セミの声が元気に響く夏。夏休みに入り、子どもたちもセミに負けないくらい元気いっぱいですね。
夏休みの思い出といえば、虫採りという方も多いのではないでしょうか。
朝早く森に行くと、なんだか甘い匂いがして自分まで虫になったような気分になったことを思い出します。あの匂いは、クヌギやコナラの幹の匂いなのだということを大人になってから知りました。カミキリムシやハチ、ガなどの幼虫が幹をかじって、その傷からにじみ出した樹液が独特の匂いを放っているそうです。
オオムラサキやカナブン、クワガタムシやオオクワガタは夜になるとこの樹液を求めて集まってくるのです。
さて、このクヌギはどんな木なのか―。
コナラとともに雑木林に植えられるブナ科の落葉広葉樹です。森林公園などにもよく植えられています。どんぐりのなる木といえばわかりやすいでしょうか。クヌギの名前は「国の木」からきているという説もあり、日本人にはなじみ深い木です。
材質は硬く、薪や炭、シイタケ栽培の木として利用されています。シイタケ栽培に使われるのは8~15年くらいたったクヌギ。紅葉が始まるころに1mほどに切り出したクヌギの原木に穴をあけて、シイタケの菌を植え込みます。その後1~2ヶ月ほどビニールで覆いをして保湿・保温。これがほだ木となります。
菌がまんべんなくいきわたりシイタケができる準備が整うのが春頃。ほだ木を水に沈めて引き上げて数日でシイタケの芽が出てきます。1週間ほどで収穫できるほどの大きさになっているそうですよ。
ホームセンターなどで、シイタケの栽培キットなども販売されているので、興味のある方はチェックしてみてください。
切り倒しても20年ほどで元どおりになるという再生力を持っているのがクヌギ。生育も早く、植林してから10年度補で木材として利用できるまでになるとか。
建築材としてだけでなく船舶の材料、神社の鳥居などにも使用されています。
クヌギの実・どんぐりは、縄文時代には主食として利用されていたといいます。また、樹皮やドングリのかさを使って染めた衣服は「橡染め(つるばみぞめ)」といい、一般庶民の衣服などに用いられていたそうです。
里山には欠かせないクヌギ。昔からさまざまな用途で使われていたんですね。(ま)
【参考】
「雑木林の20年」(偕成社)