新年のご挨拶にはだいぶ遅くなってしまいましたが、みなさま今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回は東京都江東区新木場にある木材会館についてお伝えしようと思います。
新木場駅を降りてすぐの場所にある木材会館。映画やドラマのロケ地としても使用される撮影スポットでもあります。
近づいて全貌が見えると、思わずパシャパシャと写真を撮りまくり。
外観がすでにかっこいい!
木とコンクリートがランダムに組み合わさって、リズミカルな印象を受けます。「木材を使っています!」というこのインパクトは、さすが木材会館というだけあります。
■ヒノキの大梁がダイナミックな7階ホール
天井から壁にかけて、大きなL字型の大梁が並んでいます。圧倒的な存在感を放つダイナミックな梁は、誰もがしばらくポカンと見上げてしまうほど。
入口から奥までが24m、幅19mという実際にも広い空間なのですが、さらに広く感じさせているのは5.4mという天井の高さかもしれません。
5.4mという高さは、万が一床面で火災が起きたとしても、炎や高温の煙が梁に触れないようにするためなんだとか。この天井高を確保することで、木を不燃化することなく自然のまま使用することが可能になったとのことです。
ちなみに木の不燃化処理とは、不燃薬剤に木を浸して木材の中の水分と薬剤を転置する方法だそう。木が重たくなる、木の質感が変わってしまうこともあるため、できる限り自然のまま使いたいというのが同会館のデザインに反映されているようです。
梁に使われているのは岐阜県産の良質なヒノキ。ヒノキの角材を束ねてボルトで縫い合わせ一体化したものを1本の梁として使っているとのこと。接着剤をいっさい使わずに仕上げているため、ボルトを外せば元の角材に還元され、他の用途への流用が可能。ビルの寿命後の再利用まで考えられているのはさすがですね。
■思わず裸足で歩きたくなるヒノキ舞台
1階のギャラリーにはヒノキ舞台が設置されています。舞台の東側にはヒノキの角材がランダムに組み合わされた壁。ユニークですよね。暗号でも唱えたら「ゴゴゴー!」と音を立てて開きそう(笑)。
せっかくなので靴下を脱いで裸足で舞台に立ってみました。冬だったのにそんなに冷たさを感じず、木の心地よさが足の裏から伝わってくるような気がしました。
奥には茶室も用意されています。
水屋を備えた本格的な茶室で、お茶や生け花、詩吟の教室などに使われているそうです。
■小ホールに立つスギの木立!?
入口には木目の特徴をデザインに活かした大きなカウンターが目に留まります。ヒノキの角材を波上に削り、波状に削り、積み重ねて製作されたもの。板目と柾目の違いがはっきりと目に見えて、木の力強さとかエネルギーを感じます。
案内してくださったガイドさんが「奥に木立がありますよ」と言うので、ホールの奥に進むとこんなスペースが用意されていました。
5cmほどの幅にカットされたスギ板が天井から床に、何本も張り巡らされ、本当に「スギの木立」が表現されていました。カーテンをあければ自然光が木立の間から差し込んでくるデザインに。光の入り方もデザインの妙といえそうです。
■「都市建築における木の復権を目指す」木材会館
国産材の需要低迷という状況を変えたい、「木の国 日本」の名にふさわしい建築を、という想いでつくられた木材会館。
2009年の竣工から今年で16年が経とうとしています。
時を経るにつれて木は変色します。私が訪れた際も、バルコニーなど日差しを受ける場所はもれなくグレーに色が変わっていました。木とのコントラストを生み出しているコンクリートも、木の灰汁によって少しずつ黄ばんでいき、もしかしたら数年後、数十年後にはコンクリートと木が同じような色になっているということもありえるそうです。時間の経過とともに、変化していくのも木のおもしろみですよね。
木材会館を見学して、改めて日本は木の国なんだな~と実感しました。
今回は昼間におじゃましたのですが、木材会館は実は夜景も美しいのだとか。オフィスの明かりがついたとき、この外観はどんな見え方をするのか、実際に見てみたいところ。今度は夜に訪れてみたいと思います。
事前予約で見学可能なので、興味がある方はぜひ訪れてみてください。
https://www.mokuzai-tonya.jp/mokuzaikaikan/index.html
【参照】
木材会館小冊子「都市建築物にも木の潤いを!―中高層ビルへの木材活用策―」(東京木材問屋協同組合)