コロナ禍を経て需要の高まりをみせている「タイニーハウス」。
人気の理由としては
・安価でマイホームが手に入る
・ランニングコストが節約できる
・DIYしやすい
・種類によって移動が可能
といった点が挙げられます。固定資産税がかからない、建築申請が不要などほかにもメリットはたくさんあります。
木材で作られているものも多く、木の暮らしに憧れている人たちからも支持されている「タイニーハウス」について、紐解いてみます。
1.タイニーハウスとは?
タイニーハウスとは「Tiny(小さな)」+「House(家)」。明確な規定はないものの、概ね20㎡ほどの家のことをいいます。日本の一戸建ての広さはおよそ92㎡(※)なので、通常の家よりもとてもコンパクトな設計となっています。
「タイニーハウス」の発祥の地であるアメリカでは、2008年のリーマンショックをきっかけにムーブメントとなり、世界に広がっていきました。日本に広まったのは、2011年東日本大震災がきっかけ。広々とした家に住むことが豊かさの象徴のようにいわれてきたそれまでの日本。たくさんの家が一瞬にして倒壊するのを目の当たりにした人々は、この震災をきっかけに“モノを所有すること”、“これまでの生き方”を見つめ直すようになりました。
(※)総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」による
2.シンプルでミニマルな暮らしを実現させる家
平均的な家と比べると1/4くらいのスペースになるので、「本当にそれで暮らせるのかな」と心配になる人もいるかもしれませんね。
でも、ちょっと自分の身の回りを見渡してみてください。本当に生活に必要なものって、意外と絞られてきませんか。
最近ではミニマリストも増えてきました。人々の“豊かさ”への考え方も「たくさんのモノを持つこと」から「必要最低限のモノで身の丈にあった暮らしをする」という考え方へとシフトしてきました。
こうした背景から、身の丈にあったシンプルな「タイニーハウス」が注目されているのです。
3.タイニーハウスの種類
大きく分けると2種類あります。
- 基礎付きタイプ
一般の住宅と同じように土地に定着させるタイプで、タイニーハウスのなかでは最もスタンダードなスタイルといえるかもしれません。地中にコンクリートを流し込み、上部構造となる建物を支える基礎工事をします。「スモールハウス」や「マイクロハウス」と呼ばれるものもこれにあたります。
- 移動できるタイプ
シャーシといわれるタイヤ付きの土台に載せて車で牽引できるタイプで、トレーラーハウスと呼ばれています。アメリカではこちらが主流。建物ではなく車両として扱われるので、不動産取得税や固定資産税も発生しません。いつでもどこにでも移動できるという自由さと身軽さが魅力です。
ほかにも、コンテナを改造した「コンテナハウス」や、木の上につくられた「ツリーハウス」などもタイニーハウスの仲間です。
4.タイニーハウスのメリットとデメリット
冒頭でもチラッと人気の理由について紹介しましたが、メリットとデメリットについてもう少し細かくみてみましょう。
<メリット>
・初期費用が抑えられる
タイニーハウスの価格帯はおよそ300万円~800万円(土地代別)。もちろん設備をどこまで揃えるかで価格は変わってきますが、一般的な新築住宅よりもかなり低価格ですよね。選ぶものや場所によっては長期のローンを組んで無理する、という選択をしなくても済みそうです。
・ランニングコストが抑えられる
居住空間が小さいので、照明や空調など電気代が抑えられるのもメリットのひとつ。最近では太陽光パネルを設置して自家発電をしている人もいるそうです。
・こだわりの空間がつくりやすい
大きな家の場合、外装、内装、建具など、こだわりを実現しようと思うとコストがかさみますよね。例えば、材質。小さい空間なら、国産の木材にこだわったとしても最小限のコストで抑えられるはず。限られた予算でこだわりを実現することができます。DIYしやすいのもメリットです。
<デメリット>
・プライベート空間が少ない
小さな家だけあって、必然的にプライベートの確保は難しくなります。2人以上で暮らす場合、テラスや庭など、周囲の空間を利用してストレスなく暮らせる方法を考える必要があるかもしれません。
・家族が増えたらどうする?
子どもができた、となった場合はタイニーハウスに住み続けるのは難しい場合も。土地に余裕がある場合は、もう1つタイニーハウスを増やすという選択もあります。まずは「家族が増えた場合はどうするのか」を話し合っておくのがいいかもしれませんね。
5.増築したい場合にも活躍
タイニーハウスの中でもさらにコンパクトな10㎡未満の「小屋」タイプも最近注目を浴びています。家族が増えた、子ども部屋が欲しい、プライベート空間を増やしたいという場合、小屋タイプのタイニーハウスを設置するのも一案です。
10㎡未満の建物の場合、建築確認申請(※)は不要、セルフビルドできるキットも販売されているので、家族で作ってみるというのもいいかもしれません。
小屋タイプを購入する人は、すでに住まいとしての家は所有している場合が多いとか。例えば、国産材のスギとヒノキを使った「コダマベース」の場合、「趣味の部屋がほしい」、「集中できるワークスペースがほしい」、「夢だった小さなお店を開きたい」という理由から、セカンドプレイスとして購入するパターンが多いそうです。
10㎡以下というと車一台分のスペース。駐車場くらいのスペースがあれば、簡単にこだわりのセカンドプレイスが実現できます。生活と一線をひいた自分だけの場所っていいですよね~。仕事場にしても趣味にしても、創造的なインスピレーションがわいてきそうです。
(※)新築や増築工事の際、特定の機関や行政に必要書類を添えて申請。建築基準法や条例に適合しているかの確認を受けること。建物の床面積に応じて手数料がかかります。地域によって10㎡未満でも建築確認が必要なケースもあるので自治体に確認を。
~まとめ~
最近ではレンタルできるタイニーハウスも出てきているのだとか。使わなくなったら返却もできるし、そのまま買い取りもできるモノもあるそう。タイニーハウスを設置して宿泊施設にしていたり、見学や体験できる場所もあったりします。購入を検討している人は一度チェックしてみるといいかもしれませんね。
【コダマベース】
https://www.youtube.com/@kodamabase