ベビー歓迎の「おやこホテル」×rewoodで叶えるサステナブルステイ【後編】

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「とことんママが笑顔になるホテル」をコンセプトに掲げる「おやこホテル」。前回は、子連れ旅行の大変さを経験したオーナーが、ママを笑顔にするためにこだわりぬいたサービスとホスピタリティについてご紹介しましたが、今回はその続編です。

◆ママパパに徹底的に寄り添ったホテルを作るしかない!

みなさんがホテルや旅館と聞いて思い浮かべるのはどんなものでしょうか。

「日本のホテルって、有名な観光地や料理、温泉といった魅力がないとなかなか集客が見込めません。大きな観光資源があるわけでもない名古屋で『おやこホテル』を選んでもらうには、徹底的にターゲットに寄り添ったホテルを作るしかないと考えました」と語るのは、オーナーの沼田さん。

ターゲットとは、もちろん小さいお子さんのいるファミリーのこと。特にママの負担をケアすることに注力したといいます。

子連れ旅は荷物が増えがちですが、このホテルにはおむつやオーガニックの離乳食、着替え、おもちゃ、絵本、バスグッズやベビー用の食器、哺乳瓶の洗浄機など、あらゆるベビー用品がアメニティとして揃えられています。その充実ぶりは、ほかに類を見ないほど。あのミキハウスの「ウェルカムベビーのお宿」としての認定も受けています。

◆子どもがのびのび遊べる空間デザイン

「おやこホテル」の魅力は充実したアメニティだけではありません。

居心地のよい空間デザインも大きなポイントです。大きな壁面は子どもの落書きもOK! 白い壁にプロジェクターで動画を投影して、みんなで映画鑑賞も楽しめるんです。

しかも、1フロアに1部屋だけなので、隣の部屋を気にする必要もなく、のびのびと過ごせます。

まさに、「おうちのような安心感」で「おうちとは違う特別感」を味わえるホテルだな~と感じました。

 

◆サステナブルな家具「rewood」を採用

さらにもうひとつ、居心地よい空間を作るために沼田さんがこだわったのは、部屋のしつらえ。実は「おやこホテル名古屋東山4F」のお部屋には「rewood」の家具を採用しているんです。

「rewood」とは、役目を終えた木材を加工して、新しい家具として再生させるブランド。キッチンの天板には座敷机を再生した一枚板が使われ、カウンター部分には机の脚を再生した遊び心溢れるデザインに仕上がっています。形の違う脚を並べることで、こんなにおしゃれに見えるんですね!

天板は座敷机を再生した一枚板。ぎっしりと並んでいるのは座敷机の脚なんです!

 

「rewood」を採用した理由について沼田さんに聞いてみました。

「僕が長年携わっている建築業界は、環境に対する負荷が大きい業界だというのは昔から感じていました。店舗設計やデザインに関わっていくなかで、今はサステナブルというのは重要な視点です。今後も全国に『おやこホテル』を展開していこうと考えたとき、やはり環境に配慮したものでなくてはいけないと考え、再生と循環をテーマに掲げる『rewood』を採用することにしました」。

洗面台の天板やダイニングテーブルにも「rewood」の再生板を使用。さらに、岐阜県産の針葉樹を使ったソファやキャビネットが置かれていて、温もりある空間を演出しています。

ホテルライクな滞在もいいですが、やはり子連れファミリーにとっては、木の温もりがあるほうが落ち着きそうですよね。

 

◆泊まるプラスαの体験を

「ママを笑顔にする」というコンセプトに加え、「泊まるプラスαの体験を」というのが沼田さんの想い。

「rewood」に限らず、木の家具がある空間は、子どもにとって五感を刺激する特別な場所になります。木のぬくもりや手触りは安心感につながり、自然な素材にふれることで想像力や創造力も育まれるそうです。

<イメージ>

さらに、再生木材の背景を知ることで「ものを大切にする」「再び価値を見いだす」といった体験が、子どものころから環境への意識を育てるきっかけになるのかもしれませんね。

 

◆お誕生日やお食い初めなどイベントにも活躍

そんな「おやこホテル」ですが、宿泊だけでなく誕生日や記念日のお祝いなどで利用する人も多いのだとか。

「ママ友会で利用していただく機会も増えています。最大で8名(大人は6名まで)泊まれるので、里帰りした時にパパママのご両親を呼んで、食事をしたりする場所として使う方もいらっしゃいます」(沼田さん)。

料理人の出張サービスやケータリングなどのオプションも充実

 

名古屋は日本のちょうど真ん中あたり。名古屋市内でも抜群のアクセスを誇る東山地区は、集合場所に選ばれることが多いとか。東山動物園までは徒歩10分、ジブリパークへは車でも電車でも30分程度で行ける距離。たっぷり遊んでクタクタになっても、ホテルがすぐそばにあるのは心強いですよね。

旅行だけでなく、ちょっと特別な日常を「おやこホテル」で演出してみるのも楽しそう。ぜひ、親子で訪れてみてください。

 

【取材協力】

「おやこホテル」

https://oyako-hotel.com/

 

<住所>

名古屋市千種区東山通2-4-1 HARVEY MOTOYAMA 4F・6F

<問い合わせ>

052-793-7787(受付時間9:00-21:00)

<アクセス>

電車:名古屋地下鉄「本山駅」2番出口 徒歩3分

車:東名高速「名古屋IC」から車で14分、または名古屋高速2号東山線「四谷出入口」から車で5分

<IN/OUT>

チェックイン15:00 / チェックアウト11:00

<宿泊人数>

最大8名(大人は6名まで)

<料金>

¥55,000~

 

子連れ旅、口コミで話題の「おやこホテル」を取材!ママを笑顔にする理由とは【前編】

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秋の行楽シーズンがやってきました!

みなさんは旅行の計画などたてていますか?

大人旅は比較的気軽に行けるけれど、子連れ旅ともなると、いろいろ大変ですよね。

遊ぶ場所や泊まる場所、荷物の量や安全面など、気がかりなことが多すぎて、出発前の準備段階ですでに疲労が…なんていう方もいるのではないでしょうか。

そんなパパママたちが注目している、親子に特化したホテルがあるのを知っていますか。

その名も「おやこホテル」。HPを拝見して、どうしてもお部屋を見てみたくなり、取材をお願いしてみました。

おやこホテル名古屋東山6F

 

◆とことんママが笑顔になるホテル

「おやこホテル」のことを知ったのは、旅行シーズンに向けて親子旅のリサーチをしていたとき。子連れで楽しめる遊び場とともに、宿泊施設も紹介できたらいいな~と思っていたところ、出てきたのが「おやこホテル」だったんです。

コンセプトは「とことんママが笑顔になるホテル」。そう、ママは大変。「旅行で気分転換なんて無理無理。大変なだけだよ」と嘆くママたちの顔が浮かびそうです。

そんなママの笑顔のためのホテル、といわれると興味がわきますよね。「おやこホテル」を運営するリンゴボーイデザイン株式会社・代表取締役/店舗デザイナーの沼田敦郁(あつか)さんにお話を聞きました。

 

◆ワンルーム貸し切り、ベビー連れでも安心のアメニティ

「このホテルを作ったのは僕自身の経験が大きいんです」と話す沼田さん。

もともと旅行が好きで、子どもが生まれる前は夫婦でいろいろなところに出かけていたそうですが、「子どもができて初めて、子連れ旅行ってこんなに大変なんだなと感じました。僕も手伝いはしますが、手が届かない部分もある。だから奥さんの負担をなるべく減らして、ママ自身が楽しめるようなホテルというのがあったらいいなという発想から生まれたのが『おやこホテル』なんです」。

第1号が、2021年に誕生した「おやこホテル名古屋東山6F」。2024年には、2部屋目が同じビルの4Fに誕生しました。

ホテルの場所は名古屋市千種区東山通。名古屋のど真ん中を走る広小路通り沿いにあります。

一見するとシンプルな商業ビル。エントランス左手にあるエスカレーターから4階または6階に上がります。

取材でお邪魔したのは4Fのお部屋。玄関に一歩入ると、ワンルームがのびのびした空間が広がります。80㎡の部屋にはカーペットが敷かれていて、小さな赤ちゃんがハイハイしても大丈夫そう。ワンフロア貸し切りだから、子どもの声や物音を気にしないで済むのも、子連れには喜ばれている点です。

おやこホテル名古屋東山4F

 

さらに!、ミルク、離乳食、おむつなど、赤ちゃん連れの必需品が全部そろっているのに驚きました。ルームウエアもあって着替えが足りない!なんていうことになっても大丈夫。洗濯機もあります(驚)!

離乳食にいたっては、ホテルが厳選したオーガニック素材のスペシャルミールが用意されています。離乳食やミルクが快適に作れるコンドミニアム風のキッチンも設置されていて、食洗器や哺乳瓶の洗浄機もあるという充実ぶり。本当に手ぶらでも大丈夫そうです。

これは、もう家にいる感覚にかなり近いのでは?と感じました。

 

◆口コミ4.9の理由は“かゆいところに手が届く”工夫

「旅先では『触らないで、静かにして、危ないよ』とか、子どもから目が離せなくて気が休まらないというパパママもいますよね。ホテルに帰ってきたときくらいは、自分の家のような感覚でリラックスして休んでほしいと、設計に工夫をしました」(沼田さん)。

例えば、床がカーペット敷になっているのもそうだし、浴室に上がるステップの角も、子どもがぶつかっても大丈夫なように丸みを帯びたデザインに。キャビネットの扉は、小さい子どもが勝手に開けられないような特別な仕様になっていたり、キッチンの引き出しもすべてロックがかかるようになっていたりと、部屋の隅々まで配慮されています。

こうした工夫が「とことんママが笑顔になるホテル」として評価されているんですね。沼田さんによるとGoogleの口コミでは4.9の高評価を獲得。ホテルのHPにも

「3歳と0歳の子どもと初めての旅行でしたが、おやこホテルに宿泊できて大満足でした。清潔で広い空間、おもちゃやベビーグッズ等、たくさんのサービスや心遣いに溢れた空間にみんなが笑顔になりました」

「はじめての赤ちゃんを連れてのお泊まりだったのでこちらのホテルを選びましたが、おむつ、おしりふき、オーガニックのちょっといいベビーフード、ミルクなどが用意されており、本当に手ぶらでよかったんだ!と嬉しくなりました」

「かなり快適でこのまま住みたいくらいでした!私的にはリファのシャワーヘッドとドライヤーとマットレスの寝心地が最高でした♡パパはルームウェアとマットレスが気に入っており、子供達も映画館のようなスタイルで動画を見たり壁にお絵描き楽しんだりお風呂も広くて大喜びでした!」

など、宿泊した人の感想が寄せられています。

落書きできる大きな壁に夢中!
プロジェクターでNetflixも観れます!

 

お絵描きできたり、動画を投影したりできる大きな壁も、子どもにとっては特別な経験ですよね。木のおもちゃ専門店から導入したインポート木製おもちゃも用意されていて、自由に遊ぶことができます。

まさに、かゆいところに手が届くサービスとホスピタリティ!

ベビー用のバスグッズも完備

 

さらに、部屋のしつらえにもこだわりが。森の循環、木を再生するというコンセプトで作られた家具を採用しているんです。

ただ泊まるだけじゃなく、プラスαの体験をしてもらいたいという沼田さんの想いを含め、【後編】でお伝えしようと思います。

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国産杉とヒノキを使った“開かれた円環”。森と人、伝統と未来をつなぐ藤本建築の展示【後編】

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前回に引き続き、『藤本壮介の建築~原初・未来・森』についてのお話を。

藤本壮介さんについて少し振り返ってみましょう。
1971年、北海道の自然豊かなまちに生まれ、森に囲まれて育ちました。幼いころから自然のなかで遊び、ものづくりに親しんできたといいます。建築家となってからは、これまでに100を超えるプロジェクトに携わってきました。最近では、2025年大阪で開催中の博覧会のシンボル「大屋根リング」を手がけたことで広く知られています。

今回訪れた展覧会は、そんな藤本さんの初の大型個展となります。8つのセクションにわかれて、藤本さんが手がけた建築やその背景などが紹介されていますが、今回は後半を紹介してみようと思います。

◆大屋根リングを体感できる大模型

後半、5つ目のセクションに展示されているのは、国際博覧会の象徴ともいえる「大屋根リング」を約1/5のサイズで再現した大型模型です。

写真などで見たことはあっても、実際にはどんなものか想像しきれなかったのですが、大型模型と会場で流れていた藤本壮介さんのインタビュー映像を通して、その背後に込められた強いメッセージを感じ取ることができました。

「大屋根リング」全体像の模型

世界各国のパビリオンを包み込むようにつくられた木造の巨大なリングですが、コンセプトは“開かれた円環”。高さ約20メートル、幅約30メートル、そして全長およそ2キロメートルに及ぶ円形の構造物は、すべて木造のフレームでできています。多様な伝統や価値観を持つ世界各国の人々が集う場にふさわしい「世界をつなぐ」というイメージが込められており、そのスケールと象徴性に力強さを感じました。

さらに注目すべきは、すべてが木造でつくられている点です。空間をまとめ上げながらも開放感をもたらす格子のフレームには、木ならではの存在感があります。

藤本さんによれば、木造建築は「世界最先端の未来の建築」ともいわれ、伝統と未来のテクノロジーを結びつけるものだそうです。日本の森林資源を活かしつつ、クラフトマンシップを凝縮した象徴的な建築が「大屋根リング」なのです。

しかも使われているのは、国産の杉やヒノキ。博覧会をきっかけに、日本の木材にもスポットライトが当たるのはうれしいことです。

展示会場の大型模型は、実際に格子フレームの中へ入ることができます。木に囲まれたその空間は、まるで森の中に足を踏み入れたような感覚。不思議な心地よさに包まれ、博覧会の会場の雰囲気を少しだけ感じとれた気がしました。

また、構想段階のスケッチや記録写真、設計図面に加え、日本の伝統的な木造技術「貫(ヌキ)接合」についてのパネル展示も。“開かれた円環”というコンセプトとともに、藤本さんが思い描く未来の建築をより立体的に想像しながら、じっくり見入ってしまいました。

 

 

◆建築キャラクターたちの話に耳を傾けて

続くセクション6は、かわいいぬいぐるみたちのおしゃべりルーム!

「大屋根リング」のほか、藤本建築を代表する「ハンガリー音楽の家」、「スーク・ミラージュ/光の粒子」、「深圳博物館新館」など9つの建築がモチーフとなったぬいぐるみが、テーブルを囲んでしゃべってる!

キャラクターたちがそれぞれの建築についての雑談をするなかで、藤本建築に対する理解を深めてもらうという意図で作られているそう。建築のキャラクターたちの動きがかわいくて、動画を撮っている人がたくさんいましたよ。思わず撮りたくなる気持ちわかります(笑)。

 

◆「たくさんの ひとつの 森」

セクション7の展示空間には「仙台市(仮称)国際センター駅北地区複合施設」の大きな吊り模型が。

これはかなりの迫力がありました。実際に完成したところが想像できないくらいのスケール。音楽ホールと震災メモリアルの拠点を想定した複合施設の建築で、現在設計が進行中の案件だとか。完成は東日本大震災からちょうど20年を迎える2031年に予定されているそうです。

 

◆近未来、球体に住んで空を飛んでいるかも!?

最後のセクション8は「共鳴都市2025」。デジタル映像がメインの展示となります。900以上の大小の球体が自在につながり、高さ500メートルの空間に約5万人が暮らす都市をイメージした映像が上映されていました。

住宅や学校、オフィスなどの機能を備え、モバイルデバイスを使って空を飛んだり、空間を移動したりできる未来都市を描いています。自分が空中を飛んでいるような視点で映像が流れるので、もし会場がもう少し暗くて動くシートなんかに座っていたら、臨場感たっぷりのアトラクションのように感じていたかも。

空中にあるリングに学校や病院などがあるイメージ

建築という枠を超えた未来都市のイメージは、言葉で説明するのが難しいけれど、映像をみながら「近未来、こんな世界が本当に訪れるのかも」と思ったら、とてもわくわくしました。興味があれば、みなさんにもぜひ実際に体感してみてほしいです。

◆世界的に注目される木造

今回の展示で印象に残ったのは、木材がすごく未来的な素材なんだということでした。木は二酸化炭素を吸収し、伐採しても植林によって循環でき、持続可能性という観点からみてもとても頼もしい存在です。


日常にも同じ思想があります。たとえばrewoodは、役目を終えた座卓を再生し、新しい家具へと生まれ変わらせるプロダクト。スケールは違っても「木を循環させ、次の価値につなぐ」点で共通しています

 

フランスで開催されるパリオリンピック、パラリンピックの主要施設「アクアティクスセンター」(2024年竣工)や、スウェーデンにできたボルボの展示施設「ワールド・オブ・ボルボ」(2023年竣工)、オーストラリアに2026年完成予定の世界一の高さとなる木造ビル「アトラシアン・セントラル」など、世界中の建築家が木造を採用。木の特性を生かした建築が続々と誕生しています。

 


rewoodを取り入れたオフィスビルは、世界的に広がる木造建築の流れの中で、再生木材の価値を示しています

一方で日本は、世界でも有数の森林資源を持ち、千年以上にわたり木造建築を受け継いできました。その背景を思うと、藤本さんがつくった「大屋根リング」は単なるシンボルにとどまらず、日本の技術や文化を世界へ示す存在に感じられますよね。

藤本さんの建築は、自然と人、伝統と未来をつなぐもの。そのメッセージを五感で感じられる、見ごたえたっぷりの展示でした。展示を見終えて、今後完成していく藤本さんの建築にも、ますます興味がわいてきました。展示の開催期間は11月9日(日)まで。よかったら見に行ってみてください。

 

<藤本壮介プロフィール>

1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に建築設計事務所を設立。ヨーロッパ書く国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。2025年大阪国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任する。

主なプロジェクト/《House N》(2008年、大分)、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(2010年、東京)、《House NA》(2011年、東京)、《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》(ロンドン)、《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019年、フランス、モンペリエ)、《白井屋ホテル》(2020年、群馬)、《マルホンまきあーとテラス(石巻複合文化施設)》(2021年、宮城)、《ハンガリー音楽の家》(2021年、ブダペスト)など。

※森美術館「藤本壮介 略歴」より抜粋

 

『藤本壮介の建築/原初・未来・森』

2025.7.2(水)~11.9(日)森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

 

 

<参照>

森美術館

https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/soufujimoto/

 

あの大屋根リングの設計者が語る“森・都市建築・未来”を体感。『藤本壮介の建築』へ【前編】

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圧巻でした。

最初のエリアからずらりと並べられた模型がすごい。なんとその数1,000点超!

訪れたのは、東京は六本木にある森美術館で開催中の『藤本壮介の建築/原初・未来・森』。藤本さんの名前は、ご存知の方も多いかと思います。日本を代表する建築家で、最近では大阪国際博覧会で大きな話題を呼んだ、あの大屋根リングの設計をされた方です。

この展示に興味を持ったのは、タイトルにある「原初・未来・森」に興味をひかれたから。建築と森は切っても切れないものではありますが、数々の建築を手がけてきた藤本さんが、それをどのように捉えているのかが気になって、ずっと見に行きたいと思っていたのです。

展示は全部で8つのセクションにわかれて、藤本さんの思想やプロジェクトを紹介していました。展示の中では、藤本さんのインタビューがいくつも公開されていたのですが、そのなかでとても印象的だったのが、セクション2の動画で流れていものでした。

 

◆大都会・東京と、大自然・北海道の共通点とは

北海道生まれの藤本さんは、幼少期から身近に雑木林がある環境で育ったといいます。自然の中で走り回ってきた藤本さんが、大人になって東京に出てきたときに感じたのが、意外にも「居心地いい」ということだったと語っていました。

それはなぜか―。

「東京の入り組んだ細い道が雑木林や森の小径なんかと似ていたから。雑然とした東京と雑木林はおそらく共通している」ということを話していました。「雑木林は乱雑に小枝が生えていて、守られているような安心感がある。密度高く囲まれているけれど、同時に開かれてもいる。東京の木造家屋や電信柱なんかがそれと同じ役割をしていると思った」という旨のことを答えていらっしゃいました。

北海道の大自然と東京の大都会。相反するように思えますが、藤本さんにとっては共通する安心感や包容力といったものが感じられたのだそう。その感覚をもとに、建築に森という性質を取り入れようという考えに至ったそうです。

藤本さんが手がけた太宰府天満宮の仮殿。かなりの存在感だが3年という期間限定の建築のため2026年ごろには解体される予定

 

藤本さんのこうした思想は、数々の建築に反映されてきました。個人住宅、商業施設、ホテル、複合施設と四半世紀にわたりさまざまな建築プロジェクトを手がけてきた藤本さんですが、今回はその設計図や模型に加え、インスタレーションや空間を体感できる大型模型、プロトタイプ(試作品)が一堂に会する展覧会なのです。

 

◆建築模型の森を散策

少し話が飛びましたが、私なりに展示を振り返ってみたいと思います。
まず、1,000を超える模型が並ぶセクション1「思考の森」は、藤本さんが今まで手掛けた100を超える建築プロジェクトの全体像が一望できるようになっています。完成形ばかりでなく、アイディアのもととなったオブジェや中途段階の模型、バリエーション違いなども含まれ、それぞれのプロジェクトが完成までにどんな道をたどったのかを想像することができます。

ペットボトルや、ナイロンスポンジ、マッチ箱を積み上げたものなども並んでいます。私たちが日常よく見るものも建築のヒントになっているんですね。

さらに、1,000超の模型は3つの系譜に分類されています。

まず1つめは、“閉じているはずの円環が外部に開かれていることを表す「ひらかれ かこわれ」”、2つめは、“空間の用途や性質があいまいで多義的である「未分化」”、“多数の部分が一つに建築を構成する「たくさんのたくさん」”。

この3つが、プロジェクトの中で融合しながら、森のようにゆるやかなつながりを生み出しています。

建築に明るくない私にはちょっと難しく感じてしまったのですが、模型を眺めていると、なんとなく藤本さんの思想の糸口がつかめるような気持がしました。

 

◆あわいの空間から切り取られた都市の風景を見る

セクション2「軌跡の森~年表~」は、世界的な背景や建築業界の重要な出来事とともに、藤本さんの軌跡をたどるパネル展示。冒頭で紹介した、藤本さんのインタビューの内容はここで見ることができます。

さらに進むとセクション3「あわいの図書室」のゾーンへ。

藤本さんの建築に着想を得たテーマに沿ってブックディレクターが選書した40冊の本が真っ白な椅子に1冊ずつ配置されています。「本を読む/読まない間(あわい)にある空間」として設けられた実験的な場所ゆえ、来場者は本を読んでも読まなくてもいいし、窓からの景色をただ眺めるだけでもOK。大きく開かれた窓から見える都市の風景と藤本さんの建築思想を重ねてみるのもおもしろそうです。

続いてセクション4の「ゆらめきの森」。建築の中で人はどう動いているのか、を可視化した展示となっています。模型の中を動くたくさんの人を俯瞰で眺めながら、建築という空間での人の動線ってこんな感じなんだな~と実感しました。

今日のところはここまで。次回は、「大屋根リングの大模型」を中心に書く予定です。お楽しみに!

<藤本壮介プロフィール>

1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に建築設計事務所を設立。ヨーロッパ書く国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。2025年大阪国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任する。

主なプロジェクト/《House N》(2008年、大分)、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(2010年、東京)、《House NA》(2011年、東京)、《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》(ロンドン)、《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019年、フランス、モンペリエ)、《白井屋ホテル》(2020年、群馬)、《マルホンまきあーとテラス(石巻複合文化施設)》(2021年、宮城)、《ハンガリー音楽の家》(2021年、ブダペスト)など。

※森美術館「藤本壮介 略歴」より抜粋

『藤本壮介の建築/原初・未来・森』

2025.7.2(水)~11.9(日)森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

 

 

<参照>

森美術館

https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/soufujimoto/

 

 

香りの歴史と香木の魅力。日本文化に息づく香道と「香十徳」

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目には見えないけれど、その場の雰囲気をつくったり、その人の個性を物語ったり、ときに記憶を呼び覚ましたりするもの——“香り”は脳や記憶に大きな影響を及ぼす存在だと感じます。

香水やルームフレグランスなど、香りは身近にあって日常に寄り添ってくれます。このブログで取り上げている「木」もそのひとつですが、今回はその香りの源である「香木」について少し紹介したいと思います。

1400年以上も前に伝わる「香木」の歴史

日本に“香り”が伝わったのは、1400年以上前に「香木」がもたらされたことがきっかけだといわれています。香木とは、その名の通り「香りのする木」で、お香の原料となる素材です。代表的なものに沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)があり、木の幹や樹皮、根の芳香や、樹木が傷ついた際に分泌される樹液が変質・熟成することで特有の香りを放ちます。

正倉院にある巨大な沈香。雅名は「蘭奢待(らんじゃたい)」。天下の名香として珍重され、足利義政や織田信長、明治天皇などが切り取った跡が残されています。出典:宮内庁ホームページhttps://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures/?id=0000012162

 

東南アジアを原産とする香木は、祈りや儀式に使われ、仏教の伝来とともに日本に伝わりました。やがて平安時代には雅な貴族のたしなみとなり、武家の時代には香木を所有することが権力の象徴となり、戦国武将たちは兜に香を焚きしめて出陣したという話も語り継がれています。

江戸時代になると線香が登場して庶民に広まります。一方で吉原遊郭や歌舞伎の世界では、高価で優雅な香り「伽羅」がもてはやされ、憧れの象徴となっていたそうです。明治以降になると、西洋の香水文化と融合し、今につながる新しい香り文化が形成されていったとされています。

自然の力なくしては生み出せない香木は、地球が長い時間をかけて育んだ恵みであり、今では入手が難しいものも少なくありません。

 

世界から注目される日本古来の「和香木」

日本古来の樹木の中にも、香りが重宝されてきたものがあります。近年は「和香木」として世界的にも注目されており、このブログでもよく登場するヒノキはその代表格です。清々しく気分を落ち着かせる香りは古くからヒノキ風呂として親しまれてきました。

ヒバもまたヒノキチオールを豊富に含み、清涼感ある香りが特徴です。さらに、コウヤマキは針葉樹ならではの青々とした緑の香りで、森林浴をしているような気持ちにさせてくれます。

こうした樹木に加えて、沈丁花やクチナシ、金木犀などの花々も、日本の香り文化を彩ってきました。

現在ヨーロッパでは盆栽などと並び、香道も密かなブームだといわれています。香道は室町時代の後期、茶道・華道とともに確立された芸道で、香木の香りを鑑賞しながら和歌や書をたしなむ文化です。森林の豊かな国だからこそ育まれた、日本独自の美意識を感じますね。

 

一休さんの書に伝わる香りの10の効能

お香がもたらす10の効能を書いた「 香十徳こうじゅっとく」は、中国の詩人・黄庭賢が詠んだもの。これを日本の世の中に広めたのがアニメ『一休さん』のモデルでもある室町時代の僧・一休宗純です。お香に詳しかった一休宗純が書にしたため、公家や武家だけでなく庶民にも伝わっていったとされています。

「香十徳」

1. 感格鬼神かんかくきじん ——感覚が鬼や神のように研ぎ澄まされる

2.清浄心身しょうじょうしんじん ——心身を浄化する

3.能除汚穢のうじょおえ ——穢れを取り除く

4.能覚睡眠のうかくすいみん ——眠気を覚まし集中できる

5.静中成友せいちゅうじょうゆう ——静けさの中で孤独感をいやす

6.塵裡偸閑じんりゆかん ——忙しいときにも安らぎを与える

7.多而不厭たじふえん ——多くても邪魔にならない

8.寡而為足かじいそく ——少なくても芳香を放つ

9.久蔵不朽きゅうぞうふきゅう ——長く保存しても朽ちない

10.  常用無障じょうようむしょう ——常用しても害がない

いかがですか。香りの効能がとてもわかりやすく伝わってきますね。香りの奥深さを知ると、木がより一層身近に感じられそうです。

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≪天然木を使った家具≫

CONNECTプロダクト

https://connect-m.jp/category/productall/

Instagram

https://www.instagram.com/connect.interior/?igsh=czhnMXcyaHQ5bXdu#

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ちなみに、このブログを書くにあたって、友人からもらったお香を焚いてみました。その名も「エターナル/香木の香り」。タイミングよく、これをプレゼントしてくれた友人がすごい!(笑)

香りが満ちてくると心なしか、凛とした気持ちになって筆が進んだような気がします。これからは、もっと意識的に香りを使ってみようと思いました。

 

【参考】

『Discover Japan』2025年5月号

特集「世界を魅了するニッポンの香り/いま注目の泊まりたいホテル」

 

林野庁「木曽五木」

https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/kiso/morigatari/kisogoboku.html

 

8月は雷のピーク!木の下で雨宿りは絶対NG! 雷が木に落ちる理由

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そろそろ雷のシーズンがやってきますね。最近では7月に関東を中心に発生したゲリラ豪雨の際にも、激しい雷鳴が響き渡っていたのを覚えている方も多いのではないでしょうか。

夏は雷が一番多い季節。雷の観測や情報提供を行う株式会社フランクリン・ジャパンのデータによると、8月は90万回を超える雷が観測されています。

2014~2023の月別落雷数(出典:フランクリン・ジャパン雷ぶらり)

 

木の下で雨宿りは危険度マックス!

外出中に大雨が降ってきたり雷が鳴ったりしたとき、みなさんはどうしますか? 建物の軒先や雨がしのげる場所に避難するという人が多いのではないでしょうか。

雨宿りするとき、木の下に逃げ込むという人もいると思いますが、実はこれはとても危険なこと。

雷は地面から突き出たものや高さのあるものをめがけて落ちるという性質があります。木は本来、電気を通しにくいのですが、雷が木に落ちると、近くにあるものや人を通って地面に逃げるという現象が起こる場合があります。これを「側撃雷」といい、人体が木よりも電気を通しやすい性質があるために起きる現象です。

巨大な電流が木に落ちたとき、傍に木よりも電気を通しやすい人間がいれば、そちらにも電流が流れるのは想像できますよね。飛び火のようなものをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

万が一そんなことがあった場合、人は雷の直撃を受けたのと同じくらいの電流を受けることになり、命の危険に直結する率が高くなるのです。

木の下での雨宿りは、開けた場所での直撃に次いで多く発生していて、全体の25%を占めるというデータもあります。木の下と同じように、木造建築にも同じような危険があります。軒下ではなく、建物の中に入って落雷の危険が去るまでは外に出ないという注意が必要です。

 

落雷の仕組みとは

そもそも、雷はどうやって起きるのでしょうか。

雷の元は、発達した積乱雲。よく入道雲といわれたりするあのモクモクとした雲です。

雲の中にある氷の粒がぶつかり合って、プラスとマイナスの電荷が発生することで静電気が発生。プラスの電荷は雲の上の方に、マイナスの電荷は下の方に集まりやすい性質を持っているため、その間には引き合う力が働き、そこに電界が生まれます。

この電荷の偏りが大きくなると、雲の中だけでなく地面との間にも電位の差ができて、それを解消するために放電、つまり落雷現象が起こるという仕組み。つまり、雲の下に集まったマイナスの電荷が、地面がもつプラスの電荷に引き寄せられ、落雷が起きるのです。

 

高所や木から離れて建物や乗り物の中へ

外にいて雷が鳴り始めた場合、より安全な場所に避難することが大切です。

例えば

  • 鉄筋コンクリート製の建物の内部
  • 自動車や電車・飛行機などの乗り物の内部
  • 避雷設備の施された建物の内部
  • 本格的な木造建築物の内部

といった場所です。(※フランクリン・ジャパン「落雷時の安全な避難場所/行動」より抜粋)

高さ20メートル(だいたい5階建くらい)以上の建物には避雷針の設置が義務づけられています。避雷針がついた建物の中は人命は安全といえます

雷が聞こえたら、まずは高い場所や木の近くから離れて、安全な建物や車の中に避難することが大切。グラウンドやゴルフ場など、開けた場所では危険度が高くなります。実際に、今年4月には奈良市の高校でグラウンドに落雷があり、生徒が意識不明の重体になるという痛ましい事故も起きています。

雷は身近な場所でも突然発生することがあります。天気の変化に気を配りながら、早めの避難を心がけましょう。

知識と情報で予測して身を守る

気象庁の「雷ナウキャスト」では、雷雲の動きや放電の情報をもとに、1時間先までの雷の予測を見られるようになっています。図のように、雷の活動度を4段階で表示。地図上でリアルタイムの動向をチェックすることができるので、お出かけ前や外にいるときは、こまめにチェックして備えておくと安心です。雷のピークを迎える前に、正しい知識と情報を使って、身を守ってくださいね。

気象庁「雷ナウキャスト」の見方より

 

 

<参考>

フランクリン・ジャパン「雷(らい)ぶらり」

気象庁「雷ナウキャストの見方」

 

 

 

 

 

 

遊牧民の手織り絨毯ギャッベ。 再生板との組合わせで時代にフィットしたインテリアを

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ユネスコ世界無形文化遺産にもなっているギャッベ

ギャッベ(Gabbhh)とは、ペルシャ語で「毛足の長い絨毯」を指す言葉。イラン南西部に暮らす遊牧民が、ひと針ひと針手織りする絨毯のことです。よく知られているペルシャ絨毯の一種ですが、独特の風合いを持っているのが特徴です。

 

天然の草木染と調質効果で快適に

ギャッベの素材は羊毛(ウール)です。ウールといえば、冬のセーターなどを思い浮かべる人も多いですよね。温かく保温性が高いイメージもありますが、夏にはサラリとした感触を得られるのが特長。朝夕の気温差±30℃という厳しい高地の環境で育まれた羊毛は、優れた調湿効果を備えているため、季節や場所を問わず一年中敷きっぱなしでも大丈夫なんだそうです。

織り目が細かく、適度なクッション性と心地よい手触り。そして何より魅力的なのは色合いや模様にあります。木の実や根、葉など山の植物を使った草木染は、天然素材ならではの濃淡があって味わい深さを感じられます。化学染料を使用していないので、アレルギーを持つお子さまにも優しいといえそうですね。

 

世界に1つだけのアート作品

結婚や出産といった人生の節目に送られるというギャッベは、遊牧民の母から娘へと受け継がれていく伝統的な織物。生命の源とされる樹木や、ヤギ、ヒツジ、ラクダといった動物のモチーフに、大地へのリスペクトや未来への希望といったものが表現されているのです。

こうしたモチーフに加え、四角、丸、三角、波型などの模様を丁寧に織り込んだギャッベは、デザイン性も高く評価されるようになり2000年ごろからアート作品としても注目を集めるようになりました。

なかでもカシュガイ族が手がけるギャベの手織り技術は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されるほど。大自然のアート作品といわれるのもうなずけますね。

遊牧民の自由な感性で織り込まれた天然素材の絨毯はどれも1点もの。同じものはありません。世界に1つだけ、と思うと、その希少価値をますます感じます。

 

無垢家具とコーディネート

世界に1点だけのrewood無垢材テーブル

 

大自然のアートともいえるギャベは、無垢材との相性が抜群。天然素材を組み合わせることで、ハイグレードな生活空間を演出することができそうです。

自然の恵みを活かした素材、という意味では「rewood」と組み合わせてみるのもおすすめ。実はギャベ=Gabbhhは、英語の「garbage(ゴミ)」に由来しているといわれています。ゴミのように扱われていたギャッベは、改良を重ねて世界で注目される存在になったわけですが、このストーリー、捨てられるはずだった座敷机を再生した「rewood」と似ていますよね。

※rewoodについてはコチラ

 

再生板と手織り絨毯の組合わせで実現するサステナブル

時間が経つにつれて風合いが増すというのも共通する点。再生板と手織り絨毯の組合わせは、持続可能なライフスタイルとしても人気の高まりを見せています。相通ずるコンセプトをもつインテリアで、個性的でありながら調和のとれた空間を実現できたらいいですよね。

天然無垢材の一枚板テーブルは、トライバルな柄のギャッベとも相性がよさそう

遊牧民の感性豊かなギャッベは、敷いてあるだけでもパワーがもらえそうな気がします。ビビッドな色合いでインテリアの要にするのもいいし、お気に入りの柄を探すのも楽しそう。気持ちも豊かにしてくれそうですね。

 

Persia&Gabbeh

ペルシャ&ギャベ展

2025年8月2日(土)3日(日)4日(月)

現地の織り子さんの実演も見られる「ペルシャ・ギャベ」展。本格的なギャベが勢ぞろいする、年に一度の大展示会が開催されます。

Persia&Gabbeh

2025年も注目の“サステナブル”と、再生テーブル『rewood』の話

投稿日カテゴリーALL BLOGBREAK OUTDIYインテリアの疑問・相談リビング空間に合う暮らしの提案天然素材 木のテーブル憧れのライフスタイル

気候変動や資源の枯渇といった地球規模の問題が、いよいよ現実味を帯びてきた今。「サステナブル」という考え方は、もはや一時的な流行ではなく、私たちの暮らしの中に根づきはじめています。

ファッション、食、住まい、さまざまな分野で、「環境への配慮」と「長く大切に使うこと」が、もの選びの基準になりつつあります。そんな時代の流れのなかで、家具業界でも注目されているのが循環型素材の活用やアップサイクルの取り組み。

「CONNECT」の髙橋さんに2025年の家具のトレンドと、インテリアのアップサイクルについて話を聞いてみました。

 

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CONNECTのインスタにもたびたび登場する店長の髙橋さん

 

最近は、家具のデザインというより素材を意識しているお客さまが本当に増えています。

SDGsやサステナブルというテーマは何年も前からいわれています。

家具は長く使えば使うほど味わいが出て、愛着もわくもの。ただ、経年変化や使い勝手、家族構成の変化などで処分を検討しなくてはいけない場面も出てきますよね。

最近ではそういった場面を視野に入れて、素材そのものがリサイクル、またはリメイク可能かどうかという点を、購入の時点から気に掛ける方が多くなってきました。

家具のリサイクルは環境への負荷を減らす有効な手段ですし、不要な家具を捨てないことは、ゴミ処理の負担を減らすことができるので廃棄物の削減にもなります。

“サステナブル”は一時のトレンドではなく、この先もずっとテーマになり続ける重要な要素です。

 

2025年のトレンドは3つ

2025年に注目の代表的なインテリアスタイルとしては、3つ挙げられます。

◆ビンテージナチュラル

・自然素材を活かし、使い込まれた味わい

・無垢材とアイアンなど、落ち着きのあるアンティークな風合い

 

◆モダンスタイル

・洗練された直線的なデザインが特徴

・モノトーンや光沢のある素材との組み合わせでシンプルにまとめる

 

◆ジャパンディスタイル

・和と北欧のミックススタイル

・木材、リネン、ウールなど自然素材を多く取り入れた温かみのある空間づくりを演出

 

どのスタイルにもマッチするのが自然素材を使ったサステナブルなインテリア。デザインの好みだけでなく、環境負荷の少ない素材、製造方法でつくられているか、そういった部分にも目をむけて選んでみるのがおすすめです(髙橋さん)。

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「木を、もう一度。」──再生木材が紡ぐストーリー

 

循環型の素材やアップサイクルの取組みが進むなか、注目されているのが「rewood(リウッド)」。

「rewood」の語源は、「re(再び)」と「wood(木)」。つまり、“木を、もう一度”。

「使われていた一枚板を再生し、地球の未来を明るく」というコンセプトを掲げ、30年~40年前につくられた座敷机のアップサイクルに取り組んでいます。

インスタグラムを見てみると、現在の木材市場では見られないサイズや貴重な樹種が揃っているのがわかります。加工の工程もストーリーズにアップされていて、新たな命が吹き込まれているんだな~と感じることができます。

テーブルとしてだけでなくソファの背板として使う、オリジナルデザインも展開。世界に本当に1つだけの家具を手に入れることができるのもおもしろそうですよね。

サステナブルは“我慢”じゃない。“選ぶ喜び”へ

 

“サステナブル”という言葉は、どこか“制限”や“我慢”と結び付けられて、少し窮屈に感じることもあります。
でも、rewoodのような取り組みは、むしろ気持ちをスッキリさせてくれるというか、新しい選択肢をもらったような感覚です。

捨てることへの罪悪感や、「古いものを使っている」という意識すら感じさせず、自然と“これがいい”と思える家具になっている。それがこれからの家具選びの、新しいスタンダードになっていくのかなと思いました。

rewoodのようなアップサイクルの取組みは、“モノとの付き合い方”そのものを見直すきっかけを与えてくれているのかもしれませんね。

買って、使って、壊れたら捨てるという一方通行の消費ではなく、修理しながら育てていく。やがてまた誰かの手に渡るかもしれない。そんな循環を前提としたモノづくりは、今まさに私たちが必要としているライフスタイルの在り方だなと感じました。

 

【参考】

rewood

https://re-wood.jp/?srsltid=AfmBOoqGffaj6zpn0tb9Ef5o1mbQSiZ1CoMoldOLBdivxDP2ykqyxOGw

 

ピアノを売ろうとして気づいたこと。一生モノの家具に共通する“木の価値”

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私の家には、ピアノがあります

KAWAIのアップライトピアノで、祖父が入学のお祝いに買ってくれたものです。まだ小さかった私にとって、それはとても大きな贈り物で、記憶のなかでも強く印象に残っています。

小学4年生くらいまでは、ピアノ教室に通ってレッスンを受けていました。でも次第に他の習い事に夢中になり、通わなくなってしまいました。

大人になった今では、年に数回ふと弾いてみる程度。ほとんど出番がなくなってしまったピアノを見て、「ちゃんと使ってくれる人のところに行ったほうが幸せなんじゃないか」と思うようになりました。

そんな気持ちもあって、よくテレビCMで見かける「ピアノ売ってちょうだい♪」のような買い取りサービスに査定をお願いしてみました。製造から30年以上経っているし、値段なんてつかないだろうな……と正直、あまり期待していませんでした。

ところが、想像していたよりもずっと高い金額を提示されて、驚いてしまったのです。

普通なら「ラッキー!」と即決してしまいそうなところですが、不思議なことに心がざわついてしまい、その場で「やっぱりやめます」と保留にしてしまいました。

なぜ私は迷ってしまったのか

その理由を改めて考えてみたところ、私の中で引っかかっていたのは「想い出の価値」だったのだと気づきました。

祖父に買ってもらったこと、一緒に育ってきたこと、発表会の前に必死で練習したこと。そんな記憶が、ピアノの音や姿とともに自分のなかに刻まれていたのです。

今ではあまり弾いていないとはいえ、私の暮らしの風景の中にそのピアノは当たり前のようにあって、「いなくなったら寂しいな」と思ってしまったのでした。

ピアノって、場所もとるし、引き取ってもらえれば部屋も広くなるし、合理的には手放したほうがいいのかもしれません。でも、なんだかそれだけでは説明できない、情のようなものがあるのですね。

今では電子ピアノもだいぶ普及してきました。電子ピアノは音量調整や録音機能などもあって便利ですが、いわゆる“電化製品”の分類になるため、2~3年ほどで買い取り価格がつかなくなると言われています。その点、アップライトやグランドなどのアコースティックピアノは、ほとんどの構造が木材でできていて、きちんとメンテナンスすれば30年、40年たっても価値が残るということを今回の経験から知りました。

この話、実は「家具」にも通じる気がしています

ファストインテリアのように、手軽に買い替えられる家具が身近になった一方で、コロナ禍以降、「一生モノ」と呼ばれるような無垢材の家具への関心も高まっています。
木の家具は、時間とともに色や手触りが変わっていきます。傷やシミさえも、“想い出”として味わいになっていく。それは、私にとってのピアノと同じように、ただの“モノ”ではなく、“一緒に育っていく存在”になっていくのだと思います。

そして、メンテナンスしながら長く付き合えるところもまた、木の家具やピアノの魅力です。手をかけることで、より愛着が深まっていくのです。

貴重な一枚板の座敷机をダイニングテーブルとして再生したrewoodの家具

 

読者のみなさんの家には、長く付き合っている家具はありますか? また、これから一緒に“育てていきたい”と思える家具、どんなものを思い浮かべますか?

 

【参考】

https://re-wood.jp/

北欧×和のインテリア「Japandhi(ジャパンディ)」で、暮らしにちょうどいい居心地の良さを

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前回、『異端の奇才―ビアズリー展』で見た、アートと家具に息づくジャポニズム』では、19世紀に流行っていた「アングロジャパニーズ様式」の家具についてお届けしましたが、今回は「Japandhi(ジャパンディ)について書いてみようと思います。

先日、インテリア好きな友人の家に遊びに行ったのですが、数年ぶりに訪れた彼女の家は、以前とは違った雰囲気になっていました。彼女いわく「ジャパンディスタイルでまとめた」とのこと。

「Japandi(ジャパンディ)」とは、「Japanese(日本の)」と「Scandinavian(北欧の)」の意匠を融合させたスタイルのこと。日本の伝統的な和とニュートラルな北欧デザインがミックスされたスタイルは、とてもリラックスできて居心地のいいものでした。

 

 2010年ごろから台頭してきた「ジャパンディ」ブーム

北欧のデザイナーが日本の文化に注目したことから生まれた「ジャパンディ」は、2010年頃にはすでにインテリア業界では使われていた用語のようです。

私たちがよく目にするようになったのは2020年より少し前くらいだったような気がします。大型家具店などでも“ジャパンディ”スタイルが大きく取り上げられていたのを覚えています。

コロナ禍を経て、家の居心地の良さを求める人が多くなったこともあり、すっかり定着してきたように思いますが、ここでどんなものなのか、特徴を整理してみようと思います。

 

「ジャパンディ」の特徴

 

◆ミニマルで機能的

・和の直線的なデザインや、引き戸、障子などに見られる空間を仕切る機能的な要素がつまっている。

・余白の美を追求するレイアウト

・必要最低限のものしか置かないミニマルな美

 

◆自然素材を使う

・陶器、和紙、木工など、日本の職人技や北欧のハンドクラフト感があるものを置く

・木、竹、麻、リネンなど、自然素材を使用したナチュラルな風合いを重視

・観葉植物などグリーンを配置

 

◆配色はアースカラー

・主張しない色、例えばベージュ、アイボリー、グレージュ、淡いブラウンなどのナチュラルなアースカラーを使う

 

◆ローアングル

・日本の「座」の文化を意識した床に近い目線

・低めの家具で揃えることで開放感を演出

 

◆柔らかな光

・直接的な光より柔らかく空間を照らす間接照明が中心

・白色より電球色で温かみを出す

 

和ベースが「和モダン」、北欧ベースが「ジャパンディ」

 

和モダンと何が違うの?と思う人もいるかもしれませんね。和モダンは、日本の伝統美をベースに現代風のデザインを取り入れたもの。つまり「和」がベースになっています。

一方、ジャパンディは、北欧のスタイルに和の雰囲気をプラスするという考え方。「北欧」がベースになっているという違いがあります。

ちなみに、「ジャパンディスタイル」に向いているのは、こんな家具。

コダマ「ローバックソファ」 /木の柔らかさや快適な座り心地を感じられる天然木のローソファ。アイボリー、ベージュなどファブリックの色を選べます

 

北欧 120ダイニングベンチNRT-CH-002/アッシュ材のフレームにしっかり編み込まれたペーパーコードの座面。クラフト感とナチュラルな質感で「ジャパンディ」スタイルを実現できそう

 

ピークチェアNRT-C-156 /シンプルで機能的な美を追求した人気の高い一脚。座面やフレームの色も選べます

 

背の低い家具、「座」の文化、余白の美といったジャパンディのコンセプトは、子育て世代にもフィットしそう。実際に友人宅の子どもたちも、床でおもちゃを広げたり、ローテーブルでお絵描きしたりと、楽しそうに遊んでいました。

 

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友人宅で印象的だったのは、南部鉄器の茶器。凛とした佇まいだけれど、柔らかなフォルムを帯びた急須に日本の美しさを感じました。

日本の美学ともいえる「わび」「さび」。風合いや味わい深さを神髄とする精神と、北欧の“ヒュッゲ”(=居心地のいい空間)が融合した「ジャパンディスタイル」。日本の生活や文化にもちょうどいい心地よさをもたらしてくれそうだなと、美味しいお茶をいただきながら改めて感じたのでした。