テーブルと椅子の「差尺」のお話

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以前、「テーブルの高さについての豆知識」について書きましたが、今回はそれに絡んで“差尺(さじゃく)”について紹介してみようと思います。

差尺とは、テーブルの天板と椅子の座面の高さの差のこと。
差尺が小さすぎると足が窮屈、逆に大きすぎるとテーブルが高く感じられて疲れてしまいます。

今みなさんが座っている環境はどうですか?「なんか肩が凝る」、「リラックスできない」、「落ち着かない」と感じる人は、テーブルと椅子の高さのバランスが崩れているのかもしれません。
気になる方は、一度差尺を測ってみてはいかがでしょう。

最適な差尺をはじき出す計算式はこちら。

差尺(cm)={(身長×0.55)÷3}-2~3(cm)

身長×0.55とは標準的な座高を指します。座高を3で割って、…計算するのはめんどうですね(笑)。そうですね、例えば160cmの人だと座高88cm。これを3で割ると約29cm。最後にくっついている2~3cmというのは、食事やリラックスしたい時など、シチュエーションによって使い分けるという感じ。

まとめると、身長160cmの人に最適な差尺は、仕事モードの時は29cm、食事やリラックスモードの時は27~26cmとなります。ダイニングテーブルの標準的な高さは70cm前後なので、椅子の座面の高さは41~44cmのものを選ぶといいということになりますね。

▲足が窮屈に感じられるときは差尺を見直してみて

 

差尺があっていない場合、どんなことが起こるのか―。食事時をイメージしてみてください。

差尺が大きい:椅子が低く、テーブルに腕を載せたときに肩があがって疲れます。奥のおかずに手を伸ばし辛いですよね。子どもの食事の介助もしにくくなります。

差尺が小さい:椅子の座面が高すぎると、顔からテーブルまでの距離が遠くなります。テーブルが低く感じられるということです。この姿勢だと、食事の時どうしても前かがみになってしまい、姿勢が悪くなります。

ただ、同じテーブルを共有する家族の中でも身長差がありますよね。その場合は、椅子の高さを調整するのが合理的かもしれません。

① 椅子の座面にクッションや座布団を敷いて調整する。
② 家具用のフェルトを椅子の脚に張る。
③ 椅子の脚カットを依頼する

考えられる方法としてはこんな感じでしょうか。

① は、おそらくみなさん試していらっしゃると思います。
② のフェルトは手軽にできるのでおすすめ。2枚、3枚重ね張りをして微調整できるのもメリット。
③ は少しハードルが高いかもしれませんね。カットすることでデザイン性が損なわれるものもありそうですし。少し削るくらいなら、やってみてもいいかもしれません。ただ、4本の脚を均等に切るのは素人には難しいので、家具店などに相談してみるのがおすすめです。

たかが数cm、されど数cm。テーブルと椅子の高さは、意外と快適性に大きく影響するので、これから家具を買う人は“差尺”というキーワードをぜひ頭に入れておくといいかもしれません。

ちなみに、家具業界では子どもに大人の椅子はタブーなんだそう。子どもには成長によって高さを変えられる、子ども用の椅子をしっかり選んでくださいね。(ま)

Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。