桜シーズン到来!
前に「春の使者・桜。木材としても優秀な桜についてのお話」でも書きましたが、桜は高級家具などに使用される素材としても重宝されている木材。流通量が少ないため、貴重な材です。木材となったあとも、ほんのりと桜の香りが漂うというからなんとも風流ですよね。
さて、今回はそんな桜に異変が起きているというお話。
このままいくと将来桜が咲かなくなってしまうという研究結果もあり、お花見を待ち遠しく思っている人にとっては危機的状況が来ているのです。
◆お花見の起源
詳しい話の前に、お花見の由来についても調べてみたのでそちらを先に紹介しますね。
日本でお花見が定着したのはいつごろか—。
もともとは奈良時代に梅の花を観賞していたことに由来しているといわれています。平安時代になると梅から桜へと変わり、桜を愛でるのがお花見の主流となったようです。
平安時代の歌集「古今和歌集」には桜を詠んだ歌がたくさん残されていることから、当時の人たちも今の私たちのように桜に心惹かれていたことが伝わってきます。
当時、お花見は貴族のたしなみ。桜を見ながら華やかな宴会を開いたり歌を詠んだり蹴鞠(けまり)をしたりというのがお花見のスタイルだったようです。
鎌倉時代になると、武士の間でもお花見が浸透。安土桃山時代になると、豊臣秀吉が奈良や京都で盛大な花見を催したことが知られています。江戸時代になるとお花見は庶民の文化として定着。今のように桜の木の下に集まってワイワイみんなで楽しむという春の行事となっていったそうです。
◆開花時期は40年で約1週間早まっている
お花見は古くから春の風物詩として親しまれてきた行事なんですね。
それにしても、最近は桜の開花時期がだいぶ早まっているような気がしますよね。ニュースなどでも取り上げられていますが、記録によると桜の開花時期はこの40年で約1週間も早まっているそうです。
なぜ、そんなに早まっているのか。その理由は桜が咲く仕組みと気温が大きく関わっているからなんです。
桜の花になる花芽は、前年の夏につくられ、秋から冬にかけて寒い冬を越すために休眠します。その後、厳しい寒さにさらされることで休眠から目覚め(これを「休眠打破」といいます)、開花に向けての成長が再開。最高気温が一定の値に達したところで開花します。気温が高いほど開花が早まるというのは、このような仕組みだからなんですね。
4月1日時点での開花ラインの変化を見ると、開花時期が早まっていることがよくわかりますね。2021年の東京は2年連続で過去最速の3月14に開花宣言が出されました。さらに全国の半数にあたる28地点で開花日が観測史上最早を記録しています。

1960年代から比べると3月の最高気温の平均も年々上がっています。それに伴って桜の開花日の平均は短くなっているのがわかります。

一定期間低温にさらされることで花芽が目覚める「休眠打破」が、開花の必須条件。温暖化によって、冷え込みが足りず、花芽の発育が早まることで開花時期は早まってしまうということなんです。また、研究によると低温期間が充分でないために休眠打破が行われず、桜が開花しない地域もでると予想されています。
◆最速の桜開花は異常気象のひとつ
近年、世界各地で異常気象が観測されていますが「観測史上最も早い桜」というのも、異常気象の1つともいえるのではないでしょうか。
「春には桜が咲く」という日本人が当たり前に享受してきた四季の美しさ。子どもたちが大人になるころには、もしかしたら見られなくなってしまうことがあるかもしれません。美しい桜をいつまでも愛でることができる日本でありますように。私たちにできることをしなくては、と思ったのでした。
【参考】
農林水産省「日本の桜の歴史」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2303/spe1_02.html
農林水産省「お花見の歴史とお花見弁当」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/wagohan/articles/2303/spe15_02.html
環境省「デコ活」
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/weather/article06.html?utm_source=chatgpt.com