家具のトレンドは有機的デザイン。暮らしのなかにインスピレーションと癒しを

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ここ数年のインテリアのトレンドは「有機的なデザイン」。自然界のもの、例えば植物などにインスピレーションを受けた曲線的なデザインが人気となっています。

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◆丸みがあって素材感重視の「有機的デザイン」

 

毎年4月にイタリアで開催される家具の祭典「ミラノサローネ」。

会場では曲木加工された天然木のテーブルセットや、丸みを帯びたデザインのソファが注目を集めていたのだとか。曲木のカーブや丸いフォルムなど、柔らかさがあるデザインが最新のトレンド。素材感も重視されていて、タオル素材やコーデュロイなど思わず触れてみたくなるようなものが数多く出品。日本の伝統的な素材・い草を使った家具なども展示されていたそうです。

ふんわりした座り心地とさわりたくなるコーデュロイ生地が人気の「CONNECTテーブル付きソファ」

 

自然の中には、人間がつくり上げることができないような緻密なデザインがいたるところにちりばめられています。植物の葉脈や昆虫の羽の模様、水の波紋など、自然のデザイン美にふれるとなぜかリフレッシュできたり、自然とふれあってリラックスできたりという経験はみなさんにもありますよね。

それは、自然界からのエネルギーを受け取り、壮大な自然の中のミクロの世界をのぞき見て新しいインスピレーションを受け取っているからともいわれています。

 

 

◆サステナビリティを重視した素材

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素材そのものが重要視されているという点も、今の時代を反映している気がします。先ほども書いたように、タオル素材や、い草以外にも木材、テラコッタ、リネンなどオーガニックなものがトレンドの中心に。

さらに、サステナビリティを意識している点も押さえておきたいところ。適切なメンテナンスで長期間使えるレザーや、リサイクル素材にも注目が集まっています。

自然の素材は手触りがよく、ふれたときにホッと落ち着きますよね。そんな家具を暮らしのなかに取り入れることで、よりリラックスできる空間を演出するというのが今のトレンドなのです。

 

◆有機的デザインを象徴する「一枚板」

ダイナミックな一枚板。自然のエネルギーを享受できるように暮らしを整えることが、癒しの空間を作る一番の方法かもしれません。@rewoodworks

 

自然の形状をそのまま生かした一枚板の天板は、有機的デザインを象徴するものといえるかもしれません。一枚いちまい違う木目、ゴツゴツした耳があったりウロがあったり…。手で触れると自然のエネルギーが伝わってくるようです。

見た目や触り心地から、人は多くのインスピレーションを受け取ります。何気なくふれているだけでも、癒されているような感覚になるから不思議ですよね。

天然木の一枚板のなかでもサステナビリティを実現しているのが、循環型一枚板「rewood」です。

厚みのある天然木の丸テーブル。今では手に入らない素材に出会えるのも「rewood」の魅力

 

使われなくなった座敷机の天板を再利用する「rewood」は、半永久的に使える素材を丁寧につむいでいく、というコンセプトのもと、たくさんの座敷机を循環させています。

何百年という長い時間をかけて成長してきた木材を伐採してつくられた座敷机。流行らなくなったからといって、簡単に捨てていいはずがありません。ストック素材をできる限り再利用して乱伐を防ぎ、新しいアイデアで流通させる「rewood」の取り組みは、今改めて注目されています。

サステナビリティが新時代のトレンドであるならば、「rewood」はまさにその象徴ともいえるプロダクトだといえます。

一枚板とスチール製の足の組み合わせがスタイリッシュ。「rewood1500 テーブル」。トレンドにも左右されない魅力があります

 

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“トレンド”と書いてはみたものの、実際のところ有機的デザインは流行に左右されにくい印象もあります。たとえば、建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの「有機的建築」思想は、時代を超えて今も色あせていません。人間の根幹には自然に触れていたいという自然回帰のような思いがきっとあるんだろうな、と感じます。

昔々、山や森に囲まれていた暮らしから何千年も経った現代の人間。ビルやコンクリートに囲まれた現代にせめて身近に自然を感じていたいと思うのは、人としての根幹、もっというなら動物的本能のようなものなのかもしれませんね。

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Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。