最近テレビや動画でちょくちょく目にするようになった樹木医。樹木医とは、天然記念物などの貴重な樹木から街路樹などの身近な樹木など、木の健康を維持する専門家。いわば木のお医者さんです。
人間と同じように、樹木もストレスや病気や害虫によって元気がなくなることがあります。そこで樹木医の登場。原因は何か、対処法はどんなものがあるのかを考え、薬を処方したりときには伐採をします。
木の生態を理解し、診断、治療することで、倒木による被害の抑制や、木の保護育成を行います。病害虫の種類ももちろん把握していなくてはいけないし、その解決法もしかり。
日光の当たり具合、土壌など、生育環境についても物理学的な観点から調査し、樹木にとってよりよい環境づくりを手助けしているんですね。
さて、実際にどんな方法で木を診断しているのかというと―。まずは目視。目に見えて傷んでいるところだけでなく、周囲の環境もチェックします。時には木の上に上って日当たりや枝葉の成長具合を調査したりもするそうです。
続いて、木槌で幹をコンコンと叩いて幹の空洞をチェック。さらには、音波で木の内面を測定する機械やファイバースコープを使って、樹木の腐食具合を調べます。
本当に人間と同じですね。
現在、樹木医は3000名ほど。
樹木医になるには、特定の樹木医研修を受講して資格試験に合格する必要がありますが、そもそも受験の条件として「樹木医補養成機関として登録されている大学・学部を修了し樹木医補の認定を受けてから1年以上の実務経験がある」、もしくは「樹木の保護、管理、診断、治療等に関する業務経歴が7年以上」が必要なのだとか。試験の合格率は20%程度と、かなり難しい資格のようです。
長崎県の「あこう大樹」や青森県の「北金ケ沢のイチョウ」、岐阜県の「淡墨の桜」、長野県の「月瀬の大杉」など、幹の周囲1,000cm級の巨木は、数百年という単位で成長してきたもの。枯れてしまっては取り返しがつきません。
また、身近な木も倒木によって人的被害が起きてしまわないよう、適切な処置が必要となります。
私たちの身の回りにあるこうした樹木を守るためには、知識や技術をもった樹木医によるお手入れが必要なんだな、と改めて感じました。樹木医ってすごい!(ま)