3月といえば桃の節句。
ふと「桃の木ってどんな感じだっけ?」と思った瞬間、頭の中で「驚き、桃の木、山椒の木」という言葉がよぎりました。今ではあまり耳にしなくなったこのフレーズ、一体どこから来たのでしょうか?
「驚き、桃の木、山椒の木」は、「とても驚いた」という意味の言葉遊びです。語呂の良さが特徴的で、一説によると昭和の名作映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんのセリフとして広まったと言われています。また、人気アニメ『タイムボカンシリーズ』では「驚き桃の木山椒の木、ブリキにタヌキに洗濯機…」と続く形で使われていたようです。
こうした言葉遊びは「地口(じぐち)」といわれています。地口は、主に江戸時代に庶民の間で広まった言葉遊びの一種で、日常の言葉やことわざをもじったり、音を似せたりして作られるダジャレのようなものです。
「驚き、桃の木、山椒の木」も、こうした地口の流れを汲むフレーズのひとつ。言葉の響きやリズムの楽しさがありますよね。
さて、話を桃の木に戻しますね。
桃の木とは
桃の木はバラ科モモ属の落葉樹で、原産は中国。日本では弥生時代の遺跡から桃の種が見つかっており、古事記や日本書紀にも桃に関する記述があることから、古くから親しまれてきたことがわかります。
現在、日本で栽培されている桃の多くは、中国や欧米から入ってきた品種を日本の気候に合うように改良したものです。主要な生産地は山梨県と福島県の2県がトップで、長野県、山形県、和歌山県を含む5県で全国の約8割の桃が生産されています(令和5年度農林水産省調べ)。
桃の木の新たな活用法
桃の木は通常20〜30年で植え替えの時期を迎えます。これまで伐採された木は廃棄されるのが一般的でしたが、日本一の桃の生産量を誇る山梨県笛吹市では、これらの桃の木を再利用する取り組みが始まっています。

2024年にスタートした「桃の木プロジェクト」は、地元で住宅部品の製造を行う老舗メーカー・株式会社ムラコシ精工が運営。長年培った技術力を生かし、地域の課題解決に挑戦しています。

プロジェクトから生まれた「桃の木ドアレバー」は2024年ウッドデザイン賞を受賞。硬く引き締まった性質を持つ桃の木。優しい色合いや手触りが特徴で、どんなインテリアにも馴染みやすいのが魅力です。

桃の木の美しさや果実の味わいを楽しむだけでなく、資源としての可能性を広げることで、より持続可能な未来へとつながる。そんな取り組みに今後も注目したいですね。
【参考】
桃の木プロジェクト
https://www.murakoshiseikou.com/torikumi/momonokipj/
https://www.murakoshiseikou.com/torikumi/momonokipj/