アーティスト・荒井良二さんの展覧会にて~建築廃材を使用した“名前のない家たち”~

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先日、アーティスト・荒井良二さんの展覧会に行ってきました。 荒井良二さんといえば、絵本作家として有名ですが、2012年のNHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストを記憶している方もいるのではないでしょうか。

≪荒井良二さん プロフィール≫

1956年山形県生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を受賞するほか、2005年には日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど国内外で高い評価を得る。また、NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストを担当、「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」芸術監督に就任するなど、その活動の幅を広げている。(HPより引用)

『たいようオルガン』

 

ダイナミックでカラフルな色彩や、想像力をかきたてられるような文章、一緒に旅に連れて行ってくれそうな荒井さんの作品は、子どもから大人まで幅広い人気を誇っています。 今回の展覧会「new born~いつも しらないところへ たびするきぶんだった~」では、そんな荒井さんが手がけた作品が一同に会するということで、ワクワクしながら行ってきました。

会場には、これまで手がけた絵本や原画がずらり。絵本だけでなく絵画やイラスト、音楽、舞台美術なども展示されていました。 私の背丈ほどもある大きな絵本、構想段階のプロットやラフなども展示されていて、制作の過程をあれやこれやと想像しながら会場を回っていました。

2階にあがると小さな家が展示されたスペースが開設されていました。

『旅する名前のない家たちを ぼくたちは古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す』 と名付けられた荒井さんのインスタレーションです。 展示スペースには、ユニークな「家」が約40点も並べられています。これは、2010年の荒井さんの作品「逃げるこども」という絵を立体作品として構成したもの。「家」には小さな男の子や女の子が住んでいて、それぞれの物語を紡いでいるようにも見えます。

“名前のない家たち”と名付けられたこれらの作品は、積水ハウス株式会社の協力のもと、すべて建築廃材を使用して作られたもの。同社が取組む≪ゼロエミッション≫の一環として、新築施工現場で分別されたコンテナ約2杯分の廃材を使って制作されているそうです。

≪ゼロエミッション≫とは、人の生活の中で発生するあらゆる排出(エミッション)をゼロに近付けることを目指す理念や手法のこと。国や自治体、住宅、食品やアパレルなど各企業が取組みを進めています。

新築の家や家具、新しいものを生み出す過程でどうしても出てしまう木端材。それをアート作品にアップサイクルするというアイデアは、近年さまざまなシーンで目にするようになりました。 以前、このブログで紹介したrewoodの「Living_bird」もアップサイクル作品のひとつです。

rewoodの「Living_bird」

建築とアートの親和性は言わずもがなですが、アートを見に行って、思いがけずアップサイクルについても考えることになった一日でした。

展示を堪能したあと、敷地内にある茶室でお抹茶と荒井さん考案の甘味をいただきました。たまにはこういう休日もいいですよね

 

【参考】

◆荒井良二「newborn」 https://arairyoji-nb.exhibit.jp/

◆刈谷市美術館 https://www.city.kariya.lg.jp/museum/exhibition/schedule/1010156.html

◆「”SEKISUI HOUSE meets ARTISTS”第二弾を開始 感性と想像力を刺激するアートのある暮らしを提案」 https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/topics_2023/20230511/

Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。