶ。それは、産地にある木をそのまま活かすという、プロジェクトの姿勢そのものです。

【関連記事】

コダマプロジェクトとは?地域材活用の取組みと体験型家具・小屋「コダマベース」|ウッドデザイン賞受賞歴も

7000回の強度試験、そして一度壊れた背もたれ

デザインを手がけたのは村澤さん(ムラサワデザイン)、製作を担ったのは内木さん(然)という、コダマプロジェクトの家具部門を担うおふたり。

木材を太くすれば強度は出せますが、それでは見た目の軽やかさが損なわれます。檜本来の木目の美しさを活かしながら、必要な強度を確保する。デザインと強度、どちらも譲らないための答えを出すのに何度も試作を重ねたといいます。

実は、椅子というものは家具の中でも厳しい基準があるそうで、商品として完成させるまでには大変な苦労があるのだといいます。

人が安全に身体を預けられるかどうか、厳しい基準が設けられています。家庭用・オフィス用・学校用・公共施設用と、用途ごとに満たすべき強度基準があり、公共機関に置かれることを想定場合とかなりの強度、耐久性が求められるのは想像に難くないですよね。

日常使用を想定した静的試験、急な力を加えた際の衝撃試験、長期使用を想定した耐久性試験。この3つをクリアして、はじめて人の手元に届けられる状態になります。

座面に60kgの重りを載せ、背もたれに機械で負荷をかけるという椅子の強度試験。
「ZEN」の試作ではこの試験の段階で接合部分が剥がれてしまい、あえなく断念という結果に終わったことも。

コダマチェアの強度試験の様子

強度だけを優先するならば、椅子の足をがっちりと太くし、座面も分厚くすればクリアはできるでしょう。でも、それではデザインが損なわれ、さらに日常的に使うには重たすぎるという問題も出てきます。見た目を損なわず、軽くて丈夫、という理想を実現させるために、デザインを一から考え直すとことから再出発することにした村澤さんと内木さん。

椅子をすべてバラして接合部の加工を見直し、ダボとネジで補強。座面の間口を広めに、奥行きを浅く取ることで、直線的で北欧スタイルを思わせる脚のラインにリデザインする―。そうした地道なやり直しを重ね、最終的に超難関の約7000回の強度試験をクリアしました。

きれいに仕上がった椅子の裏側に、こんな開発秘話があるとは…。なんだか1脚の椅子の誕生にも重みが出てきますね。

「ZEN(然)」という名前

「ZEN」という名前について、由来はふたつあります。

ひとつは製作を担った工房の名前「然(ぜん)」から。もうひとつは、椅子のフレームがアルファベットの「Z」を描いていることから。工房の名と、椅子の構造。ふたつの「Z」が重なって、この名前になりました。

コダマスタッキングチェア「ZEN」¥49,500(税込)

「然」という字は、「自然」「天然」「当然」というように、ものごとが本来あるべき姿でそこにある、という意味を持つ字です。飾りたてず、無理に手を加えず、あるがままの状態を良しとする。この一字を名前に選んだ背景には、木という素材への向き合い方そのものが表れているように思います。

そしてローマ字で「ZEN」と書くと、日本語を知らない人にも「禅」を連想させます。静けさ、簡素さ、削ぎ落とされた美しさ。宗教的な意味合いを離れても、「ZEN」という響きにはそうしたイメージが自然と重なります。

優しい手触りは針葉樹ならでは

装飾を足すのではなく、引いていくことで完成に近づける。そう考えると、「然」も「ZEN」も、この椅子がどうつくられたかという事実と、驚くほど重なって見えてきます。名前を後から当てはめたというより、椅子そのものが持っていた性質に、ちょうど合う言葉が見つかった。そんなふうに感じます。

会議室の椅子は、なぜ座り心地を後回しにされるのか

さて、ちょっと話は変わりますが、学校の椅子、会議室の椅子って、長時間座ることが前提の場所なのに、座り心地について語られることはあまりありませんよね。
集中していれば椅子のことなど気にならない、というのも一理あるのですが、実際には長時間の窮屈な姿勢が、集中力や発想力にじわじわ影響しているのではないかと思うことがあります。

もし、あの場所にある椅子が、パイプ椅子ではなく、「ZEN」のような檜のスタッキングチェアだったら―。軽い、重ねられる、耐久性がある、という実用性はそのままに、座る人の体験はずいぶん変わるのではないでしょうか。

檜には、抗菌・防虫効果があるとされています。また、あの独特の香りにはリラックス効果があるとも言われ、脳や自律神経をリラックスさせる効果があるという研究結果も発表されています。森林浴に近い感覚を得られるという話も以前このブログでも紹介したとおり。長時間の会議などふと息が詰まりそうなときでも、ふと檜の香りがしてくると、思考をほぐしてくれそうな気がしますよね。

椅子ひとつで、空間は変わります。堅い議題を話し合う会議室に、木の質感とほのかな香りがあるだけで、意外といいアイデアが生まれやすくなるかも。ちょっと気が重いミーティング、「ZEN」みたいな檜の椅子が置いてあったらいいのにな~と妄想してしまいました。

【関連記事】

AI時代に“手触り”が求められる理由|デジタルAI疲れを癒す木の力とは

【参照】コダマスタッキングチェア「ZEN」

コダマスタッキングチェア ZEN・ゼン 「積み重ねるのは、椅子だけじゃない。地域とのつながりも。」

<木曽五木>地味だけど頼れる。ネズコが天井材に愛される理由

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木曽五木と聞いて、まず思い浮かぶのはヒノキやコウヤマキかもしれません。香りがよく、木目も美しく、神社仏閣にも使われる「主役級」の木々ですよね。

でも今回紹介する「ネズコ」は、そのなかでちょっと異色の存在。派手さはないけれど、実は昔から暮らしの縁の下でずっと私たちを支えてきた木なんです。

「クロベ」とも呼ばれる、控えめな木

「ネズコ」という名前、実は当て字です。材の色が鼠色をしていることから、木偏に鼠と書いて「ネズコ」と読ませたのが由来だといわれています。ヒノキ科の常緑針葉樹で、色味も香りも装飾性も控えめ。木曽五木のなかでは一番地味な存在かもしれません。

また、葉が黒っぽいことから別名「クロベ(黒桧)」とも呼ばれます。材は鼠色、葉は黒っぽい色。ひとつの木に、動物と色、両方の由来が重なっているのも面白いところです。

軽くて狂いが少ない。実用性の塊

華やかさでは他の木曽五木に一歩譲るネズコですが、木材としての実力は侮れません。

  • 軽い:加工や運搬がしやすく、扱いやすい
  • 狂いが少ない:反りや割れが起きにくく、安定している
  • 加工しやすい:職人にとって扱いやすい木材

 

香りや木目の美しさで選ばれるヒノキやコウヤマキに対して、ネズコは「扱いやすさ」「安定感」という実用面の強さで評価されてきた木です。耐朽性もそこそこありながら、価格帯は比較的手頃という位置づけも、地味だけど頼れる所以かもしれません。

天井板、障子、下駄…目立たないけれど暮らしを支える木

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そんなネズコが古くから使われてきたのが、天井板や障子などの建具材、和机、下駄、指物(さしもの)といった道具たち。

どれも「見せる」ためというより「使う」ための場所。派手な化粧材として表舞台に立つことは少なくても、天井を見上げたとき、障子を開け閉めしたとき、下駄を履いたとき——気づかないうちに、ネズコは私たちの暮らしのすぐそばにありました。

 

「イヌ」がつく木、実は優秀?

イヌシデ

実はネズコ、関東では「イヌビ」とも呼ばれています。ねずみが由来なのに「イヌ」がつくとは、ちょっと意外ですよね。ちょっと調べてみたところ、「イヌ」がつく木は他にもたくさんあるみたいです。「イヌエンジュ」「イヌマキ」「イヌツゲ」「イヌシデ」などなど。一般的に植物の名前に「犬」がつくと、似ているけれど本家より役に立たない、または質が劣るという意味で使われることが多いんだとか。

ネズコの別名は「クロベ(黒檜)」。檜(ヒノキ)に似た木、という位置づけですが、ヒノキのようなあの独特の芳香はありません。もしかすると、「檜に似ているのに香りがない」というところから、「イヌ」がついたのかも?というのは筆者の勝手な想像ですが…。

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家具づくりの世界でも、この考え方と近いものがあるかもしれません。テーブルなら天板の樹種や木目の美しさに目が行きがちですが、脚部やフレーム、引き出しの内部といった見えない部分にこそ、狂いの少なさや安定感が求められることがあります。

表に立つ木と、支える木。その組み合わせがあってこそ、長く使える一台になるのだと思うと、ネズコの生き方は家具づくりの哲学そのものにも重なる気がしてきます。

「地味」だからこそ、長く愛される

ヒノキやコウヤマキのような主役級の木々に比べると、ネズコは決して目立つ存在ではありません。でも、狂いが少なく扱いやすいという特性は、まさに「長く使われる」ための資質そのもの。

派手さより、安定感。存在感より、扱いやすさ。

そう考えると、ネズコの控えめさこそが、何百年も暮らしのなかで生き残ってきた理由なのかもしれません。

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ちなみに「ネズコ」という響き、どこかで聞き覚えがある方も多いのでは。某有名アニメのヒロインを思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか(笑)。作中のヒロインも、見た目とのギャップで芯の強さを感じさせるキャラクターですが、木のネズコもまさに「見た目は地味でも芯は強い」タイプ。そう思うと、この木にちょっと親近感がわいてきませんか。

木曽五木シリーズ、次回はいよいよ最後の1本、コウヤマキをご紹介する予定です。お楽しみに。


【参考】


【木曽五木シリーズ>

60年に一度の丙午(ひのえうま)。烈火の女・お七の迷信と美しい木馬のはなし

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私の大好きな作家・原田マハさんの新刊「晴れの日の木馬たち」が発売になりました。いつ読もうかワクワクしながら表紙だけ見つめています。

本を読み始めると、やらなきゃいけないことを後回しにしてしまうので、今はもう少しだけガマン・・・。

 

迷信「丙午の年生まれは嫁ぎ先に災いをもたらす」

さて、木馬といえば、馬。今年は午年ですね。

60年に一度の丙午(ひのえうま)ということで、ニュースでもさまざまな角度から取り上げられています。代表的なものは「丙午の産み控え」でしょうか。

日本には「丙午の年生まれの女性は気性が激しく、嫁ぎ先に災いをもたらす」という迷信があり、過去の丙午には出産を控える人が増え、出生率が激減するといった現象が起きていたそうです。実際に、1966年の昭和の丙午の出生率は前年比25%減。46万人の減少となり、統計をとりはじめた明治以降で最も少なかったのだそう。

言い伝えの由来は、江戸時代にさかのぼります。

八百屋のお七が、好きな男に会いたい一心で放火した、という事件がきっかけといわれています。当時、放火は大罪。お七は17歳の若さで引き回しのうえ、火あぶりの刑に処されます。このお七が丙午の生まれであったことから、前述のような言い伝えになったというわけです。※諸説あり

芳年「松竹梅湯嶋掛額」(国立国会図書館デジタルコレクションより)
芳年「松竹梅湯嶋掛額」(国立国会図書館デジタルコレクションより)

 

丙午はエネルギッシュな火の年

烈火のおんな・お七の恋愛悲劇は歌舞伎や文楽として上演され、庶民に広がっていきました。そして次第に「丙午の年生まれの女性」への根拠のない差別が広まることになってしまったということです。

もちろんこれは迷信。今の時代は気にしないという人も多いですし、逆に丙午生まれはラッキーと考える人も。確かに、出生率が低いということは受験の時の倍率や就活なんかも楽だったりするのかもしれませんね。

また、丙午の年は「火」のパワーが高まる時期ともいわれています。大きな決断を下したり、新しいチャレンジをしたりすることで、物事がいい方向に向かうエネルギッシュな時期なんですって。

美しいフォルムのヒノキの木馬

木馬といえばもう一つ。

子どもが乗る「木馬」について。ちょうど昨年、ヒノキでできた木馬を見る機会がありました。

岐阜県産の東濃ヒノキを使った美しい木馬です。

画像提供:えんとりん

これは、岐阜県で檜風呂をつくっている檜創建さんのブランド「えんとりん」から発売される新作。同社が長年にわたって培ってきた檜風呂づくりの技が凝縮されています。

特に印象に残ったのは手触り。ヒノキならではのやさしさや、木肌のきめの細かさが伝わってきます。子どものおもちゃには、できるだけこだわりたい。そんな方の目に留まりそうだなと感じました。

小さいころから本物に触れる経験は、やはり大切だと思います。天然木ならではの香りや質感を感じられますし、素材がシンプルな分、敏感肌のお子さんにも安心して使ってもらえそうです。

画像提供:えんとりん

「えんとりん」には、ベビーバスもあります。
こちらも触ってみてまず感じたのは、やはり手触りの良さ。独自の技術で「タガ」を使わない設計になっているそうで、そのおかげか、フォルムがとてもなめらかです。職人の方が丁寧につくられていることが伝わってきました。

「えんとりん」ベビーバス

お風呂も木馬も、どちらも子どもが直接触れるもの。毎日使ったり、ふと目に入ったりするからこそ、素材がいいとそれだけで気分が上がります。理屈抜きで「触って気持ちいい」というのは、やっぱり強いですね。


今回は「午」にまつわる話から、木のおもちゃや道具の話まで、あちこち寄り道してしまいました。「午(ウマ)」は、行動力や勝負運の象徴。物事が勢いよく進んだり、前向きな歩みを後押ししてくれる存在とされています。丙午、あっという間に1月も終わろうとしていますが、今年もみなさまにとって、いいペースで走れる一年になりますように。

【参考】

檜創建
https://www.hinokisoken.jp/

<木曽五木>アスナロの木から考える“待つ力”|ネガティブ・ケイパビリティとは?

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すっかり私たちの生活に浸透している“タイパ”という言葉。説明するまでもなく、「時間あたりの効率の良さや効果の大きさ」を指すタイムパフォーマンスのことですが、自分も本当にタイパに侵され始めたな~と感じています。

例えば、CMを見たくないな~と思ってわざわざCMを飛ばせる録画でテレビ番組を見たり、映画のオープニングをスキップしたり。U-NEXT、Netflix、ディズニープラスといった動画配信アプリがあまりにも便利すぎて、映画館にわざわざ行かなくてもいいかな~とか。タイパ重視の生活になってきているのを実感しています。

そんなタイパとは対照的に「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉もよく聞かれるようになりました。みなさんはこの言葉、ご存知ですか?

 

ネガティブ・ケイパビリティ=答えの出ない事態に耐える力

ネガティブ・ケイパビリティとは、2017年、詩人のジョン・キーツが残した概念で、「容易に答えの出ない事態に耐えうる能力」と訳されます。私がその言葉を知ったのは、精神科医でもあり小説家でもある帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)さんの『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力(朝日選書)』がきっかけでした。

帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 』(朝日選書) 単行本 – 2017/4/10

この本には「ネガティブ・ケイパビリティは、拙速な理解ではなく、謎を謎として興味を抱いたまま、宙ぶらりんの、どうしようもない状態を耐えぬく力」だと書かれています。そして「その先には必ず発展的な深い理解が待ち受けていると確信して、耐えていく持続力を生み出すのです」(P77 「分かりたがる脳」)という続きの一節を読んで、ため息をつきました。私に必要なのはこれだと。

私ごとで恐縮ですが、自分はけっこうせっかちで答えがわからないと不安で焦ってしまう傾向があります。問題を早く手放して、解放されたいという気持ちが大きいんですね。これは、効率よく時間内に問題を解くことがよいことで問題を早急に解決する力を求められる日本の教育環境にも責任の一端がある!と他責にしてみたくなったりもするのですが(笑)

この「効率よく答えが欲しい」というのは、先に挙げたタイパと似ているなと考えていたとき、ふとアスナロの木のことを思い出しました。

 

アスナロに見たネガティブ・ケイパビリティ

以前、木曽五木・アスナロの名前の由来についての記事で、アスナロは「明日はヒノキになろう」が転じて「アスナロ」になったという俗説を紹介しました。

<木曽五木>アスナロの名前の由来は「明日はヒノキになろう」?!

木目が美しく、香りも爽やかで、抗菌効果もある、非の打ちどころのない秀才が「ヒノキ」。そんなヒノキに見た目がそっくりなのがアスナロです。でもヒノキにはなれない。そんなアスナロが「明日はヒノキになろう」と努力しているという前向きな意味合いは、目標をもつことの大切さや希望の象徴として捉えられています。

ヒノキやスギが50年ほどで成長するのに対し、アスナロの成長はその2倍、およそ100年かかるといわれています。成長が遅くとも「明日ヒノキになろう」と一生懸命に上を見上げているような気がして、けなげだな~という気持ちがこみあげてきます。

 

また、日のあたらない厳しい環境でも芽を出し生きながらえることができる、というのもなんだか人生を表しているようで、昔の人も親近感をおぼえていたのかもしれませんね。

とはいえ、アスナロ自身はそんなこと考えてもいないんでしょうけど(笑)。

むしろ、「ヒノキになろうがなれまいが、自分のペースで育つ」という強い意志が、まっすぐに成長する姿から感じられるような気もします。

 

興味をもってじっくり待ってみる

アスナロを見ていると、今日や明日ですぐに答えが出なくても、今の状態のまま、じっくりとまっすぐ進んでいけばいいのかなと思えてきます。名前の由来だけでなく、まっすぐに立つ姿からも、人は何かを受け取るのかもしれませんね。

 

タイパ重視の生活を少し見直し、すぐに答えが出ない日々の中にも耐えていくことで、きっと何かが好転していく——そんな希望をもち続けることが大切なんだなと思いました。

 

帚木さんの『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』は、おもしろいのでぜひ読んでみてほしい1冊。

医師である帚木さんだからこその切り口でネガティブ・ケイパビリティを解説する1冊。帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 』(朝日選書) 単行本 – 2017/4/10

精神科の医師は占いや悪魔退治をする祈祷師と同じとか、シェイクスピアや紫式部、鬼平犯科帳などを取り上げて、ネガティブ・ケイパビリティを解説してくれているので、気軽に楽しめると思いますよ。

香りの歴史と香木の魅力。日本文化に息づく香道と「香十徳」

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目には見えないけれど、その場の雰囲気をつくったり、その人の個性を物語ったり、ときに記憶を呼び覚ましたりするもの——“香り”は脳や記憶に大きな影響を及ぼす存在だと感じます。

香水やルームフレグランスなど、香りは身近にあって日常に寄り添ってくれます。このブログで取り上げている「木」もそのひとつですが、今回はその香りの源である「香木」について少し紹介したいと思います。

1400年以上も前に伝わる「香木」の歴史

日本に“香り”が伝わったのは、1400年以上前に「香木」がもたらされたことがきっかけだといわれています。香木とは、その名の通り「香りのする木」で、お香の原料となる素材です。代表的なものに沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)があり、木の幹や樹皮、根の芳香や、樹木が傷ついた際に分泌される樹液が変質・熟成することで特有の香りを放ちます。

正倉院にある巨大な沈香。雅名は「蘭奢待(らんじゃたい)」。天下の名香として珍重され、足利義政や織田信長、明治天皇などが切り取った跡が残されています。出典:宮内庁ホームページhttps://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures/?id=0000012162

 

東南アジアを原産とする香木は、祈りや儀式に使われ、仏教の伝来とともに日本に伝わりました。やがて平安時代には雅な貴族のたしなみとなり、武家の時代には香木を所有することが権力の象徴となり、戦国武将たちは兜に香を焚きしめて出陣したという話も語り継がれています。

江戸時代になると線香が登場して庶民に広まります。一方で吉原遊郭や歌舞伎の世界では、高価で優雅な香り「伽羅」がもてはやされ、憧れの象徴となっていたそうです。明治以降になると、西洋の香水文化と融合し、今につながる新しい香り文化が形成されていったとされています。

自然の力なくしては生み出せない香木は、地球が長い時間をかけて育んだ恵みであり、今では入手が難しいものも少なくありません。

 

世界から注目される日本古来の「和香木」

日本古来の樹木の中にも、香りが重宝されてきたものがあります。近年は「和香木」として世界的にも注目されており、このブログでもよく登場するヒノキはその代表格です。清々しく気分を落ち着かせる香りは古くからヒノキ風呂として親しまれてきました。

ヒバもまたヒノキチオールを豊富に含み、清涼感ある香りが特徴です。さらに、コウヤマキは針葉樹ならではの青々とした緑の香りで、森林浴をしているような気持ちにさせてくれます。

こうした樹木に加えて、沈丁花やクチナシ、金木犀などの花々も、日本の香り文化を彩ってきました。

現在ヨーロッパでは盆栽などと並び、香道も密かなブームだといわれています。香道は室町時代の後期、茶道・華道とともに確立された芸道で、香木の香りを鑑賞しながら和歌や書をたしなむ文化です。森林の豊かな国だからこそ育まれた、日本独自の美意識を感じますね。

 

一休さんの書に伝わる香りの10の効能

お香がもたらす10の効能を書いた「 香十徳こうじゅっとく」は、中国の詩人・黄庭賢が詠んだもの。これを日本の世の中に広めたのがアニメ『一休さん』のモデルでもある室町時代の僧・一休宗純です。お香に詳しかった一休宗純が書にしたため、公家や武家だけでなく庶民にも伝わっていったとされています。

「香十徳」

1. 感格鬼神かんかくきじん ——感覚が鬼や神のように研ぎ澄まされる

2.清浄心身しょうじょうしんじん ——心身を浄化する

3.能除汚穢のうじょおえ ——穢れを取り除く

4.能覚睡眠のうかくすいみん ——眠気を覚まし集中できる

5.静中成友せいちゅうじょうゆう ——静けさの中で孤独感をいやす

6.塵裡偸閑じんりゆかん ——忙しいときにも安らぎを与える

7.多而不厭たじふえん ——多くても邪魔にならない

8.寡而為足かじいそく ——少なくても芳香を放つ

9.久蔵不朽きゅうぞうふきゅう ——長く保存しても朽ちない

10.  常用無障じょうようむしょう ——常用しても害がない

いかがですか。香りの効能がとてもわかりやすく伝わってきますね。香りの奥深さを知ると、木がより一層身近に感じられそうです。

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≪天然木を使った家具≫

CONNECTプロダクト

https://connect-m.jp/category/productall/

Instagram

https://www.instagram.com/connect.interior/?igsh=czhnMXcyaHQ5bXdu#

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ちなみに、このブログを書くにあたって、友人からもらったお香を焚いてみました。その名も「エターナル/香木の香り」。タイミングよく、これをプレゼントしてくれた友人がすごい!(笑)

香りが満ちてくると心なしか、凛とした気持ちになって筆が進んだような気がします。これからは、もっと意識的に香りを使ってみようと思いました。

 

【参考】

『Discover Japan』2025年5月号

特集「世界を魅了するニッポンの香り/いま注目の泊まりたいホテル」

 

林野庁「木曽五木」

https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/kiso/morigatari/kisogoboku.html

 

隠れた日本の財産!?「クリプトメリア・ジャポニカ」の正体は国産杉だった

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スギの学名は「隠れた日本の財産」

「クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria Japonica)」って何かわかりますか?

聞きなれない言葉かもしれませんが、「クリプトメリア」というのはスギの学名で、日本固有の種を指します。

「クリプトメリア」は、ラテン語で「隠れたもの」という意味があります。スギの果実のような「球果(きゅうか)」が葉におおわれていることに由来していますが、「隠れた日本の財産」という意味でも広く知られています。

近年では、花粉症の原因として嫌われがちなスギですが、実は昔から日本人の暮らしを支えてきた大切な存在です。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、スギがなければ、今の日本の発展はなかったかもしれない――それほど重要な木だったのです。

 

日本初の電信柱もスギでできていた!

昔は、家屋の建材としてはもちろん、桶や樽などの日用品にもスギが使われていました。柱や屋根、道具、薪として、さらには葉が線香として使われることも。明治2年(1869年)、東京と横浜を結ぶ日本初の電信柱が建てられましたが、そのほとんどもスギ製だったそうです。

スギで作られた電信柱が描かれた清親畫帖 [2]/出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

 

杉の苗の仕立て方、枝打ちなどの生育法と、杉の用法が描かれた明治初期の教育錦絵/出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

 

スギの苗の仕立て方が描かれた錦絵。学校教育に使われていました/出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

 

国策によって増えすぎたスギ

現在、日本の森林の約4割が人工林で、その中でもスギは最も多く植えられている木です。これは、戦後の国策が大きく影響しています。

焼け野原となった戦後の日本では、大量の木材が急ぎ必要とされました。そのため、成長の早いスギが全国各地に植えられたのです。こうした背景があって、今では青森県から屋久島まで広く分布し、秋田県、三重県、富山県、京都府、奈良県、高知県、宮崎県では、県や府の木にも指定されています。

日本の森林におけるスギの割合は44%。人工林のうちトップシェアとなっています(出典:林野庁「スギ・ヒノキ林に関するデータ」より)

 

ちなみに、スギの名前の由来には諸説ありますが、まっすぐに立つ姿から「直木(すぎ)」と呼ばれるようになったとも、成長が早く「すぐ木になる」ことから「スギ」と名づけられたとも言われています。

スクスクと育つスギは、日本の復興を支えてくれた存在でした。しかし一方で、今では手入れが行き届かない人工林が増え、荒廃してしまっているという現実もあります。そんななか、「隠れた日本の財産」であるスギをもっと活用していこうという動きも出てきています。

 

環境保護の視点からスギの利用を考えてみる

こちらは、コダマプロジェクトが制作する東濃杉を使ったソファ。

コダマローソファー3人用。岐阜県東白川村の東濃杉材だけで作られたオリジナルソファです

宙に浮いているかのような軽やかなデザインと、スギの柔らかい素材感がマッチした人気のソファ。ファブリックも洗える素材なので、お子様がいる家庭でも安心して使えそうですね。カラーリングも豊富なので、室内の雰囲気に合わせて選べるのが人気の理由となっているようです。

ウォールナットの無垢オイル仕上げのCNT-S-Kodama-3P。ドライクリーニング可能なカバーリングはカラーも豊富です

 

天然木のソファは、木の柔らかさや快適な座り心地が特徴。湿度の吸排気に優れた素材なので、室内の快適性が向上するというメリットもあります。生態系のバランスが崩れかけている今、国産のスギ材を生活の中で使う事は環境的にもとても意味のある事。

日本の発展に大きく貢献してきたスギは、まさに「隠れた日本の財産」です。健全な森を維持するためにも、スギの活用が進むといいなと思います。

 

<アイキャッチ画像出典・参考>

国立国会図書館NDLイメージバンク「杉と日本人のお付き合い」

https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/column/sugi

 

<参考>

林野庁「森林資源の利用と造成の歴史(2)」

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r5hakusyo_h/all/tokusyu1_2.html

 

国産ヒノキのタイニーハウス「コダマベース」を勝手にランキング!

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私は今、車の中でこの原稿を書いています。 家の敷地内の駐車場に止めた車の中で(笑)。

「家の中でやればいいじゃん!」と思いますよね? しかし、暖かくなってきたこの季節、部屋の中より外のほうが断然心地よく、原稿仕事もはかどるんです。

自宅の駐車場ならWi-Fiもつながりますし、何より個室感があって集中できる! よくカフェで仕事をする方を見かけますが、私は無理。隣の人の会話や、誰が何を注文したのか気になってしまうんです。

そんな話はさておき、今回ご紹介するのは、車一台分の駐車場スペースがあれば設置できるタイニーハウス「コダマベース」です。

 

「コダマベース」とは?

「コダマベース」は、国内の針葉樹を有効活用しながら、人の心にも体にも優しく、使い勝手の良い小屋を作ろう! というコンセプトのもと誕生しました。

タイニーハウスが日本で注目され始めた2018年頃から、私はさまざまな会社が手がけるタイニーハウスを取材してきました。その中でも、「コダマベース」は特に細部へのこだわりが行き届いていると感じました。

そこで今回は、私の“勝手にランキング”形式で「コダマベース」の魅力をお伝えします!

インスタはこちらhttps://www.instagram.com/

 


◆ 1位:ライティングレールが標準装備

スポットライトやペンダントライトなど好きな照明を取り付けられるのがいいなと思いました。照明をどこにいくつ設置するかで、好みの空間が作れそうですよね。

◆2位:ベンチにもなる窓枠

これはもうデザインの勝利!

「コダマベース」には大きな窓と小さな窓が付いています。大きいほうの窓枠は30センチほどの奥行があって、ここがベンチとして使えるのです! 外の景色を眺めながらコーヒーを飲むとか、ゆったり読書をするとか、日向ぼっことか・・・。そんなシーンを想像して、これはいいぞ!と思いました。

ペアガラスになっていて、窓を閉めれば外の音が気にならないうえ、外気の影響を受けにくいという造りになっています。オリジナルで網戸がついているのもいいなぁと思います。

しかも、窓はペアガラス仕様で、断熱性が高く外の音も気になりません。オリジナルの網戸付きで、開ければ風通しも良好です。

ちなみに小さいほうの窓は、ペアガラスの扉と内開きの網戸。風が通りやすくなるので空気の循環ができます。

 

◆3位:DIYもできる頑丈な壁

「コダマベース」の内装は国産材の東濃ヒノキ。床材もヒノキの無垢。壁はヒノキの積層合板でできています。厚さが12mmあるのでどこでもネジが効くのがいいですね。

ハンモックや収納用の棚を付けたりもできるし、ギターハンガーをつけて楽器を収納しながら飾るとか、いろいろ考えるのが楽しくなりそう。壁の強度があるからできることだなと思います。

自分好みにカスタマイズできるのが楽しいポイントです。

◆4位:真鍮のスイッチプレート

これ、入って真っ先に気になりました。スイッチのプレートが真鍮製なんです!オプションかなと思ったら、標準装備。アンティークな雰囲気が好きな私にはたまらない!

空気に触れたり手の油に反応したりして、独特の深みを増していく真鍮。細かいところだけれど、スイッチは毎回目に触れるところ。こだわりが光っているなと感じました。

 

ちなみに、コンセントは室内に3カ所つけることが可能。好きなところにつけられるというのも、好きな位置に取り付けられるのも自由度が高くて◎。

 

◆5位:ヒノキの香り

「コダマベース」のなかは、とにかく気持ちがいい!

ドアや内装などヒノキの無垢材が使われているから、ヒノキの香りに包まれるんです。森にはいったときみたいに深呼吸したくなる気持ち。鎮静作用があるヒノキの香りと質感、手触りなど、リラックスできます。


5位まで挙げてみました。デフォルトでもけっこう満足な内容だと思いますがいかがでしたでしょうか。

デフォルトでも満足度の高い「コダマベース」ですが、オプションでウッドデッキやロフトを追加することも可能。

こんな快適な空間なら、仕事もますますはかどりそうだな〜と、車の中で原稿を書きながら改めて感じたのでした。

こんな風にカスタマイズしてお店にしちゃった人もいます。アレンジ次第で最高の空間がつくれそう

 

【参考】

コダマベース https://kodama-p.com/category/item/architecture/

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東京新木場「木材会館」。映画、CM、TVにも登場する国産材をふんだんに使った木のビル

投稿日カテゴリーALL BLOGBREAK OUTリビング空間に合う暮らしの提案憧れのライフスタイル木曽五木

新年のご挨拶にはだいぶ遅くなってしまいましたが、みなさま今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、今回は東京都江東区新木場にある木材会館についてお伝えしようと思います。

新木場駅の構内。木材推しです!

 

新木場駅を降りてすぐの場所にある木材会館。映画やドラマのロケ地としても使用される撮影スポットでもあります。

駅前のモニュメント

 

近づいて全貌が見えると、思わずパシャパシャと写真を撮りまくり。

外観がすでにかっこいい!

木とコンクリートがランダムに組み合わさって、リズミカルな印象を受けます。「木材を使っています!」というこのインパクトは、さすが木材会館というだけあります。

木材業界のシンボル「木材会館」

 

 

■ヒノキの大梁がダイナミックな7階ホール

ヒノキの香りと自然光に包まれてなんとも開放的!

天井から壁にかけて、大きなL字型の大梁が並んでいます。圧倒的な存在感を放つダイナミックな梁は、誰もがしばらくポカンと見上げてしまうほど。

入口から奥までが24m、幅19mという実際にも広い空間なのですが、さらに広く感じさせているのは5.4mという天井の高さかもしれません。

5.4mという高さは、万が一床面で火災が起きたとしても、炎や高温の煙が梁に触れないようにするためなんだとか。この天井高を確保することで、木を不燃化することなく自然のまま使用することが可能になったとのことです。

板状の木を積み上げたデザインに注目が集まる7階大ホールの入り口

 

ちなみに木の不燃化処理とは、不燃薬剤に木を浸して木材の中の水分と薬剤を転置する方法だそう。木が重たくなる、木の質感が変わってしまうこともあるため、できる限り自然のまま使いたいというのが同会館のデザインに反映されているようです。

梁に使われているのは岐阜県産の良質なヒノキ。ヒノキの角材を束ねてボルトで縫い合わせ一体化したものを1本の梁として使っているとのこと。接着剤をいっさい使わずに仕上げているため、ボルトを外せば元の角材に還元され、他の用途への流用が可能。ビルの寿命後の再利用まで考えられているのはさすがですね。

 

■思わず裸足で歩きたくなるヒノキ舞台

舞台では演劇なども行われるそう

1階のギャラリーにはヒノキ舞台が設置されています。舞台の東側にはヒノキの角材がランダムに組み合わされた壁。ユニークですよね。暗号でも唱えたら「ゴゴゴー!」と音を立てて開きそう(笑)。

せっかくなので靴下を脱いで裸足で舞台に立ってみました。冬だったのにそんなに冷たさを感じず、木の心地よさが足の裏から伝わってくるような気がしました。

ヒノキ舞台のある1階ギャラリー

 

奥には茶室も用意されています。

水屋を備えた本格的な茶室で、お茶や生け花、詩吟の教室などに使われているそうです。

1階の茶室

 

■小ホールに立つスギの木立!?

波打つデザインに木目の美しさが際立つカウンター

入口には木目の特徴をデザインに活かした大きなカウンターが目に留まります。ヒノキの角材を波上に削り、波状に削り、積み重ねて製作されたもの。板目と柾目の違いがはっきりと目に見えて、木の力強さとかエネルギーを感じます。

案内してくださったガイドさんが「奥に木立がありますよ」と言うので、ホールの奥に進むとこんなスペースが用意されていました。

5cmほどの幅にカットされたスギ板が天井から床に、何本も張り巡らされ、本当に「スギの木立」が表現されていました。カーテンをあければ自然光が木立の間から差し込んでくるデザインに。光の入り方もデザインの妙といえそうです。

6階小ホールにあらわれたスギの木立

 

 

■「都市建築における木の復権を目指す」木材会館

エントランスホール

 

国産材の需要低迷という状況を変えたい、「木の国 日本」の名にふさわしい建築を、という想いでつくられた木材会館。

2009年の竣工から今年で16年が経とうとしています。

時を経るにつれて木は変色します。私が訪れた際も、バルコニーなど日差しを受ける場所はもれなくグレーに色が変わっていました。木とのコントラストを生み出しているコンクリートも、木の灰汁によって少しずつ黄ばんでいき、もしかしたら数年後、数十年後にはコンクリートと木が同じような色になっているということもありえるそうです。時間の経過とともに、変化していくのも木のおもしろみですよね。

最上階にあたる7階のバルコニー

木材会館を見学して、改めて日本は木の国なんだな~と実感しました。

 

今回は昼間におじゃましたのですが、木材会館は実は夜景も美しいのだとか。オフィスの明かりがついたとき、この外観はどんな見え方をするのか、実際に見てみたいところ。今度は夜に訪れてみたいと思います。

1階屋内階段

 

事前予約で見学可能なので、興味がある方はぜひ訪れてみてください。

https://www.mokuzai-tonya.jp/mokuzaikaikan/index.html

 

【参照】

木材会館小冊子「都市建築物にも木の潤いを!―中高層ビルへの木材活用策―」(東京木材問屋協同組合)

7階バルコニーの眺望も見どころのひとつ!

御神木って何? 白蛇が住む御神木と伊勢神宮の御神木の話

投稿日カテゴリーALL BLOGBREAK OUT天然素材 木のテーブル木曽五木

 

神霊が宿るとされる御神木

神社に行くと、木の幹にしめ縄を張り巡らせてあったり、柵が設けてあったりしますね。一般的には神社の境内にあり、神聖視されている樹木のことをいいます。

 

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御神木と聞いて、愛知県名古屋市の熱田神宮の「大楠」を思い出しました。熱田神宮は三種の神器のひとつ「草薙剣」を祀る神社として有名ですが、境内には大きなクスノキが茂っています。

なかでも「7本楠」という、ひときわ大きなクスノキが7本あるのはご存知ですか? 参拝客が目にすることができるなかで一番大きなものは手水舎の傍にある「大楠」。樹齢1000年以上といわれるその姿には神気を感じます。弘法大師のお手植えともいわれているこの「大楠」。幹の中には白蛇が住んでいて、時折顔を出すそうです。なんでもこの白蛇、神の化身とも言われていて、見かけると金運があがるという言い伝えもあるのだとか。

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残念ながら、私はいまだに白蛇を拝んだことがありません…。

「大楠」の根本には、卵のお供えが置かれています。白蛇がおなかをすかせて卵を食べにくるときが、顔を見られるチャンスかもしれませんね。

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伊勢神宮の御神木の行事

御神木絡みでいえば、来年は20年に一度の伊勢神宮の式年遷宮ですね。社殿と神宝を新調し、大御神を新宮へ遷すという一大イベント。9年の歳月をかけて行われる神宮最大の行事です。

来年の式年遷宮に向けて、御神木のお祭りがすでにスタートしています。

新宮用のご用材の安全な伐採を祈祷する「山口祭」、正殿の心御柱(しんのみはしら)用の御神木の神を祀る「木本祭(このもとさい)」、御神体を納める器に使う檜を伐りだす「御杣始祭(みそまはじめさい)」、伐採されたご用材を曳き入れる「御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき)」など、全部で10の御神木に関するお祭りや行事が執り行われます。

 

「御木曳行事」は遷宮諸祭・行事の中で最もにぎやかとされる行事です

 

その後、「鎮地祭」、「後鎮祭」など、社殿建築に関する行事が14、「御装束神宝読合(おんしょうぞくしんぽうよみあわせ)」から、最後の「御神楽(みかぐら)」など9つある神還しの儀式を合わせ、全部で33ものお祭りと行事が行われます。

御神木の行事、「御木曳(おきひき)行事」は、遷宮一連の祭事のなかでも、最もにぎやかな行事。市民が参加できる数少ない機会というのもありますし、全国から見物客もやってきて盛り上がるそうですよ。

「御木曳行事」の際、御神木はこの五十鈴川を川曳して運ばれます

 

ちょっと気になった御神木についてのお話でした。

 

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ちなみに、CONNECTにも「御神木」があるんです。もちろん通称ですが、特別なパワーに敬意をこめて「御神木」と呼んでいます。

CONNECTの「御神木」

 

樹齢1500年以上の木曽檜の巨木。樹齢を重ねた木は包み込むような柔らかさと特別なエネルギーが宿っているなぁと感じます。

木肌に触れるだけでエネルギーを感じたり、癒されたりするのって「木」ならではの感覚なんじゃないかな~と思っています。

 

そんな御神木も、環境の変化や腐朽によって厳しい状況になっているものもあり、伐採するか否かの決断を迫られているものもあるそうです。。

2020年の「令和2年7月豪雨」で、岐阜県瑞浪市「大湫神明神社」の樹齢約670年のスギが倒木したのが思い出されます。地盤が緩んだことも原因のひとつではあるけれど、それだけでなく根の体積が幹に比べて小さく経年腐朽などの要因も加わってバランスを崩したという見方もあるようです。

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ご神木が置かれている環境も厳しいのだなと感じてしまいました。そんななかで1000年以上樹齢を重ねているって、もう奇跡に近いことなんじゃないかとすら思ってしまいますね。

 

 

【参考】

熱田神宮「大楠」

https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/about/keidai/keidai22.html

 

伊勢神「式年遷宮」

https://www.isejingu.or.jp/sengu/the62nd/

 

伊勢御遷宮委員会

https://isesengu.jp/okihiki/index.html

 

CONNECT Instagram

https://www.instagram.com/connect.interior/

 

ヒノキでできた鏡餅 ~鏡餅の意味とは?~

投稿日カテゴリーALL BLOG木曽五木

お正月の風物詩でもある鏡餅、みなさんのお宅ではどうされていますか?

地域によって異なりますが、末広がりの「8」をもつ12月28日から飾りはじめ、だいたい1月の中旬に鏡開きをするというのが一般的な風習ですね。

鏡餅は、その丸いフォルムから夫婦円満や家族の健康を祈る意味があるとされています。

「神道いろは」(神社本庁教学研究所監修)には、『正月に一年の無病息災を祈り、餅を食べる歯がための習俗が平安時代の貴族社会に見られた』と書かれています。

さらに、「和の行事を楽しむ絵本」(永岡書店出版、三浦康子著)の一節には

『鏡餅は、年神様へのお供え物であり、年神様が辿る場所です。

昔からかがみには神様が宿るとされているので「鏡餅」と呼ぶようになり、丸い形は昔のかがみが丸型だったことに由来しています。

また、餅は「望月(=満月)に通じて、円満も表します。大小2段に重ねるのは、月と太陽(=陰と陽の象徴)を表しているからだといわれています。

さまざまな縁起物を飾りつけ、床の間、神棚、台所など、年神様にいてほしい場所に供えます』

と紹介されています。

鏡餅は年神様をお迎えする場所。お正月の終わりに鏡開きをして年神様の恩恵を体内に取り込んでお見送りをする、というのが習わしだったんですね。

 

さて、本題。

ヒノキでできた鏡餅「コダマのヒノキ鏡餅」を紹介したいと思います。

岐阜県のロクロ職人さんが丁寧に手作りした木の鏡餅です。

コダマのヒノキ鏡餅

 

ヒノキのいい香りとなめらかなフォルム。見るからに縁起がよさそうですよね。ヒノキは伊勢神宮や法隆寺など名だたる神社仏閣に使われています。本物のお餅のように食べることはできませんが、これなら年神様の居場所としてもふさわしいのではないでしょうか。

岐阜県の東濃地域で育った天然木をそのまま無塗装で仕上げているため、空気や人の手にふれて色が濃くなっていきますが、サンドペーパーで磨けばまた白いヒノキの木肌がよみがえります。こうして毎年気持ちをこめて磨いてお供えし、新しい年を迎えるというのもなかなかいいなぁと思いました。

鏡餅の飾りにも、さまざまな意味が込められています。

【裏白】シダ植物の葉。清廉潔白な心を表します。対になった葉模様から、夫婦仲むつまじく白髪になるまでの長寿を願います。

【譲り葉】新しい葉が出てから古い葉が落ちるので家系が続くようにとの祈りを込めて。

【橙】1本の木に何代も実がなることや、「だいだい」という読み方から、代々家が続くようにとの願いを表します。

 

ほかにも、昆布や柿などをお供えする地域もあるそうですよ。

昔は、新米で作ったお餅を鏡餅にしてお供えしていましたが、今は買ってきたパックの鏡餅で済ませているというご家庭も多いのではないでしょうか。手軽に用意できるのは大きなメリットですよね。鏡餅の由来や意味を振り返りつつ、それぞれのご家庭に合ったもので年神様をおもてなししてみてください。(ま)

 

 

コダマのヒノキ鏡餅

https://kodama-p.com/item/kodama_kagamimochi/