「炭火で焼くとおいしくなる」と言われていますが、その理由はなぜか知っていますか。
それは、炭が出す輻射熱と赤外線の効果によるもの。
食材を芯から熱し、うまみ成分であるグルタミン酸を生成してくれるからなんです。
うなぎや焼き鳥などに炭が使われるのは、水分を含まない炭を使うことでパリッとした食感に仕上がるからなんですって。
焼き物だけでなく、ごはんを炊く時にも炭は大いなる力を発揮します。
方法は簡単です。ごはんを炊く時に炊飯器に白炭(備長炭)をポイっと入れておくだけ。
炭から出た遠赤外線が米を芯から熱し、うまみ成分を引き出してふっくらおいしいごはんに仕上がります。
前回の記事で、炭には小さな穴がたくさん空いているという話を紹介しましたが、それもごはんをおいしくしてくれる秘密。この穴が炊飯に使われる水のカルキ臭や不純物を炭が吸着してくれるのです。穴からは炭のミネラル分が溶けだすため、水質がまろやかになり、いっそう米をおいしく炊き上げてくれますよ。
さらには、水道水に入れておくだけで浄水器と同じような効果を発揮したり、生野菜や果物を長持ちさせたりする効果も。
炭をつくる時に出る煙から抽出した木酢液には殺菌作用があり、土壌改良や病虫害対策など農業や園芸の分野でも使われています。
炭って本当にすごいですね。
最後に、炭をとことん楽しめる施設をご紹介したいと思います。
炭といえば備長炭。日本有数の備長炭の産地・和歌山県にある「道の駅 紀州備長炭記念公園」です。
江戸時代に生まれた「紀州備長炭」の歴史的背景だけでなく、炭焼き窯の見学や、炭焼き体験もできます。
さらに、備長炭を使ったおもしろいメニューをいただくことも。
インパクト大なこちらは備長炭を麺に練り込んだ「備長炭ラーメン」。ほかにも夏季限定の「冷炭めん」や「梅炭そば」などが楽しめます。
備長炭で丁寧に濾過した水を使った「備長炭コーヒー」も味わえます。
屋根付きのBBQ場も用意されていて、備長炭を使ったバーベキューも体験できます。(時期や料金などはHPで要確認)
旧石器時代にすでに炭は使われていたという記述もありあす。いにしえから日本人の暮らしに根付いてきた炭について、2回にわたってお届けしました。
ぜひみなさんの暮らしにも役立ててみてください。(ま)
【参考】
林野庁「木炭のはなし」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/mokutan/
道の駅 紀州備長炭記念公園
「子どもに伝えたい和の技術8 木づくり」
(2017年/和の技術を知る会著、株式会社文溪堂発行)