<木曽五木>「さっぱり」が名前の由来!? サワラについて

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以前の記事で「木曽五木」についてふれましたが、5種類の木についてちょっと深堀りしてみたいと思います。

今回ご紹介するのは「サワラ(椹)」。サワラはヒノキ科の日本固有種。各地の山に自生し、渓流付近の湿気の多い場所で見ることができます。高さは約30〜40m、大きいものでは約50mにもなる大木です。

外見がヒノキによく似ていますが、サワラの葉先はヒノキよりも鋭く尖っている点や、葉の裏の模様がヒノキは「Y」で、サワラは「X」になっているといった違いがあります。

ところで、サワラの名前の由来は「さっぱり」だと知っていましたか?
樹皮に光沢がなく香りが少ないので、さっぱりした印象があるところから来ているそうです。

関東地方ではサワラは生け垣に使われ、糠目(ぬかめ)のヒノキという意味で「ヌカッピ」と呼ばれたりもするようです。

 

サワラは、香りが少なくて殺菌作用もあるため、ご飯を入れるおひつや飯台、香りをつけたくない水桶などに使用されています。他には、かまぼこ板や下駄、家具といった和製品にも。

建築材にもよく利用され、調湿作用や断熱作用があるので、家のフローリングに適した木材だとされています。ジメジメした季節にはサラッとした感触で、冬場は底冷えを防いでくれるので、一年中素足で歩いても快適に過ごせます。

そして水に強い特長を活かし、浴室や浴槽の材料に使われたり、軽量であるため屋根の材料としても使われたりしているのです。

世界遺産である京都の銀閣寺の屋根もサワラで造られているとのことで、古くから重宝されている木材なんですね。(ユ)

木曽五木(きそごぼく)とは?

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「木曽五木(きそごぼく)」って、聞いたことありますか?

「ヒノキ・サワラ・アスナロ・コウヤマキ・ネズコ」の5種類の樹木を指し、長野県の木曽地方を産地とする常緑針葉樹林です。

江戸時代、長野県の木曽地方にある山林は、優秀な建築材料が採れることで有名で、城や住居の建築に多用されたことで伐採が進みました。約100年にわたって山林が伐採され続けたため、ついに木材が枯渇することに。

そこで当時木曽の山林を領地にしていた尾張藩は、木材を保護するため、「木一本、首一つ」といわれるほど厳しい「停止木制度(ちょうじぼくせいど)」で伐採を禁止。

保護された利用価値の高い樹木を木曽五木と呼びました。

それでは木曽五木のそれぞれの特徴を見ていきましょう。

まず「ヒノキ(檜)」について。木曽といえばヒノキといわれるほど有名ですよね。
五木を代表する樹種で、伊勢神宮にも使われるなど、高級建築用の木材としても知られています。

とても硬い材質なので反りやねじれが少なく、耐久力は世界トップクラスともいわれています。

「サワラ(椹)」は木目が整った美しい樹種です。
山の谷間に生息していて、湿気に強く、殺菌作用もあるので桶の材料によく使われます。
国内にある木材の中で軽量な部類に入るので、扱いやすいのも特長です。

「アスナロ(翌檜)」は頑丈さがヒノキに似ていて、反りやねじれが起こりにくいとされています。湿気や腐食に対して耐性があるので、高級なまな板などに使用される木材の1つです。

「コウヤマキ(高野槙)」は木目が鮮明で、光沢があります。
五木のなかで一番湿気に強く、風呂桶や水桶の材料に使われることが多い木材です。
他の樹種と比べて成長が遅いため、成木があまり採れず、希少な樹木とされています。

「ネズコ(鼠子)」は湿った場所を好み、標高2,000m以上の寒い環境でも育つ樹木です。軽量で傷つきにくいので、タンスに使われたり天井板や建具材に使われたりもします。

木曽五木について書いていきましたが、それぞれに素晴らしい特長があり、木曽地方を代表する樹木というのは頷けますね。(ユ)

【参考】中部森林管理局HP