消滅の危機!? 海水でも育つ不思議な植物群「マングローブ」

投稿日カテゴリーALL BLOGBREAK OUT

「マングローブ」とは海水と淡水が入り交じる沿岸に生育する植物群のこと。

満潮時、水面から木が生えているように見える景色は “海の森”とも呼ばれています。


マングローブを構成する植物は、オヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギなど。

特徴はなんといっても、塩水に浸かっても枯れないこと。

普通の植物を塩水につけるとすぐに枯れてしましますが、マングローブの植物はその独特な構造によって海水中の塩分を排出する機能を備えているのです。例えば、ヤエヤマヒルギやメヒルギは、水を吸収する際に塩分が入らないようにする仕組みがあったり、体内に入った塩分を古い葉にためて、それを落葉させたりして余分な塩分を外に出しています。ヒルギダマシには葉の両面に「塩類線」という特別な器官をもち、体内の塩分を結晶にして排出する機能をもっています。

厳しい環境に育つマングローブ林は、多くの稚魚やカニ類、貝類などを育てる豊かな環境をつくり出していますが、人の手の入っていない原生林は現代ではほぼ全滅。今は植林して再生を図る時代になってきています。

東南アジアのマングローブ林に影響を及ぼしたのが、炭焼き産業、エビの養殖業、スズの採掘が挙げられます。工場やそこで働く人々の家をつくるため、マングローブ林はどんどん伐採されていきました。それには日本も大きく関わっています。

例えば、私たちが大好きなエビ。マングローブ林を伐採してつくられたエビの養殖池で育ったブラックタイガーの多くは日本に輸出されています。さらに、マングローブを使った木炭も日本に多く輸出されています。バーベキューの時に使う炭、産地に着目してみてください。「植林マングローブ炭」と書かれているものもありますよ。

マングローブ林が失われると、そこに生きていた生き物が姿を消し、その恩恵を受けて生活してきた人も生活が苦しくなります。

消滅したマングローブ林を再生するには30~50年はかかるといわれています。

 

森林は守らなければいけない貴重なもの。ただ、再生可能な天然資源でもあります。自然環境として守るべき森林と、資源として利用する森林と、うまくバランスをとる必要があるのかなと感じました。

 

次回も引き続き、マングローブの生態や役割についてお伝えしてみようと思います。(ま)

 

 

 

【参考】

農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0311/02.html

Matsuoライタープロフィール
古道具や古着、古民家など“お古”に惹かれるライター。雑誌、webを中心にまちづくり、ものづくり、グルメ、音楽、著名人インタビューなど多ジャンルの取材・執筆を手がけています。生活者の視点で、身の回りの“木”に関する話題をお届けしていきます。

水野 照久監修者
名古屋で創業60年を迎える家具店の代表。2代目代表として約30年「家具は人をシアワセにする」を理念として、木を素材としたいくつかのブランドをプロデュースし、新しいモノづくりにデザイナーと作り手と取り組む。