ヒーリング効果が期待されるアート
映画や雑誌などに出てくる部屋には、必ずといっていいほど絵画やおしゃれなポストカードなどが飾ってありますよね。壁にアートが飾ってあるだけで“絵になる” から不思議です。
アート作品を部屋に飾ってみると、いつもの場所がちょっと違う雰囲気に変わって、気持ちがリラックスできると感じる人も多いようです。実際にアートを鑑賞、または創作するという行為には次のような効果があるといわれています。
- 幸福感・ウェルビーイング・精神的健康を増進
- 社会性・コミュニケーションを促進
- 「認知機能」を増強
- 「不安」や「抑うつ」を低減」、「ストレス」を低減
日常生活において心身にポジティブな影響を与えるという実験結果が各方面で報告されているようです(※)。
でも、アートを取り入れることにハードルを感じている人も少なくないですよね。
絵画となると少しハードルが高いかもしれませんが、ポスターやポストカードなどから始めてみるのがいいかもしれません。
ポスターやポストカードの場合、額装されていないものが多いと思います。そんなときは、作品にあった額を自分で選ぶというのも楽しいもの。先日訪れた静岡県静岡市で偶然にも額縁の展示をしていたのでちょっと紹介してみたいと思います。
静岡県「小さな美術館 くにじ庵」での出会い
訪れたのは東海道二十三次の宿場町・丸子(まりこ)宿の中にある「丸子木版画工房 くにじ庵」。静岡県出身の木版画家・曽根邦治さんが設立した美術館です。
引き戸を開け、和モダンなアプローチを進むと、吹き抜けのフロアに出ます。鳥のさえずりを聞きながら、邦治さんの手がけたやわらかな版画を眺める時間は、なんとも優雅に感じました。
そして、この日はフロアの一角で額の展示が開催されていました。
額を作ったのは版画を手がけていらっしゃる井上善包(よしかね)さん。クリやヒノキなどを使って一つひとつ丁寧に作られた額は、井上さんの版画をいっそう引き立てているように見えました。
聞くところによると、井上さんは大工さんなのだとか。なるほど、仕上げも美しいはずですね。
額によってずいぶん作品のイメージも違ってくるもの。木の色味、木目、さらには独特な形をそのまま活かして作られた額は、一つひとつが個性的で、それだけでも絵になるな~と感じました。
お気に入りのアートをお気に入りの無垢材の額に入れて飾る喜び
想像すると夢が膨らみます。椅子に座りながら本を読んで、ふと顔を上げるとお気に入りの絵が見える、そんな暮らしはとても素敵ですよね。
ちなみに、アートを壁に飾る時のコツとして“目線”を意識するのがいいそうです。
立っていることが多い場所なのか、それともソファや椅子に座って見るほうが多いのか、それによって飾る高さを変えてみてください。
美しいと感じるものをそばに置くというのは、情操教育としてもよい影響をもたらすといわれています。最近では病院やオフィスにもアートを取り入れる動きが加速しています。心を落ち着かせ、ヒーリング効果が期待できるアートは、個性的で立体的な空間づくりができるという点でもメリットといえそうです。
さて、あなたならどんな作品をどんな額に入れて飾りますか?
【参考】
(※)経済産業省「心と脳の働きから『アートの効用』のエビデンスを捉える」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/art_economic/pdf/001_09_00.pdf
くにじ庵
https://kunijian.fuggicosi.co.jp/