スギの学名は「隠れた日本の財産」
「クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria Japonica)」って何かわかりますか?
聞きなれない言葉かもしれませんが、「クリプトメリア」というのはスギの学名で、日本固有の種を指します。
「クリプトメリア」は、ラテン語で「隠れたもの」という意味があります。スギの果実のような「球果(きゅうか)」が葉におおわれていることに由来していますが、「隠れた日本の財産」という意味でも広く知られています。
近年では、花粉症の原因として嫌われがちなスギですが、実は昔から日本人の暮らしを支えてきた大切な存在です。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、スギがなければ、今の日本の発展はなかったかもしれない――それほど重要な木だったのです。
日本初の電信柱もスギでできていた!
昔は、家屋の建材としてはもちろん、桶や樽などの日用品にもスギが使われていました。柱や屋根、道具、薪として、さらには葉が線香として使われることも。明治2年(1869年)、東京と横浜を結ぶ日本初の電信柱が建てられましたが、そのほとんどもスギ製だったそうです。



国策によって増えすぎたスギ
現在、日本の森林の約4割が人工林で、その中でもスギは最も多く植えられている木です。これは、戦後の国策が大きく影響しています。
焼け野原となった戦後の日本では、大量の木材が急ぎ必要とされました。そのため、成長の早いスギが全国各地に植えられたのです。こうした背景があって、今では青森県から屋久島まで広く分布し、秋田県、三重県、富山県、京都府、奈良県、高知県、宮崎県では、県や府の木にも指定されています。

ちなみに、スギの名前の由来には諸説ありますが、まっすぐに立つ姿から「直木(すぎ)」と呼ばれるようになったとも、成長が早く「すぐ木になる」ことから「スギ」と名づけられたとも言われています。
スクスクと育つスギは、日本の復興を支えてくれた存在でした。しかし一方で、今では手入れが行き届かない人工林が増え、荒廃してしまっているという現実もあります。そんななか、「隠れた日本の財産」であるスギをもっと活用していこうという動きも出てきています。
環境保護の視点からスギの利用を考えてみる
こちらは、コダマプロジェクトが制作する東濃杉を使ったソファ。

宙に浮いているかのような軽やかなデザインと、スギの柔らかい素材感がマッチした人気のソファ。ファブリックも洗える素材なので、お子様がいる家庭でも安心して使えそうですね。カラーリングも豊富なので、室内の雰囲気に合わせて選べるのが人気の理由となっているようです。

天然木のソファは、木の柔らかさや快適な座り心地が特徴。湿度の吸排気に優れた素材なので、室内の快適性が向上するというメリットもあります。生態系のバランスが崩れかけている今、国産のスギ材を生活の中で使う事は環境的にもとても意味のある事。
日本の発展に大きく貢献してきたスギは、まさに「隠れた日本の財産」です。健全な森を維持するためにも、スギの活用が進むといいなと思います。
<アイキャッチ画像出典・参考>
国立国会図書館NDLイメージバンク「杉と日本人のお付き合い」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/column/sugi
<参考>
林野庁「森林資源の利用と造成の歴史(2)」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r5hakusyo_h/all/tokusyu1_2.html
