奈良時代に書かれた日本書記。そのなかで「スギ・クスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」という表記があるそうです。
加工のしやすさから建築の構造材や建具、家具、工芸品と幅広く使われてきたこれらの木たち。
そのなかで、今回はスギを取り上げてみたいと思います。日本で最も多く植林されたとわれている木材がスギです。日本固有種であり、古くから私たちの生活に欠かせない木でした。最近では、花粉症の原因としてあまりいいイメージがない人もいるかもしれませんね。
でも実は、スギにはストレスを緩和する効果があるという実験結果も出ているんですよ。
林野庁のHPには、男性被験者に対し実験をした結果が紹介されています。
90秒間杉チップの匂いをかいだ後40~60秒おいて血圧を測定したところ、吸入前に比べて血圧が低下したという結果が。
ストレスがかかると上昇する血圧。低下したということは、杉の香りによってストレスが緩和され、体がリラックスしたことを示しています。
スギの内装材を設置した部屋でのおもしろい実験結果も紹介されていました。
大学生16人をスギの内装材を設置した部屋、設置なしの部屋に分けて30分の計算課題を実施し、唾液中のストレス指標(アミラーゼ)の活性を計測するというもの。
スギ材なしのグループはアミラーゼが上昇、一方スギ材ありの方は低下という傾向があったといいます。
強いストレスを受けると活性化するのがアミラーゼ。実験結果は、課題によるストレスをスギ材の香りが抑制したものといえそうですね。
神社でしめ縄がかかったスギのご神木はよく見かけますよね。日本で育つ針葉樹の中でも寿命が長く、まっすぐに大きく育つスギには、本当に大きなパワーを感じます。古くから日本人にとっては神のパワーが宿る木として崇めるべき存在だったんだなと感じます。
芯材は品種や育った環境によって色に違いがあります。きめ細やかな赤身で揃えたり、光沢のある表面材を使用してみたり、床材など面積の大きい部分に使うとグッと表情が変化しそうですね。
スギは加工のしやすさでも有名。工芸品にもよく使われます。有名なところだと秋田杉の曲げ輪っぱでしょうか。スギの割り箸も流通していますね。
…子どもの勉強机をスギ材に、お弁当はスギの曲げ輪っぱとスギの割り箸にしたら成績もUPするのかしら?など一瞬邪念が浮かんでしまいました(笑)。
淡い期待はさておき、スギの効能についてのご紹介でした(ま)。
<参考>
https://event.rakuten.co.jp/area/japan/woodchange/