世界から森が消滅する日―。動物園に行って考えたこと

投稿日カテゴリーALL BLOGBREAK OUT

動物園というものがそんなに好きではなかった子ども時代。動物たちを見て「窮屈な檻に入れられてかわいそう」という気持ちのほうが大きくて、あまり楽しめなかったような記憶があります。

そんな私ですが、先日所用があって久しぶりに東山動物園を訪れました。約450種類の動物たちがいて、そのユニークな生態を見て回るなかで、目に付いたのが「森林破壊」についてのパネルです。

オランウータンの展示場に設置されたパネル

オランウータンのエリアでは、「食べものが実る木も、寝床も、ヒトの畑になった」というキャッチコピーがついたポスターが張られていました。近くには「失われるスマトラ島の森」についてのパネルも。

オランウータンが生息するスマトラ島。島の58%が森林だった1985年から約30年経った2016年には24%にまで減少。森が小さく分断されることで、オランウータンたちの生息地が減少してしまっていることが紹介されていました。

東山動物園のポスター

 

理由は、私たち人間の暮らしにあります。

日本で食用油や洗剤として使われるパーム油、タイヤなどに使われる天然ゴム、ベニヤ板の素材となるラワンなどの木材、これらを作るために、遠いスマトラ島の森が伐採されているのです。

遠いスマトラ島の森林から多くの資源が日本に輸入されています

 

森林破壊はスマトラ島に限ったことではありません。世界の森林面積は1990~2020年の30年間で1億7800万ha(日本の国土面積の約5倍)が減少したという調査結果があります(※)。

国連の報告によると、2015年以降、1年ごとに約10万平方キロメートルの森林が失われているとのこと、ほぼ東京都と同じくらいの面積の森が毎年失われていると知って驚きました。このままいったら、世界から森が消滅する日も遠くない気がします。森がなくなったら、人間も生きてはいけません。

日本の消費が世界の森林に影響を及ぼしている現状。何とかしないと、とは思っても私たちにできることって何があるのでしょう。

パネルで紹介されていたのは、「森林保全の取り組みをしている企業の製品を選ぶこと」。パーム油の持続可能な生産を認証する「RSPO」、持続可能な森林管理を認証する「FSC森林管理」などのマークがついている製品を購入することで、森林保全に貢献できます。

たとえば「FSC(Forest Stewardship Council)」は森林管理協議会という国際的な第三者機関が定めた規格をもとに「責任ある森林管理につながる木材」として認証されたラベル。

「FSC」の認証材を取り扱うお店は、日本ではまだ多くないそうですが、家具を購入するとき、DIYで木材を買うとき、印刷用の紙を選ぶときなど、日々の買い物の中でちょっと意識してみるといいかもしれません。

大きなことはできなくても、まずは「知る」ということが第一歩。

みんなの人気者・コアラや、アフリカゾウ、トラも森林破壊によって絶滅のおそれが危惧されています。あとで調べたところ、東山動物園内の約450種類のうちなんと100種類が絶滅危惧種に指定されていました。

動物園の役割には、来て見て楽しむというレクリエーションのほかに「種の保存」、「調査研究」、「環境教育」が挙げられています。

絶滅の危機に瀕している生き物たちを保護し、生態の調査や研究をして、こうした生き物たちがどうやって生きているのか、人はどう関わっていけばいいのかを考えるきっかけづくりの場として、動物園が機能しているんですね。動物園の大きなミッションを知って、印象がだいぶ変わった気がします。(ま)

 

 

※世界森林資源評価(FRA)2020 メインレポート概要より

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-5.pdf

 

【参考】

東山動物園

https://www.higashiyama.city.nagoya.jp/

世界自然保護基金(WWF)

https://www.wwf.or.jp/campaign/forest/

Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。