子連れ旅、口コミで話題の「おやこホテル」を取材!ママを笑顔にする理由とは【前編】

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秋の行楽シーズンがやってきました!

みなさんは旅行の計画などたてていますか?

大人旅は比較的気軽に行けるけれど、子連れ旅ともなると、いろいろ大変ですよね。

遊ぶ場所や泊まる場所、荷物の量や安全面など、気がかりなことが多すぎて、出発前の準備段階ですでに疲労が…なんていう方もいるのではないでしょうか。

そんなパパママたちが注目している、親子に特化したホテルがあるのを知っていますか。

その名も「おやこホテル」。HPを拝見して、どうしてもお部屋を見てみたくなり、取材をお願いしてみました。

おやこホテル名古屋東山6F

 

◆とことんママが笑顔になるホテル

「おやこホテル」のことを知ったのは、旅行シーズンに向けて親子旅のリサーチをしていたとき。子連れで楽しめる遊び場とともに、宿泊施設も紹介できたらいいな~と思っていたところ、出てきたのが「おやこホテル」だったんです。

コンセプトは「とことんママが笑顔になるホテル」。そう、ママは大変。「旅行で気分転換なんて無理無理。大変なだけだよ」と嘆くママたちの顔が浮かびそうです。

そんなママの笑顔のためのホテル、といわれると興味がわきますよね。「おやこホテル」を運営するリンゴボーイデザイン株式会社・代表取締役/店舗デザイナーの沼田敦郁(あつか)さんにお話を聞きました。

 

◆ワンルーム貸し切り、ベビー連れでも安心のアメニティ

「このホテルを作ったのは僕自身の経験が大きいんです」と話す沼田さん。

もともと旅行が好きで、子どもが生まれる前は夫婦でいろいろなところに出かけていたそうですが、「子どもができて初めて、子連れ旅行ってこんなに大変なんだなと感じました。僕も手伝いはしますが、手が届かない部分もある。だから奥さんの負担をなるべく減らして、ママ自身が楽しめるようなホテルというのがあったらいいなという発想から生まれたのが『おやこホテル』なんです」。

第1号が、2021年に誕生した「おやこホテル名古屋東山6F」。2024年には、2部屋目が同じビルの4Fに誕生しました。

ホテルの場所は名古屋市千種区東山通。名古屋のど真ん中を走る広小路通り沿いにあります。

一見するとシンプルな商業ビル。エントランス左手にあるエスカレーターから4階または6階に上がります。

取材でお邪魔したのは4Fのお部屋。玄関に一歩入ると、ワンルームがのびのびした空間が広がります。80㎡の部屋にはカーペットが敷かれていて、小さな赤ちゃんがハイハイしても大丈夫そう。ワンフロア貸し切りだから、子どもの声や物音を気にしないで済むのも、子連れには喜ばれている点です。

おやこホテル名古屋東山4F

 

さらに!、ミルク、離乳食、おむつなど、赤ちゃん連れの必需品が全部そろっているのに驚きました。ルームウエアもあって着替えが足りない!なんていうことになっても大丈夫。洗濯機もあります(驚)!

離乳食にいたっては、ホテルが厳選したオーガニック素材のスペシャルミールが用意されています。離乳食やミルクが快適に作れるコンドミニアム風のキッチンも設置されていて、食洗器や哺乳瓶の洗浄機もあるという充実ぶり。本当に手ぶらでも大丈夫そうです。

これは、もう家にいる感覚にかなり近いのでは?と感じました。

 

◆口コミ4.9の理由は“かゆいところに手が届く”工夫

「旅先では『触らないで、静かにして、危ないよ』とか、子どもから目が離せなくて気が休まらないというパパママもいますよね。ホテルに帰ってきたときくらいは、自分の家のような感覚でリラックスして休んでほしいと、設計に工夫をしました」(沼田さん)。

例えば、床がカーペット敷になっているのもそうだし、浴室に上がるステップの角も、子どもがぶつかっても大丈夫なように丸みを帯びたデザインに。キャビネットの扉は、小さい子どもが勝手に開けられないような特別な仕様になっていたり、キッチンの引き出しもすべてロックがかかるようになっていたりと、部屋の隅々まで配慮されています。

こうした工夫が「とことんママが笑顔になるホテル」として評価されているんですね。沼田さんによるとGoogleの口コミでは4.9の高評価を獲得。ホテルのHPにも

「3歳と0歳の子どもと初めての旅行でしたが、おやこホテルに宿泊できて大満足でした。清潔で広い空間、おもちゃやベビーグッズ等、たくさんのサービスや心遣いに溢れた空間にみんなが笑顔になりました」

「はじめての赤ちゃんを連れてのお泊まりだったのでこちらのホテルを選びましたが、おむつ、おしりふき、オーガニックのちょっといいベビーフード、ミルクなどが用意されており、本当に手ぶらでよかったんだ!と嬉しくなりました」

「かなり快適でこのまま住みたいくらいでした!私的にはリファのシャワーヘッドとドライヤーとマットレスの寝心地が最高でした♡パパはルームウェアとマットレスが気に入っており、子供達も映画館のようなスタイルで動画を見たり壁にお絵描き楽しんだりお風呂も広くて大喜びでした!」

など、宿泊した人の感想が寄せられています。

落書きできる大きな壁に夢中!
プロジェクターでNetflixも観れます!

 

お絵描きできたり、動画を投影したりできる大きな壁も、子どもにとっては特別な経験ですよね。木のおもちゃ専門店から導入したインポート木製おもちゃも用意されていて、自由に遊ぶことができます。

まさに、かゆいところに手が届くサービスとホスピタリティ!

ベビー用のバスグッズも完備

 

さらに、部屋のしつらえにもこだわりが。森の循環、木を再生するというコンセプトで作られた家具を採用しているんです。

ただ泊まるだけじゃなく、プラスαの体験をしてもらいたいという沼田さんの想いを含め、【後編】でお伝えしようと思います。

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国産杉とヒノキを使った“開かれた円環”。森と人、伝統と未来をつなぐ藤本建築の展示【後編】

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前回に引き続き、『藤本壮介の建築~原初・未来・森』についてのお話を。

藤本壮介さんについて少し振り返ってみましょう。
1971年、北海道の自然豊かなまちに生まれ、森に囲まれて育ちました。幼いころから自然のなかで遊び、ものづくりに親しんできたといいます。建築家となってからは、これまでに100を超えるプロジェクトに携わってきました。最近では、2025年大阪で開催中の博覧会のシンボル「大屋根リング」を手がけたことで広く知られています。

今回訪れた展覧会は、そんな藤本さんの初の大型個展となります。8つのセクションにわかれて、藤本さんが手がけた建築やその背景などが紹介されていますが、今回は後半を紹介してみようと思います。

◆大屋根リングを体感できる大模型

後半、5つ目のセクションに展示されているのは、国際博覧会の象徴ともいえる「大屋根リング」を約1/5のサイズで再現した大型模型です。

写真などで見たことはあっても、実際にはどんなものか想像しきれなかったのですが、大型模型と会場で流れていた藤本壮介さんのインタビュー映像を通して、その背後に込められた強いメッセージを感じ取ることができました。

「大屋根リング」全体像の模型

世界各国のパビリオンを包み込むようにつくられた木造の巨大なリングですが、コンセプトは“開かれた円環”。高さ約20メートル、幅約30メートル、そして全長およそ2キロメートルに及ぶ円形の構造物は、すべて木造のフレームでできています。多様な伝統や価値観を持つ世界各国の人々が集う場にふさわしい「世界をつなぐ」というイメージが込められており、そのスケールと象徴性に力強さを感じました。

さらに注目すべきは、すべてが木造でつくられている点です。空間をまとめ上げながらも開放感をもたらす格子のフレームには、木ならではの存在感があります。

藤本さんによれば、木造建築は「世界最先端の未来の建築」ともいわれ、伝統と未来のテクノロジーを結びつけるものだそうです。日本の森林資源を活かしつつ、クラフトマンシップを凝縮した象徴的な建築が「大屋根リング」なのです。

しかも使われているのは、国産の杉やヒノキ。博覧会をきっかけに、日本の木材にもスポットライトが当たるのはうれしいことです。

展示会場の大型模型は、実際に格子フレームの中へ入ることができます。木に囲まれたその空間は、まるで森の中に足を踏み入れたような感覚。不思議な心地よさに包まれ、博覧会の会場の雰囲気を少しだけ感じとれた気がしました。

また、構想段階のスケッチや記録写真、設計図面に加え、日本の伝統的な木造技術「貫(ヌキ)接合」についてのパネル展示も。“開かれた円環”というコンセプトとともに、藤本さんが思い描く未来の建築をより立体的に想像しながら、じっくり見入ってしまいました。

 

 

◆建築キャラクターたちの話に耳を傾けて

続くセクション6は、かわいいぬいぐるみたちのおしゃべりルーム!

「大屋根リング」のほか、藤本建築を代表する「ハンガリー音楽の家」、「スーク・ミラージュ/光の粒子」、「深圳博物館新館」など9つの建築がモチーフとなったぬいぐるみが、テーブルを囲んでしゃべってる!

キャラクターたちがそれぞれの建築についての雑談をするなかで、藤本建築に対する理解を深めてもらうという意図で作られているそう。建築のキャラクターたちの動きがかわいくて、動画を撮っている人がたくさんいましたよ。思わず撮りたくなる気持ちわかります(笑)。

 

◆「たくさんの ひとつの 森」

セクション7の展示空間には「仙台市(仮称)国際センター駅北地区複合施設」の大きな吊り模型が。

これはかなりの迫力がありました。実際に完成したところが想像できないくらいのスケール。音楽ホールと震災メモリアルの拠点を想定した複合施設の建築で、現在設計が進行中の案件だとか。完成は東日本大震災からちょうど20年を迎える2031年に予定されているそうです。

 

◆近未来、球体に住んで空を飛んでいるかも!?

最後のセクション8は「共鳴都市2025」。デジタル映像がメインの展示となります。900以上の大小の球体が自在につながり、高さ500メートルの空間に約5万人が暮らす都市をイメージした映像が上映されていました。

住宅や学校、オフィスなどの機能を備え、モバイルデバイスを使って空を飛んだり、空間を移動したりできる未来都市を描いています。自分が空中を飛んでいるような視点で映像が流れるので、もし会場がもう少し暗くて動くシートなんかに座っていたら、臨場感たっぷりのアトラクションのように感じていたかも。

空中にあるリングに学校や病院などがあるイメージ

建築という枠を超えた未来都市のイメージは、言葉で説明するのが難しいけれど、映像をみながら「近未来、こんな世界が本当に訪れるのかも」と思ったら、とてもわくわくしました。興味があれば、みなさんにもぜひ実際に体感してみてほしいです。

◆世界的に注目される木造

今回の展示で印象に残ったのは、木材がすごく未来的な素材なんだということでした。木は二酸化炭素を吸収し、伐採しても植林によって循環でき、持続可能性という観点からみてもとても頼もしい存在です。


日常にも同じ思想があります。たとえばrewoodは、役目を終えた座卓を再生し、新しい家具へと生まれ変わらせるプロダクト。スケールは違っても「木を循環させ、次の価値につなぐ」点で共通しています

 

フランスで開催されるパリオリンピック、パラリンピックの主要施設「アクアティクスセンター」(2024年竣工)や、スウェーデンにできたボルボの展示施設「ワールド・オブ・ボルボ」(2023年竣工)、オーストラリアに2026年完成予定の世界一の高さとなる木造ビル「アトラシアン・セントラル」など、世界中の建築家が木造を採用。木の特性を生かした建築が続々と誕生しています。

 


rewoodを取り入れたオフィスビルは、世界的に広がる木造建築の流れの中で、再生木材の価値を示しています

一方で日本は、世界でも有数の森林資源を持ち、千年以上にわたり木造建築を受け継いできました。その背景を思うと、藤本さんがつくった「大屋根リング」は単なるシンボルにとどまらず、日本の技術や文化を世界へ示す存在に感じられますよね。

藤本さんの建築は、自然と人、伝統と未来をつなぐもの。そのメッセージを五感で感じられる、見ごたえたっぷりの展示でした。展示を見終えて、今後完成していく藤本さんの建築にも、ますます興味がわいてきました。展示の開催期間は11月9日(日)まで。よかったら見に行ってみてください。

 

<藤本壮介プロフィール>

1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に建築設計事務所を設立。ヨーロッパ書く国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。2025年大阪国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任する。

主なプロジェクト/《House N》(2008年、大分)、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(2010年、東京)、《House NA》(2011年、東京)、《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》(ロンドン)、《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019年、フランス、モンペリエ)、《白井屋ホテル》(2020年、群馬)、《マルホンまきあーとテラス(石巻複合文化施設)》(2021年、宮城)、《ハンガリー音楽の家》(2021年、ブダペスト)など。

※森美術館「藤本壮介 略歴」より抜粋

 

『藤本壮介の建築/原初・未来・森』

2025.7.2(水)~11.9(日)森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

 

 

<参照>

森美術館

https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/soufujimoto/

 

あの大屋根リングの設計者が語る“森・都市建築・未来”を体感。『藤本壮介の建築』へ【前編】

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圧巻でした。

最初のエリアからずらりと並べられた模型がすごい。なんとその数1,000点超!

訪れたのは、東京は六本木にある森美術館で開催中の『藤本壮介の建築/原初・未来・森』。藤本さんの名前は、ご存知の方も多いかと思います。日本を代表する建築家で、最近では大阪国際博覧会で大きな話題を呼んだ、あの大屋根リングの設計をされた方です。

この展示に興味を持ったのは、タイトルにある「原初・未来・森」に興味をひかれたから。建築と森は切っても切れないものではありますが、数々の建築を手がけてきた藤本さんが、それをどのように捉えているのかが気になって、ずっと見に行きたいと思っていたのです。

展示は全部で8つのセクションにわかれて、藤本さんの思想やプロジェクトを紹介していました。展示の中では、藤本さんのインタビューがいくつも公開されていたのですが、そのなかでとても印象的だったのが、セクション2の動画で流れていものでした。

 

◆大都会・東京と、大自然・北海道の共通点とは

北海道生まれの藤本さんは、幼少期から身近に雑木林がある環境で育ったといいます。自然の中で走り回ってきた藤本さんが、大人になって東京に出てきたときに感じたのが、意外にも「居心地いい」ということだったと語っていました。

それはなぜか―。

「東京の入り組んだ細い道が雑木林や森の小径なんかと似ていたから。雑然とした東京と雑木林はおそらく共通している」ということを話していました。「雑木林は乱雑に小枝が生えていて、守られているような安心感がある。密度高く囲まれているけれど、同時に開かれてもいる。東京の木造家屋や電信柱なんかがそれと同じ役割をしていると思った」という旨のことを答えていらっしゃいました。

北海道の大自然と東京の大都会。相反するように思えますが、藤本さんにとっては共通する安心感や包容力といったものが感じられたのだそう。その感覚をもとに、建築に森という性質を取り入れようという考えに至ったそうです。

藤本さんが手がけた太宰府天満宮の仮殿。かなりの存在感だが3年という期間限定の建築のため2026年ごろには解体される予定

 

藤本さんのこうした思想は、数々の建築に反映されてきました。個人住宅、商業施設、ホテル、複合施設と四半世紀にわたりさまざまな建築プロジェクトを手がけてきた藤本さんですが、今回はその設計図や模型に加え、インスタレーションや空間を体感できる大型模型、プロトタイプ(試作品)が一堂に会する展覧会なのです。

 

◆建築模型の森を散策

少し話が飛びましたが、私なりに展示を振り返ってみたいと思います。
まず、1,000を超える模型が並ぶセクション1「思考の森」は、藤本さんが今まで手掛けた100を超える建築プロジェクトの全体像が一望できるようになっています。完成形ばかりでなく、アイディアのもととなったオブジェや中途段階の模型、バリエーション違いなども含まれ、それぞれのプロジェクトが完成までにどんな道をたどったのかを想像することができます。

ペットボトルや、ナイロンスポンジ、マッチ箱を積み上げたものなども並んでいます。私たちが日常よく見るものも建築のヒントになっているんですね。

さらに、1,000超の模型は3つの系譜に分類されています。

まず1つめは、“閉じているはずの円環が外部に開かれていることを表す「ひらかれ かこわれ」”、2つめは、“空間の用途や性質があいまいで多義的である「未分化」”、“多数の部分が一つに建築を構成する「たくさんのたくさん」”。

この3つが、プロジェクトの中で融合しながら、森のようにゆるやかなつながりを生み出しています。

建築に明るくない私にはちょっと難しく感じてしまったのですが、模型を眺めていると、なんとなく藤本さんの思想の糸口がつかめるような気持がしました。

 

◆あわいの空間から切り取られた都市の風景を見る

セクション2「軌跡の森~年表~」は、世界的な背景や建築業界の重要な出来事とともに、藤本さんの軌跡をたどるパネル展示。冒頭で紹介した、藤本さんのインタビューの内容はここで見ることができます。

さらに進むとセクション3「あわいの図書室」のゾーンへ。

藤本さんの建築に着想を得たテーマに沿ってブックディレクターが選書した40冊の本が真っ白な椅子に1冊ずつ配置されています。「本を読む/読まない間(あわい)にある空間」として設けられた実験的な場所ゆえ、来場者は本を読んでも読まなくてもいいし、窓からの景色をただ眺めるだけでもOK。大きく開かれた窓から見える都市の風景と藤本さんの建築思想を重ねてみるのもおもしろそうです。

続いてセクション4の「ゆらめきの森」。建築の中で人はどう動いているのか、を可視化した展示となっています。模型の中を動くたくさんの人を俯瞰で眺めながら、建築という空間での人の動線ってこんな感じなんだな~と実感しました。

今日のところはここまで。次回は、「大屋根リングの大模型」を中心に書く予定です。お楽しみに!

<藤本壮介プロフィール>

1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に建築設計事務所を設立。ヨーロッパ書く国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。2025年大阪国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任する。

主なプロジェクト/《House N》(2008年、大分)、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(2010年、東京)、《House NA》(2011年、東京)、《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》(ロンドン)、《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019年、フランス、モンペリエ)、《白井屋ホテル》(2020年、群馬)、《マルホンまきあーとテラス(石巻複合文化施設)》(2021年、宮城)、《ハンガリー音楽の家》(2021年、ブダペスト)など。

※森美術館「藤本壮介 略歴」より抜粋

『藤本壮介の建築/原初・未来・森』

2025.7.2(水)~11.9(日)森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

 

 

<参照>

森美術館

https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/soufujimoto/

 

 

2025年も注目の“サステナブル”と、再生テーブル『rewood』の話

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気候変動や資源の枯渇といった地球規模の問題が、いよいよ現実味を帯びてきた今。「サステナブル」という考え方は、もはや一時的な流行ではなく、私たちの暮らしの中に根づきはじめています。

ファッション、食、住まい、さまざまな分野で、「環境への配慮」と「長く大切に使うこと」が、もの選びの基準になりつつあります。そんな時代の流れのなかで、家具業界でも注目されているのが循環型素材の活用やアップサイクルの取り組み。

「CONNECT」の髙橋さんに2025年の家具のトレンドと、インテリアのアップサイクルについて話を聞いてみました。

 

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CONNECTのインスタにもたびたび登場する店長の髙橋さん

 

最近は、家具のデザインというより素材を意識しているお客さまが本当に増えています。

SDGsやサステナブルというテーマは何年も前からいわれています。

家具は長く使えば使うほど味わいが出て、愛着もわくもの。ただ、経年変化や使い勝手、家族構成の変化などで処分を検討しなくてはいけない場面も出てきますよね。

最近ではそういった場面を視野に入れて、素材そのものがリサイクル、またはリメイク可能かどうかという点を、購入の時点から気に掛ける方が多くなってきました。

家具のリサイクルは環境への負荷を減らす有効な手段ですし、不要な家具を捨てないことは、ゴミ処理の負担を減らすことができるので廃棄物の削減にもなります。

“サステナブル”は一時のトレンドではなく、この先もずっとテーマになり続ける重要な要素です。

 

2025年のトレンドは3つ

2025年に注目の代表的なインテリアスタイルとしては、3つ挙げられます。

◆ビンテージナチュラル

・自然素材を活かし、使い込まれた味わい

・無垢材とアイアンなど、落ち着きのあるアンティークな風合い

 

◆モダンスタイル

・洗練された直線的なデザインが特徴

・モノトーンや光沢のある素材との組み合わせでシンプルにまとめる

 

◆ジャパンディスタイル

・和と北欧のミックススタイル

・木材、リネン、ウールなど自然素材を多く取り入れた温かみのある空間づくりを演出

 

どのスタイルにもマッチするのが自然素材を使ったサステナブルなインテリア。デザインの好みだけでなく、環境負荷の少ない素材、製造方法でつくられているか、そういった部分にも目をむけて選んでみるのがおすすめです(髙橋さん)。

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「木を、もう一度。」──再生木材が紡ぐストーリー

 

循環型の素材やアップサイクルの取組みが進むなか、注目されているのが「rewood(リウッド)」。

「rewood」の語源は、「re(再び)」と「wood(木)」。つまり、“木を、もう一度”。

「使われていた一枚板を再生し、地球の未来を明るく」というコンセプトを掲げ、30年~40年前につくられた座敷机のアップサイクルに取り組んでいます。

インスタグラムを見てみると、現在の木材市場では見られないサイズや貴重な樹種が揃っているのがわかります。加工の工程もストーリーズにアップされていて、新たな命が吹き込まれているんだな~と感じることができます。

テーブルとしてだけでなくソファの背板として使う、オリジナルデザインも展開。世界に本当に1つだけの家具を手に入れることができるのもおもしろそうですよね。

サステナブルは“我慢”じゃない。“選ぶ喜び”へ

 

“サステナブル”という言葉は、どこか“制限”や“我慢”と結び付けられて、少し窮屈に感じることもあります。
でも、rewoodのような取り組みは、むしろ気持ちをスッキリさせてくれるというか、新しい選択肢をもらったような感覚です。

捨てることへの罪悪感や、「古いものを使っている」という意識すら感じさせず、自然と“これがいい”と思える家具になっている。それがこれからの家具選びの、新しいスタンダードになっていくのかなと思いました。

rewoodのようなアップサイクルの取組みは、“モノとの付き合い方”そのものを見直すきっかけを与えてくれているのかもしれませんね。

買って、使って、壊れたら捨てるという一方通行の消費ではなく、修理しながら育てていく。やがてまた誰かの手に渡るかもしれない。そんな循環を前提としたモノづくりは、今まさに私たちが必要としているライフスタイルの在り方だなと感じました。

 

【参考】

rewood

https://re-wood.jp/?srsltid=AfmBOoqGffaj6zpn0tb9Ef5o1mbQSiZ1CoMoldOLBdivxDP2ykqyxOGw

 

アートと椅子の関係性を探る「アブソリュート・チェアーズ」

投稿日カテゴリーALL BLOGインテリアの疑問・相談テーブルと椅子リビング空間に合う暮らしの提案憧れのライフスタイル

 

椅子って、家具のなかでもとりわけファンが多いアイテムですよね。

「Yチェア」で有名なデンマークの巨匠ウエグナー、「セブンチェア」のヤコブセン、ミッドセンチュリーをけん引したイームズなどのデザイナーズチェアには、今もなお熱い視線が注がれています。

CONNECTコンフォートチェア

 

多くの人を魅了する椅子は、家具としてだけでなく、絵画などにもよく登場します。以前このブログで紹介した“ゴッホの椅子もそうですが、椅子がアーティストにとっても魅力的なモチーフだったということがうかがえます。

 

 

現代美術のなかの「椅子なるもの」とは

 

そんな椅子に焦点をあてた美術展が開催されていたので、足を運んでみました。タイトルは「アブソリュート・チェアーズ」。“現代美術のなかの椅子なるもの”というサブタイトルがつけられています。

愛知県美術館にて9/23(月・祝)まで開催中

 

入場してすぐに目についたのは、台所用のスツールの上に自転車の車輪がくっついた作品。こちらは、レディメイドの手法で有名なマルセル・デュシャンの作品。彼の最初のレディメイドといわれる≪自転車の車輪≫です。撮影不可だったので、ここではお見せできないのですが。椅子としての最大の機能「座る」ということを排除したこの作品を見て、「う~ん」となってしまいました。全然理解できない(笑)

このデュシャンの作品を筆頭に第1章は「美術館の座れない椅子」というテーマでくくられています。

 

岡本太郎の≪坐ることを拒否する椅子≫は、座面に挑発的な顔が描かれていて、ゴツゴツして座りにくそうな椅子が並んでいます。あの岡本太郎さんですから「座ってのんびりしてる場合じゃないんだよ!」という私たちへの叱咤激励なのかな、と感じました。

カラフルでポップな作品、ジム・ランビーの≪トレイン イン ヴェイン≫は、中古の椅子をペイントして切断し即興的に組み上げたものだそう。解説文には「まさにその“座る”という役割を封じることで、物体としての椅子がもつユニークな構造が前景化する」と書かれていました。

切断されて本来の姿を失った椅子に、アートとしての機能や価値がうまれた、という解釈なのかな~(あまりわかっていない…笑)

 

展示は全部で5つの章で構成されています。

先に紹介した第1章「美術館の座れない椅子」に続いて第2章は「身体をなぞる椅子」。

 

 

アーティストが捉えた“椅子と身体の相互作用”が第2章のテーマ。

椅子の構造って人間の身体の構造と似ていますよね。つまり肘掛けは腕、脚は足という感じで。ゆったりと椅子に身体を預けたり、うたた寝をしたり、背筋を伸ばして座ってみたり、より快適に座れるように身体をなぞるようにデザインされていたりします。

ハンス・オブ・デ・ビーク《眠る少女》

 

椅子は身体をなぞらえて作られているけれど、これが逆転して人の身体が椅子に倣うという場面もあり、それを代表するのがロッキングチェアや車いすである、と解説文に書かれていました。

椅子って自分を“受け入れてくれるもの”包んでくれるもの、という受動的なイメージがあったけど、椅子そのものが動くという点でいうと能動的な機能もあったりするんだな~と考えながら、作品を見ていきました。

 

第3章は「権力を可視化する椅子」、第4章「物語る椅子」、第5章「関係をつくる椅子」と続き、全5章で国内外28組の作家による80点を超える作品が展示されています。

アートユニット“副産物産店”による廃材を再利用した椅子。来場者たちが座れるようになっていて、コミュニケーションが生まれる場を想定しているそう

 

ただ眺めるだけでもおもしろい「椅子なるもの」

 

正直、「椅子なるもの」の解釈は難しくて頭がおいつかなかったのですが、なにも考えずに作品をただ眺めるだけでもじゅうぶん楽しめました。展示されている座ってもいい椅子に腰かけて、「これってどういう意図なのかな」、「車いすって意外と座り心地がいいね」とか、それぞれの感想なり解釈を話しているうちに、その行為こそが椅子がもたらしているものなんだなと感じました。まさに「関係をつくる椅子」です。

 

第5章「関係をつくる椅子」に展示されたオノ・ヨーコ≪白いチェス・セット / 信頼して駒を進めよ≫

 

平日は作品に座ったりチェスの駒を触ることもできます

 

アートのなかに組み込まれた椅子を見た後で、もう一度家具としての椅子に焦点をあててみるのもおもしろいのかな、と感じました。

興味がある人はぜひ見に行ってみてください。

 

宮永愛子《witing for awakening -chair-》。透明な樹脂で封印された椅子はナフタレンでつくられたもの。歴史と記憶が刻まれた椅子のこれまでの時間や、アーティストが費やした時間を表現しています

 

 

【アブソリュート・チェアーズ~現代美術のなかの椅子なるもの】

愛知県美術館にて2024年9月23日(月・祝)まで開催

 

快適な背もたれの高さとは? ソファ選びの3つのポイント

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ソファは背もたれの高さによって、空間の印象を左右します。

部屋に置いてみたら思ったより圧迫感があったというケースはよく聞くこと。ではどうやって空間を圧迫せず、快適なソファを選んだらいいのでしょうか。

CONNECTの高橋さんにポイントを聞いてみました。

CONNECT店長の高橋さん。Instagramにも登場しているのでチェックしてみてください!

 

 

背もたれは「ハイバック」と「ローバック」の2タイプ

ソファの背もたれの高さは大きく分けると、「ハイバック」と「ローバック」の2タイプ。

ハイバックとは、背もたれの高さが50cm以上、使用する人の身長にもよりますが、だいたい首から頭部まで支えてくれる高さのものをいいます。

対して「ローバック」は背もたれの高さが30cm~40cm。腰から肩下あたりまでのものを指すことが多いです。

 

ハイバックは安定感と安心感

ソファにもたれたときに首や頭部まで支えてくれる背もたれがあると、安心感がありますよね。読書や映画観賞など長時間座っていたいときにも、ゆったりくつろげるのが特長です。

存在感はあるので、それを圧迫感と捉えるかどうかは空間の広さと個々の感覚になります。逆に存在感を利用して、背もたれの高さを活かした空間の間仕切りとして使うこともできます。

 

ローバックは“視線抜け”の開放感

ローバックはとにかく空間が広く見える! 背もたれが低ければ、当然部屋は広く見えますよね。キッチンからリビングまでの視界を遮ることなく、視線が広がるので圧迫感がないのが特長です。人気が高まっていることもあってデザインもかなり豊富。選択肢が多いのはうれしいですよね。和の空間にフィットしやすいのもローバックの魅力。和モダンな部屋にしたい人は試してみるといいかもしれません。

 

CONNECT「ローバックコンパクトソファ」 少し後ろに傾斜した座面設計で、背面全体で体重を支えてくれます

 

ハイバックとローバックの違いを理解したところで、具体的なポイントについて教えてもらいました。

 

 

≪ポイント1≫

ソファで何がしたいかを考える

どんなシーンでソファを使うのか想定してみてください。ソファで寝たいのか読書やテレビを見たいのか、目的によって使い勝手が違ってきます。比較的どんなシーンでも使えるのはローバック。明確なイメージがもてない場合は、ローバックを選択するのが無難です。

 

≪ポイント2≫

10畳以下の空間ならローバックを

もうこれはいわずもがな、ですね。10畳というのはあくまでも目安ですが、狭い空間にハイバックというのはかなりリスクがあります。どうしてもハイバックがいいな~という人は、ローバックタイプでヘッドレストが別で付いているソファを選ぶといいかもしれません。取り外しが自由なので、シーン別でソファを活用できますよ。

 

CONNECTの定番「コダマシリーズ肘無しテーブル付ソファ」

 

≪ポイント3≫

設置場所をあらかじめ決めておく

部屋の真ん中に置くのか壁際に置くのか、あらかじめイメージしておくのは大切なこと。視線の抜け方、動線などを頭の中でシミュレーションしておくと失敗しなくてすみます。あと、念のために搬入経路の確認もしておくのがベスト。たとえば、リビングが2階にある場合、階段が狭くて搬入できず吊り上げになるパターンもあります。

 

以上、参考にしてみてくださいね。

CONNECTの一枚板をサイドテーブルに添えた「一枚板テーブル付ソファ」

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余談ですが、私が最初に買ったソファはハイバックでした。お店で座ってみた感じがとても安心感があったのと、首までしっかり支えてくれてこんなにくつろげるんだ!まるで新幹線のシートみたい! と感動したのを覚えています。

ただ、子どもが生まれてしばらくしてロータイプに買い替えました。子どもが何をしているか見えたほうがいいというのと、どっしりしたソファよりもちょこっと座りできる軽快さを優先したくなったからです。

生活スタイルの変化によって、必要なものって変わってきたりもします。大きな買い物ではありますが、柔軟に構えておくのがいいかもしれませんね。

 

みなさまにとって快適なソファが見つかりますように。

 

【参考】

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【ダイニングチェア】板座のメリットは? 張座との違い

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ダイニングチェアを選ぶとき、板座と張座で迷う方も多いかもしれませんね。

そもそも板座って何? 張座って?という方もいると思います。板座とは、その名の通り座面が板になっているものを指します。一方、張座は座面に布や皮が張られているものをいいます。

布や皮が張られているものが張座

 

ひと昔前の板座は、どっしりと重厚感があるものが主流でした。重量があるため、4本の脚にキャスターが付いていたり、座面が回転するように回転盤が付けられていたりするものもあったようです。

その重さゆえ、敬遠されがちだった板座のダイニングチェアですが、最近になって人気が高まっています。

 

無骨なイメージからスタイリッシュなデザインへ

 

カフェスタイルのダイニングチェア CNT-C-130838

 

理由のひとつとして、スタイリッシュなデザインが可能になったことが挙げられます。

重厚でちょっと無骨なイメージだった板座の椅子は、木工技術の発達により、ほっそりとした脚でスタイリッシュなデザインが可能になりました。

長時間座っていても痛くならないように、座面にざぐりが施されているものもあります。ざぐりとは、安定感を増すためにほどこされる加工のこと。板座のチェアの場合、座面を彫り込んでお尻にフィットするように加工されているものをいいます。お尻の収まりがいいのですべりにくく、疲れにくいというのがメリットです。

 

お尻の形に“ざぐり”が施された座面

 

木材の温もりが感じられ、座面の張り替えも不要

 

もうひとつの人気の理由は、メンテナンスが楽だという点です。

飲み物や食べ物をこぼしたとき、さっと拭けばいいだけというのは楽ですよね。

小さなお子さんやペットがいるご家庭の場合、汚れは特に気になりますよね。ペットの爪跡も気になるところ。

板座なら、シミや汚れはサンドペーパーで磨いてあげれば、風合いはそのままでずっと使い続けることができます。

また、布や皮が張られている張座の場合、劣化したら張り替えが必要となりますが、板座はそのままずっと使い続けられるという点も、選ばれている理由のひとつといえます。

包み込まれるような座り心地のコンフォートチェア CNT-C-130212

 

意外とお尻って汗ばむもの。

布張りの場合、布に汗が染み込んでしまわないか心配という人は板座を試してみるのがいいかもしれませんね。

 

 

使えば使うほど味わいが出る

 

一枚板のテーブルと同様、使えば使うほど風合いが増し、味わい深くなるのも板座チェアの魅力です。

お気に入りの木材を選んで、10年、20年と使い込んでいくうちに自分だけの一脚になるという過程も味わえます。

 

国産材の美しい木材で仕上げられた板座チェア。肘掛の長さも選べるCONNECT板座 肘付きチェア

 

 

夏はひんやりとして気持ちがいいというのも板座のメリット。冬はそのままでは冷たいという場合は、クッションや座布団を置くなど工夫している人も多いようです。

四季を通して木材の心地よさを感じられるのはいいですよね。

 

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「座る」という行為は、私たちにとってはリラックスするための動作。

座面の材質に加え、高さや奥行、肘掛けの有無、空間との間合いも含めて、気持ちが安らぐものを選んでください。

 

【取材】

CONNECT:高橋美紀

【参考】

CONNECT webshop

https://item.rakuten.co.jp/mizunokagu2/c/0000000169/

家具の「フルオーダー」と「セミオーダー」。カスタマイズで理想を叶える

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セレクトショップなどで洋服を見ていて「あ~、この襟元がもう少し開いていたら」とか、「裾がもう少し長かったら」とか、ディテールが気になって買うかどうか二の足を踏んでしまうことってないですか?

洋服ならまだ失敗も許されそうですが、家づくりや家具選びとなると慎重になりますよね。

サイズの合った家具選びは、居心地のいい部屋づくりの基本です。

サイズが決まっている既製品の場合、どうしても妥協せざるを得ない箇所が出てくることがあります。買う時には「これくらいならまぁいいか」と思っていても、積み重なると大きなストレスになる場合も。「ほんの少しのがまん」は快適な生活を妨げる大きなストレスになりかねません。

そんなときの選択肢として、オーダーメイドという方法もあります。オーダーメイドには、「フルオーダー」と「セミオーダー」の2つのパターンがあります。それぞれの特徴とメリットを紹介してみようと思います。

 

フルオーダー

フルオーダーは素材やデザイン、サイズ、カラーなどすべてをゼロから注文する方法です。

好みの家具がなかなか見つからない人や、ジャストサイズの家具を作りたい人、デザインにしっかりこだわりたい人は、フルオーダーがいいかもしれません。すべてその人の依頼通りにつくるので、「デザインは気に入っているけれど、サイズが合わない」といった悩みが解消されます。

例えばテーブルの場合、天板の木材やサイズ、脚の太さや素材などをカスタマイズできるのがフルオーダーです。さらに「収納を付けたい」とか「部分的に異素材を使ってみたい」など、特別な注文が可能となります。

 

セミオーダー

あらかじめ用意されている選択肢の中から組み合わせるのがセミオーダー。フルオーダーほどの自由度はありませんが、既製品よりは好みに合わせることができ、フルオーダーと比べるとコストを抑えられるのがメリットです。

ある程度の希望や理想はあるけれど、ゼロから選ぶのは不安という人にはセミオーダーが向いています。

オイル塗装の自然なぬくもりが印象的な「CONNECT180ダイニングテーブル」。天板の厚みは1cm単位でオーダー可能。脚のタイプも3種類から選ぶことができます

 

家具店によってはサンプルが展示されていることもあり、仕上がりをイメージしやすく、基本となる選択肢があることで、失敗しにくいのもセミオーダーといえます。

シャビ―な雰囲気がヴィンテージ好きな人に人気。長さと奥行はサイズオーダー無料。脚のタイプも選べる杉古材のダイニングテーブル

 

場合によってはセミオーダー+特注も可能

セミオーダーの選択肢にないものでも、場合によっては特注できる場合もあります。

オプションを用意しているアイテムもあるので、家具店に相談してみてください。

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憧れのオーダーメイド家具。想像するだけでワクワクしますね。

サイズや材質にこだわって作るのももちろんOKですが、すでにお気に入りの家具がある場合、それに似合うテーブルを新調するとか、例えば「この椅子が映えるようなテーブルをオーダーしたい」とか、そんな目線で考えてみるのもオーダーの楽しいところです。

 

【参考】

CONNECT https://connect-m.jp/

LDKのダイニングテーブル選び。3つのポイント

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だいぶ暖かくなってきましたね。

春は引っ越しのシーズン。新しい生活がスタートしている人も多いかと思います。

暮らしをアップデートするために家具を新調する人も多い季節。限られたスペースで理想の暮らしを実現するために、LDKの家具選びのポイントをオリジナル家具ブランド「CONNECT」の高橋さんに聞いてみました。

CONNECT一枚板ダイニングテーブル

 

ポイント1

まずはダイニングテーブルから

 

LDKに配置する主な家具というと

・ダイニングテーブル

・椅子

・ソファ

・テレビ台

などがあります。

なかでも一番スペースをとるのがダイニングテーブル。家族で食事をしたり、子どもが宿題をしたり、最近ではワークスペースとして使う人も多い重要な存在です。

家具選びはまずサイズ感が大事。特に大きなダイニングテーブルから決めていくのがおすすめです。家族がどういう動きをするのか、動線や生活スタイルを見直してみてください。

一般的に大人1人が通る幅は60cm。物をもって歩く場合は75cm以上あるのが理想的といわれています。椅子に座った状態で後ろを人が通る場合には、テーブルから壁面まで1mほど空間を空けておいたほうがいいそうです。

確かに。椅子を引いたら壁に当たって立ち上がりにくいとか、ソファを置いたら歩きづらくなって窮屈!なんていう事態は避けたいですよね。

 

ポイント2

動線をシミュレーションする

 

動線の種類もいくつかあります。

家事動線、通勤動線、衛生動線、来客動線、さまざまなシーンで人の動きを想像することが大切。特にダイニングテーブルの周りは、頻繁に人が通るため動線の確保は必須です。

まずは、頻度の高い家事動線を優先に考えてみるといいでしょう。特にキッチンからダイニングへの動きの邪魔にならないか、回遊性をチェックしてみてください。

回遊性については、家族の人数によっても変わってきます。特にバタバタする朝の支度をイメージしてみてください。

ダイニングテーブルのどこに誰が座るのか、どういう動きをするのかを想像して、家族みんながストレスフリーに生活できる配置を実現させたいですね。

 

ポイント3

省スペースが目的なら形で選ぶ

 

スペースを確保しづらい場合は、家族の人数や来客によってテーブルの大きさが変えられるフレキシブルなタイプを選ぶのも一案です。

ソファに天板がついてテーブル代わりになるソファテーブルも省スペースになっておすすめ。

CONNECTソファー & テーブル VITA

 

CONNECTソファー & テーブル VITA

 

ダイニングテーブルの天板は長方形や正方形が多いですが、小さなお子さんがいる場合は丸型のものを選ぶ方も増えています。椅子を置く位置が自由なので、子どもとの距離を好きなように調節できるのが魅力。

長方形のテーブルだと動線が確保しづらい場合には、丸いダイニングテーブルにすることで、スムーズない動きがとれるかもしれません。

CONNECT一枚板テーブルケヤキ(納品事例)

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ポイントを3つに分けて紹介しましたが、何より一番大事なのは「気に入ったものを使うこと」と高橋さん。

ダイニングテーブルはLDKの顔。インテリア全体のイメージを決定づけるものでもあります。

これだ!と思う出会いがあったら、そのテーブルを軸にサイズの大きいものから順にイメージを固めていくのがいいかもしれませんね。

 

【参考】CONNECT

Instagram:https://www.instagram.com/connect.interior/

 

暮らしと家具の需要と変化

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ニトリ、IKEA、無印良品など、手ごろな価格で家具が手に入る時代。生活スタイルの変化によって、家具の需要もずいぶんと変化したように感じます。

 

名古屋市の老舗家具店「みずのかぐ」の高橋さんと、「暮らしと家具の需要と変化」についてお話してきました。

 

 

婚礼家具の黄金期! なんでも売れた時代

 

「みずのかぐ」の創業は1960年。ちょうど日本の高度経済成長期にあたります。一般家庭に洋家具が浸透し、生活様式も洋風化、家具産業が目覚ましく成長した時代です。

学校や会社もどんどん増えて、それにつれて家具産業もピークを迎えます。

 

「当時は何でも売れたと聞いています(笑)。家具屋の黄金期だったんじゃないでしょうか。婚礼家具の全盛期もあって、洋服箪笥、整理箪笥、和箪笥の3点セットは飛ぶように売れました」(高橋さん)

戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代と呼ばれる人たちが1970年ごろに結婚適齢期を迎え、空前の結婚ラッシュが到来したことも追い風になっていたといいます。

国民の生活水準が向上し、結婚式や新生活への投資額も大きくなるとともに、その豪華さも競うようになりました。婚礼家具は嫁入り道具のメイン。華やかで豪華なものを持たせて嫁がせるのが親の誇りでもあった時代です。

「1990年ごろ、バブル期の手前までは婚礼家具は売れていた」と高橋さん。ただその後、住まいのスタイルが変わり、家具の需要も大きく様変わりします。

 

 

LDKの浸透で家具の需要に大きな変化

 

団塊世代の結婚ラッシュと高度成長期の流れのなか、住宅不足を補うように団地が形成されはじめ、建売住宅の建築が勢いを増します。狭いスペースをやりくりするなかでLDKという間取りが広まります。

「平成に入ると完全にLDKの時代に変わっていましたね。キッチンとダイニングが一体化。リビングにはローテーブルとソファを置くという暮らしが定着したように思います。

床は全面フローリングになり、LDKのつながりのある間取りが若い人たちに好まれるようになりました。

新築の家では洋服ダンスはクローゼットに代わり、食器棚も作り付けのケースが増えて、婚礼家具はだんだん衰退していきました」と高橋さん。

「まとめてド~ンと買うというより、1点ずつ好きなものを吟味して買いたいっていう人が増えましたよね。婚礼家具は親が買ってくれるものだったけれど、今は限られた居住スペースだからこそ、自分たちの好みで決めたいという人が多いと思います。そういう人たちに寄り添った提案ができるかどうかが、家具店の勝負どころなんじゃないかな」(高橋さん)。

 

 

オリジナルブランドで勝負する時代へ

 

2020年のコロナ禍を経て、一時的なマイナス要素があったものの、家具・インテリアの販売市場は伸びています。総務省の調査によれば、家具への家計支出額は前年比を上回っていることがわかります。

 

コロナ禍をきっかけに暮らしを見直す人は多かったですよね。そうした背景から、大手量販店やネット販売に注力してきた家具店などが好調だったようです。

 

「コスパ重視の人、ブランド好きな人、個性重視の人など、好みはさまざま。多様化の時代にどんな提案ができるのかが家具店の力の見せどころかなと思います」と高橋さん。

 

https://item.rakuten.co.jp/mizunokagu2/c/0000000117/

ニーズに対応するため、「みずのかぐ」では、オリジナルブランドの開発を続けています。

高橋さんが手掛ける「CONNECT」は、オリジナルのオーダー家具を扱うショップや、一枚板を再生し利活用する「rewood」、北欧デザインオリジナル輸入家具ブランド「NORTE」を展開しています。

 

「ダイニングテーブルやソファなど、暮らしのインテリアをトータルで提案できるのが家具店の強み。ネットの販売方法も含めて、工夫しながら時代にのっていかないと!と思っています」

 

「仕入れて売っていた時代は終わった」と高橋さん。これからは、中小規模の家具店もオリジナルブランドで勝負する時代なんですね。

 

【参考】

CONNECT https://connect-m.jp/