脱炭素社会の実現に貢献。木造高層ビルが続々と誕生予定

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最近、オフィスビルが次々と木造化されるというニュースをよく聞きます。

有名なところだと、東京海上日動ビル本館・新館の建て替え。国産木材をふんだんに使用した新オフィスが2028年の竣工の予定です。完成すれば、木の使用料が世界最大規模となる高さ100メートルの「木の本店ビル」となります。

三井不動産と竹中工務店が手がける、仮称・日本橋本町木造計画(むろまち小路)は、「日本橋に森をつくる」をコンセプトにした国内最大規模の木造賃貸オフィスビル。2026~27年に竣工予定だそうです。ほかにも、環境配慮型の木質耐火部材を日本で初めて採用したオフィスビルが秋葉原にできるとか。

都市の木造化が進んでいるのを実感しますね。

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■進化した技術と木材

 

建築の技術革新ってすごいですよね。高層ビルを鉄筋コンクリートではなく木造で建てることができるなんて!

木造化が進んでいる理由として、耐震性や耐火性、断熱性に優れた木材が開発されたことが大きいようです。これまでの木造技術では強度に不安があったため、高層ビルを建てることが難しいという現状がありました。建物が密集する都市部では、防火規制も厳しいため木材を柱や梁として使用することが難しかったことも原因としてあげられています。

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それが、ここ数年で飛躍的に進化!耐火、耐震、断熱効果に優れたCLTという木材が普及したことで、木造中高層ビルが実現できるようになったのです。

今では、オフィスビルだけでなくマンションや学校の校舎にも進化した木材と木造技術が用いられるようになっています。

構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性などの複合的な効果も期待できる木材「CLT」(画像提供:一般社団法人日本CLT協会)

 

■大量の木材を使うことで脱炭素社会の実現へ

 

木造化のもう1つの理由は、脱炭素社会への意識が高まったこと。

2050年までに温室効果ガスの排出をトータルしてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す、と宣言している日本。二酸化炭素を吸収する森林を健康に保てるかどうかが、目標を達成するための鍵になってくるのです。

高層ビルの木造化には、当然大量の木を使います。となると、国内の森林資源は有効活用され、森を支える地域の経済が潤うわけで。その結果、適切に管理できるようになり森は健康を取り戻し、脱炭素社会の実現にも近づくことができるのです。

そしてもう1つの理由は法整備が進んだこと。

2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定され、国をあげて木材利用の促進に取り組んできました。

2021年には「「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に改名されて、対象を公共建築物から建築物一般に拡大されました。

こうした背景から、木造建造物が増えているんですね。

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私たちの身近なところでも木造建造物が増えていたり、オフィスを木質化するという動きも活発になってきています。

次回、そのあたりも掘り下げてみようと思います。

 

 

 

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Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。