前回、soiro living(以下soiro)さんのリメイク家具の納品に同行した話をお伝えしましたが、今日はその続編。
なぜ無垢材を選ぶほうがいいのか―。家具を購入するときに考えておくべきことをお伝えします。
「子どもが生まれた」
「家を購入した」
「引っ越すことになった」
人生ではさまざまなライフイベントが待ち受けています。
家具の購入やリメイクが必要になるタイミングでもありますね。
日用品などと違って、家具は頻繁に買い替えるものではないので、最初の購入時にしっかりした見極めが大切といえます。
では、なぜ無垢材がいいのか。
無垢材とは「木」そのもの。表面を削っても「木」。当然、ヒノキならどこまでいってもヒノキですし、ウォルナットはどこを切ってもウォルナットでしかありません。
これに対して、化粧材というものがあります。
粉状にした木材を圧縮したMDFや、木材のチップを固めて作ったパーティクルボードに、木材でできた薄いシート(突板)を貼りつけたものを指します。均一で整った見た目の化粧材は、見た目はきれいでとても軽いです。天然の無垢材よりもスッキリした印象で好き、という人もいるかと思います。
ただ、この化粧板、無垢材とはまったく違います。
化粧板の場合、表面の突板が経年変化によりはがれてしまって中の素材が見えてしまうことも。リメイクしたくても、カットした断面に木材チップが見えてしまうので処理に困ることもあります。
一方、無垢材の場合は表面に傷やシミがつくことはあっても、はがれてしまうことはありません。たとえ表面が削れたとしても、見えるのはどこまでいっても同じ木です。
前回紹介したリメイク家具の場合も
「大きく形を変えることができたのは、ちゃんとした木でできているものだったからです」とsoiroさん。化粧材の家具の場合は釘で固定することが難しく、思ったようなリメイクができないことも多いそう。
「海外では、1つの家具を大事に使い続け次世代に受け継ぐのが普通のことです。いい家具を長く育てるという感覚があるからでしょうね」とsoiroさん。
使い込んだ無垢材に付いた傷は、味わいのひとつ。豊かな表情をもった1つの個性として愛着がもてるものへと変化していきます。
循環型社会への転換が求められるなか、家具だけでなく“家具を育てる感覚”も次世代に伝えていけたらいいなと感じました。
家具選びの際は、10年、20年後の暮らしをちょっと想像しながら、長く寄り添ってくれそうなものを探してみてくださいね。(ま)
【取材協力】
soiro living