古き良き木造住宅「長屋」がオモシロイ

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今日は長屋についてふれてみたいと思います。

というのも、私、最近長屋にご縁がありリノベーションのお手伝いをさせていただいたり、見学させていただいたりする機会があって、改めて長屋っておもしろいな、と思ったからなんです。

長屋とは長い建物の内部を壁で仕切り、いくつかの住まいにした集合住宅のことをいいます。一戸建てを平行に連なるようにしてくっつけた、といえばわかりやすいでしょうか。三軒が連なったものを三軒長屋、四軒だと四軒長屋といいます。

江戸時代はこの長屋が町人のスタンダードな住まい。マンションなど建てられなかった時代に、限られた土地の中で多くの人を住まわせるために考えられた住まいのカタチだったんですね。

隣家とは薄い壁で仕切られていて会話は筒抜け。トイレは共同、生活用水用の水も共同の井戸からくんでいました。今では考えられないつくりですが、当時の長屋暮らしの人たちは家族同然にお互いを思いやり、助け合う生活を営んでいたようです。

さて、そんな長屋。最近では、空き家になった物件をリノベーションして若い人たちがお店を開いたり、住まいにしたりと活用が進んでいます。

▲名古屋市北区でリノベーションが進む『ムテの秘密基地』。土壁をはがしたり床材を張り替えるなど、仲間たちによるリノベーションが着々と進んでいます

 

理由の1つは、長屋の大家さんの代替わりが挙げられます。もう1つは、リノベーションという文化が根付いてきたこと。さらにはレトロブームという追い風も理由として挙げられそうです。

相続した長屋を利活用するため、何かやりたいという人に貸し出し、リノベーションして新しい風を吹き込むことで、老朽化した長屋が息を吹き返すのです。

▲カフェとライブスペースを併設する予定の『ムテの秘密基地』。近所の方たちもオープンを楽しみにしています

 

冒頭で書いた長屋もそんな場所です。

雨漏りしていた屋根を修繕し、床を板張りに張替えるなど、借主がDIYで仕上げたり、建築家と協働したりしてリノベーションが進んでいます。

解体した場所から出た木材を再利用したり、もともとあった壁を利用したり、はたまた現代の素材を組み合わせてモダンな雰囲気に仕上げてみたり。アレンジ次第で素敵な空間が完成するのだな、と感心しきり。

カフェや飲食店、古書店、雑貨店など、長屋が個性豊かなお店に変わっていく姿は見ていてワクワクします。新しく生まれ変わった長屋は、まちの魅力の向上にも一役買ってくれるのではないでしょうか。

高層マンションや大型ショッピングモールなどが立ち並ぶエリアでも、ちょっと路地裏を歩けば昔ながらの長屋が残っていたりします。

▲カフェと▲表玄関から裏手につながる土間。その先に広がる空間にワクワクします(ムテの秘密基地にて)

 

太い梁、土間や縁側。古き良き日本の木造住宅の良さがいっぱい詰まった長屋。のんびりと散歩しながら探してみるのも楽しいかもしれませんね。(ま)

Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。