石畳が敷かれた風情あふれる岐阜県中津川市の宿場町・馬籠宿。歴史あふれる街並みは観光客で常に賑わいを見せています。
馬籠宿といえば文豪・島崎藤村の生誕地としても有名なまち。馬籠には藤村の生家・旧宅跡が「本陣」として残されています。この「島崎藤村宅(馬籠宿本陣)跡」は、日本遺産「木曽路はすべて山の中~山と守り 山に生きる~」の構成文化財に指定されているんです。といっても、「それなに?」という方も多いかもしれませんね。
まず「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するもの。その1つのストーリーが、先述した「木曽路はすべて山の中…」ということなんです。
京都から続くこの旧街道は馬籠宿の先では「木曽路」と呼ばれる江戸時代の情景を残す険しい80㎞ほどの区間に入り、その先もさらに延びて東京に続いているそう。石畳の坂道はノスタルジックで、当時の趣を残す古民家や脇を流れるせせらぎ、水車をみやりながらの散策はとても楽しいものです。
が、なにせ日ごろの運動不足のせいで、途中で息切れが…。「もう無理、休憩!」と入ったカフェでひと休み。シックな古民家の佇まいの中でいただくコーヒーは格別でした。店内には民芸品も飾られています。木曽五木でできた曲げ物や漆器などが並べられていて、休憩しながらショッピングも楽しんだのでした。
数々のお土産物店を物色して一番印象に残ったのは、ヒノキをカンナで削ったくずをボール状にした「ひのきぼんぼん」。捨てられてしまうカンナ屑を商品化するなんて、素敵ですよね。
お店の方によると、ヒノキには防虫・防カビ効果があるだけでなく、浴室に飾るとヒノキの香りが充満してヒノキ風呂の気分を味わえるのだとか。
木材の厳しい保護政策がなされていた江戸時代には、「木 (木曽五木) 一本、首一つ」ともいわれるほどの厳しい統制下におかれていた木曽五木。ウッドショック禍の現代においても、木材は貴重な資源です。カンナ屑や木片もアイデア次第でこうして生活に役立てることができるんだな~と、感心しながら馬籠を後にしました。(ま)