森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森

投稿日カテゴリーALL BLOGBREAK OUTDIYrecommend憧れのライフスタイル木育

1年間、森の一角を貸してくれる、と言われたら何をしますか?

  • テントを張る。
  • ウッドデッキや簡単なシェルター作る。
  • 薪置き場や焚火スペースを作り、いつでも焚火ができるようにする。
  • 石やレンガでピザ窯を作る。
  • スモークハウスを作って燻製に挑戦する。

など、やりたいことはたくさん出てきますよね。

私の場合、森で一番やってみたいことは「ぼーっとする」かもしれません(笑)。何もしないというのも最高の贅沢ですよね。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森

自分専用の森をレンタルできるサービス

自然に浸りたいな~というとき、一番手っ取り早いのはキャンプに行くことかなと思うのですが、昨今のブームも相まって、人気のキャンプ場は予約がなかなかとりづらい状態が続いています。

コロナ禍を経てキャンプ場の数も増えたようですが、キャンプ場によっては隣の区画との距離が近すぎて話している内容が聞こえてしまったり、子ども同士がもめたりなんていうこともあって、リラックスしに行ったはずが、ただ疲れて帰ってきたなんていうこともあると聞きます。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森

そんななか、岐阜県で2020年にスタートした「forenta」という森林レンタルサービスが注目を集めています。自分だけの森を年間契約で借りられるサービスで、予約なしでいつでも好きなときに訪れることができるというもの。まるで自分の秘密基地を持つような感覚で利用できるとあって、キャンパーを中心に人気が高まっています。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
「forenta」利用者の区画。(提供:forenta)

サービスが始まった背景には、日本の林業が抱えるさまざまな問題があったといいます。

高齢化が進み、森の手入れが追いつかなくなったり、木材生産だけでは経営が成り立たなかったりと、全国の山主たちは苦しい状況に立たされています。山間地域の過疎化も深刻で、人の出入りが減ることで森はますます荒れていく。こうした課題を解決するために生まれたのが「forenta」なのです。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
年間いつでも行けるから四季の移ろいも楽しめる(提供:forenta)

借りる人、貸す人、そして自然。三者すべてにプラスになる仕組み

「forenta」の魅力は、自然そのままを自由に使えるという点。なので、山のオーナーは初期投資不要で森を貸し、手間をかけずに収益を得られるというメリットがあります。一方、利用者は、自分で好きなように森を整備しながら使えるため、“森のオーナー”になったような気分を味わえます。

利用者が自分の区画として森を使うことは、自然にとってもメリットがあります。今、戦後に植えられた人工林は、手入れがされずに放置されるケースが増えていて、各地で問題になっています。人工林は人の手が入らなくなるとどんどん荒れてしまう。でも、「forenta」を通じて人が森に入り、適度に活用することで、森林が健全に保たれていくことが期待されれているのです。

 

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
「forenta」利用者の区画。(提供:forenta)

自由度が高い「forenta」

年間契約だから、思い立ったときにすぐ森へ行けるのが「forenta」の大きな特長。焚火はもちろんOKで、小さな木なら伐採も可能。キノコや果実を採ることもできます。静岡県伊東市の宇佐美キャンプエリアでは、区画内に実ったみかんが好きなだけ食べられるとか。さらに、自分の区画なのでテントを張ったまま帰っても問題ない。広い区画が確保されているので、他の利用者の音が気になることもほとんどないそうです。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
区画内に実った果物やキノコは収穫OK。四季の食材を見つけに行くのも楽しみになりそうです(提供:forenta))

比較的平坦で車で乗り入れやすい土地が選ばれていたり、アクセスのしやすさも考慮されています。ただし、森の中はほぼ手つかずの自然なので、自分で開拓するワイルドなキャンプを楽しみたい人、という条件は踏まえておいたほうがいいかもしれません。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
近くの沢から水をひく水路を自作する人も!「forenta」利用者の区画。(提供:forenta)

一時期のキャンプブームにのり、山を買うという人も多いと聞きます。

ただ、山を買うとなると、登記手続きや固定資産税、森林組合費、伐採の管理など、いろいろと手間がかかりますよね。買った後の管理は、想像しているよりも大変という声もあるといいます。でも、「forenta」ならレンタルなので、そうした負担は一切なし。1年ごとに契約を更新することで、長期の利用も可能です。

利用者の中にはログハウスを建てたり、露天風呂やミニガーデンを作ったりと、みなさん思い思いの使い方で自分だけの森を楽しんでいるようです。

キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
「forenta」利用者の区画。(提供:forenta)

「forenta」は、森を活用しながら自然と共存し、地域の課題解決にも貢献するサービス。ありそうでなかった画期的なアイデアが評価されて、「2022年度グッドデザイン賞」「ウッドデザイン賞2022」をW受賞。今では北海道、静岡、京都、福岡と全国に広がりを見せています。単なるレンタルサービスではなく、森と人をつなぐ新しい仕組みとして、これからさらに広がっていきそうですね。

 

【参考】

forenta

https://www.forenta.net/

「forenta」Instagram

https://www.instagram.com/forenta1/

Matsuoライタープロフィール
キトヒト(木と人)天然木一枚板家具の魅力と使用方法や樹木知識、自然を愛する人へ送る木を使ったインテリアの情報 | 森林レンタルサービス「forenta」—好きなとき好きなだけいられる自分だけの森
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。